ディーゼルは「オワコン」なんかじゃない! 「水素×ディーゼル」もアリのカーボンニュートラルに向けた可能性

2024.04.24 12:00
この記事をまとめると
■自動車業界ではEVシフトが進んでいる
■ただしすべてのクルマがEVになることは考えにくい
■ディーゼルエンジンは自然発火する燃料なら幅広く対応できるから、まだまだ技術革新にも期待ができる
この先もクルマがEVだけになることはないだろう
  ディーゼル車の評判は近年浮き沈みが大きい。ドイツでは自動車メーカーが排ガス検査で不正行為をしたため、ディーゼルエンジンに対する信頼性が低下し、自動車メーカーも多額の罰金を払いながらEVへのシフトを進めているのが現時点での動向だ。
  欧州メーカーのなかにはいまだに、2035年までに100%EVへとシフトすると明言しているところもあるが、10年先のことなどいつでも覆せる(発信した経営者からすれば、自分はそのときには退職しているからか?)と思ってのポーズではないだろうか。それに現状でもEV市場は安い中国製に押されて、すでに欧州メーカーの思惑は外れつつある。
  しかも、2030年だろうが2040年だろうが、完全にEVだけのクルマ社会になることはあり得ない。それはまずすべてを電気で賄おうとしたら、通常の電力だけでなく想定外の使用を含めた電力の確保が必須となるからだ。
  というのも電気は発電した量しか供給できず、蓄電したとしてもその量には限界があり、蓄電用のバッテリーも寿命やリサイクルを考えるとやたらと増やすこともできない。
  大型連休など人の移動が増える時期に急速充電器がたくさん用意されている地域で停電などが起こったら、EVオーナーも地域住民も大迷惑を被る。送電網や電源構成をどうするのだろう。そんな懸念がある。
  他方、電気を水素に変換(水を電気分解して水素を生成)して、燃料電池を利用するのも有効な手段だが、燃料電池スタックの耐用年数やコストなど、課題はまだまだ山積みだ。
ディーゼルエンジンの可能性とは?
  ディーゼルエンジンには、さまざまな利点がありさらに技術革新が進めば、いまよりもっとクリーンでエコなパワーユニットとして利用される可能性がある。
  ガソリンエンジンを仕様変更して水素を燃料にして走る実験を、トヨタはモータースポーツを通じて行っているが、ディーゼルエンジンでも水素は燃やせる。シリンダーヘッドまわりをガソリンエンジン化(火花点火機関に変更する)することでも可能だが、それでは実質ガソリンエンジンと変わりないので、ディーゼルエンジンのままで対応する方法も必要だ。
  水素を自己着火させて制御するのは大変すぎる(発火点は570℃!)ので、現在開発が進められているのは、軽油も噴射して自己着火(軽油の発火点は250℃だ)させて、その炎で水素を燃焼させる方法が有力だ。
  水素だけでなく、ディーゼルエンジンは自然発火する燃料なら幅広く対応できるから、今後はさまざまな燃料が試されるだろう。欧州、とりわけイタリアでは植物から搾取した油を使ってディーゼルエンジンを稼働させるプラントがいくつもあり、トラックのディーゼルエンジンにも転用できる技術をすでに有している。
  食料(の確保)と競合しない植物による燃料利用も、カーボンニュートラルを実現するためには欠かせない方法のひとつなのだ。
  現在、食用廃油を回収して改質することで燃料油とするHVO(水素化植物油)が、バイオディーゼル燃料として利用され始めているが、これは航空機用のバイオ燃料であるSAF(持続可能な航空機燃料)と完全に競合していて、燃料として利用するにも限界があり、まったく足りないのが実情だ。

  水素も形を変えた電気利用であり、合成燃料も途方もなくエネルギーを費やして生成するので、コスト高は避けられない。しかし、微細藻類の培養などバイオディーゼル燃料の選択肢はほかにもあるのだ。
  そんなディーゼルエンジン車の、今後の技術革新に期待しよう。

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