感動の声止まず。自伝『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社刊)のため坂本龍一氏が語った肉声記録が、NHKスペシャル「Last Days 坂本龍一 最期の日々」で公開されました。

2024.04.10 11:00
株式会社新潮社
口述筆記の肉声が公開された『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
 4月7日に放送され、大反響を呼んでいるNHKスペシャル「Last Days 坂本龍一 最期の日々」。2020年に二度目のガンが発覚してから23年3月28日に惜しまれつつ71歳でこの世を去るまでの3年間、坂本龍一氏が自らの抱えた病気とどう向き合い、いかにして人生を締めくくろうとしたのかが、遺族提供の本人の日記やプライベートフィルムを交えて明かされる、見る者の心を打つドキュメンタリーでした。
 番組内では初公開資料として「最晩年の肉声記録」も紹介されましたが、これは坂本氏が後半生を振り返った自伝『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社刊)のために収録したインタビューの一部です。坂本氏は亡くなる前年、本書のために計14回にわたって各2時間程度、聞き手を務めた編集者・鈴木正文氏の質問に答える形で、率直な死生観やユーモアを交えつつ自身の人生を回顧してくださいました。この口述筆記プロジェクトは、命が尽きるその瞬間まで音楽に関わり続けた坂本氏の、最晩年の活動のひとつとなりました。

「Last Days 坂本龍一 最期の日々」は、4月17日(水)午前0時35分~午前1時35分に、NHK総合で再放送が予定されています。我々にあまりに多くのものを遺してくれたこの偉大な音楽家は、人生の最後に何を考えていたのか――。番組を通して関心を持たれた方は、ぜひ坂本氏の魂が込められた著書『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』も手に取っていただければ幸いです。

 以下に、坂本氏本人の連載開始と完結にあたってのコメントと、連載媒体となった「新潮」編集部のコメントを再掲します。
■坂本龍一氏コメント
【「新潮」連載開始時】
 夏目漱石が胃潰瘍で亡くなったのは、彼が49歳のときでした。それと比べたら、仮に最初にガンが見つかった2014年に62歳で死んでいたとしても、ぼくは十分に長生きしたことになる。新たなガンに罹患し、70歳を迎えた今、この先の人生であと何回、満月を見られるかわからないと思いながらも、せっかく生きながらえたのだから、敬愛するバッハやドビュッシーのように最後の瞬間まで音楽を作れたらと願っています。
 そして、残された時間のなかで、『音楽は自由にする』の続きを書くように、自分の人生を改めて振り返っておこうという気持ちになりました。幸いぼくには、最高の聞き手である鈴木正文さんがいます。鈴木さんを相手に話をしていると楽しくて、病気のことなど忘れ、あっという間に時間が経ってしまう。皆さんにも、ぼくたちのささやかな対話に耳を傾けていただけたら嬉しいです。
(2022年6月7日)

【「新潮」連載完結時】
 2020年の末、自らに残された時間を悟ったぼくは、生きているうちにしておかなくてはいけないことをリストアップしました。そのひとつが、『音楽は自由にする』以降の活動を自分の言葉でまとめておくことでした。少々慌ただしいスケジュールだったけれど、聞き手の鈴木正文さんにも助けられながら、間もなくリリースされる『12』までの足跡を振り返ることができ、今はホッとしています。連載は完結しますが、もちろんこの先も命が続く限り、新たな音楽を作り続けていくつもりです。
(2023年1月6日)

■「新潮」編集部コメント
 坂本龍一氏がガンのステージ4にあると診断され、医師から余命宣告を受けたのは、2020年12月のことでした。そこから、プロデューサーでもあるパートナーとも話し合い、「生きているうちにしておくべきことのリスト」を作ったといいます。
 文庫化された2009年までの自伝『音楽は自由にする』以降の活動を振り返る、口述筆記のプロジェクトを進めることになったのも、その一環でした。21年後半に小誌編集部に相談があり、22年いっぱいの残された時間を使って、収録が進められました。
盟友の鈴木正文氏を聞き手として、坂本氏の口からは、横で聞きながら「そこまで明かしていいの?」と心配になってしまうほど惜しげもなく、創作秘話や昔の出来事、闘病中の日々のことが語られました。各章とも、約5時間の充実したインタビューの内容を踏まえています。そして、編集部が構成した原稿には毎回、坂本氏みずから細かくチェックを入れてくれました。時には「自分が原稿を見られるのは、これで最後になるかもしれないから、もっと強い章タイトルにした方がいいのでは?」ということもおっしゃりながら――。
 連載最終回が掲載された「新潮」の発売日は2023年1月7日、坂本氏がお亡くなりになったのは3月28日の未明でした。もちろん、もっともっと長生きして、続きを語ってほしかった。しかし一方では、ギリギリ間に合った、という思いもあります。
 この稀代の音楽家の「最後の言葉」を、ぜひ多くの方に読んでもらえたら嬉しいです。
Photo by Neo Sora (C)Kab Inc.
■著者紹介
坂本龍一(さかもと・りゅういち)
1952年1月17日、東京生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』『BEAUTY』『async』『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞音楽賞、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、グラミー賞映画・テレビ音楽賞をはじめ多数受賞。『LIFE』『TIME』といった舞台作品や、韓国や中国での大規模インスタレーション展示など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日逝去。


■書籍情報
【タイトル】『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
【著者名】坂本龍一
【発売日】2023年6月21日
【定価】2,090円(税込)
【判型】四六判
【ISBN】978-4-10-410603-5

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