メルセデス・ベンツが泣きついて作られた! 30年以上前に400km/hオーバーを喧伝した「シリウス」というたった1台のモンスター

2024.03.31 17:30
この記事をまとめると
■ドイツのチューニングメーカーのローテックが手がけたスーパーカー「シリウス」
■元々はメルセデス・ベンツの元に「特別なクルマが欲しい」と依頼されたのが始まり
■1980年代において1000馬力、時速400km/hという数値が強烈なインパクトを残した
裕福なカーマニアからの要請で作られたワンオフスーパーカー
  1980年代中盤にポルシェ959やフェラーリF40といった新たなスーパーカーが華々しくデビューすると、世界のカーマニアの目は、再びそれらに向けられるようになった。
  より美しく、そしてより速いスーパーカーを求めたところまでは、1970年代のスーパーカーブームと変わらなかったが、すでに十分に目の肥えたマニアは、高価であってもより生産台数の少ない、ワンオフモデルを究極と考え、さまざまなメーカーにその製作をリクエスト。
  その誕生からすでに30年以上の時を経た、このローテック・シリウスも、またそのような経緯で誕生したわずか1台のみが存在するスーパーカーだった。
  ローテック社を設立したクルト・ロッターシュミット氏は、そもそもレーシングドライバーとしてさまざまなカテゴリーで活躍した人物だった。キャリアの始まりは1966年のヒルクライム。スモールGT-1600クラスにポルシェ912で参戦した彼は、ロータス・エランにこそかなわなかったものの、常に2位の座を獲得。それはポルシェのなかでは最速の成績だった。
  その後、フォーミュラーV1300や国際ヒルクライムレースに参戦しつつ、自らのマシンをBMWのエンジンを用いて自作。1980年からはスポーツプロトタイプやドイツ・レーシング選手権グループCジュニアなどのレースに参戦を続けた。
  ちなみに1983年のグループCジュニアにおいては、参戦した全サーキットのラップタイムレコードを更新。レーシングドライバーとして、そしてエンジニアとしての優秀さは、サーキットで見事に証明されたのである。
1000馬力・時速400km/hというスペックに驚愕
  そのロッターシュミットのもとに、ある連絡が入ったのは1990年代初頭のことだった。その相手は何とメルセデス・ベンツ。聞けば石油の取引で莫大な富を得たカスタマーが、ほかに誰も手に入れることができない、つまりワンオフのスーパーカーを所有したいと望み、メルセデス・ベンツにその製作を依頼してきたというのだ。
  当然、当時のメルセデス・ベンツにはそのようなリクエストに対応する部門はなく、そこで抜擢されたのがロッターシュミット率いるローテックだったというわけだ。代わりにメルセデス・ベンツからは、その製作費のほかに6リッターの60度V型12気筒エンジンなど、必要なメカニカル・コンポーネンツが提供されるという条件である。
  ローテックでは、まず当時の自動車や航空機に使用されるもっとも軽量で最新の素材、クロームモリブデン鋼管とカーボンファイバーの複合材を用いたフレームが設計された。
  ボディデザインはこのフレームと同様にロッターシュミット自らが描いたもので、左右のドアはシザース式、全体的に滑らかな曲線を基調とする、いかにもエアロダイナミクスに優れた造形を持つボディが完成された。
  ヘッドライトは、当初は3連式だったが、これは後に2連式へと改められている。エンジンフードは透明で、外部からもメルセデス・ベンツのV型12気筒エンジンの姿を見ることができるのは素晴らしい演出だった。
  搭載された6リッターエンジンには、2基のKKK製ターボチャージャーが組み合わされ、その過給圧は0.85バールと1.20バールの2タイプを設定。最高出力は各々1000馬力、1200馬力が6300rpmで発揮された。同様に最大トルクは1100Nmと1320Nmが3400rpmで出力。組み合わせられるミッションはCima製のオイルクーラー付き6速MTで、デファレンシャルにもLSDが与えられた。
  カーボン製のボディパネルを採用するなど、徹底的な軽量化によって1280kgの車重を得たシリウスの運動性能はやはり特筆したもので、0-100km/h加速は3.8秒、0-200km/h加速も7.8秒で走り抜けた。最高速は400km/h以上と発表されたが(430km/hと記載された資料もある)、残念ながらこれらは実測値ではない。
  いまからおよそ30年も前に誕生したローテックのスーパーカー。1000馬力、400km/hという数字が与えたインパクトは、現在とは比較にならないほどに大きかったのである。

あわせて読みたい

「世界限定799台の最新スーパーカー」“フェラーリ F80”が日本初お披露!価格や販売台数、販売開始時期は未定?
MonoMaxWEB
メルセデスAMG SL63 S Eパフォーマンス(4WD/9AT)【試乗記】
webCG
【メゾンカカオ】ジェイアール名古屋タカシマヤの夏催事に出店
PR TIMES Topics
ついに日本上陸を果たした911初のハイブリッド「 ポルシェ 911 カレラGTS 」を多方面から比較検証!GENROQ2025年5月号発売!特集は「本気の頂上バトル」。
ラブすぽ
GENROQ2025年5月号発売!特集は「本気の頂上バトル」。
PR TIMES
アートフィギュア『HELLO KITTY "BLACK SERIES"』発売
PR TIMES Topics
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 51 メルセデス・ベンツ300SL
octane.jp
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 52 ポルシェ956
octane.jp
【MARY QUANT】「接触冷感」タオルハンカチと首元に巻けるロングタオルが登場
PR TIMES Topics
Mercedes-Maybach EQS 680 SUV|100年の伝統はEVでも健在【文化系男子は電気自動車の夢を見るか?Vol.35】
UOMO
GENROQ2025年6月号発売!特集は「麗しきクーペの世界」。
PR TIMES
希少なきのこと玉緑茶を独自ブレンドした龍舞茶発売
PR TIMES Topics
メルセデスAMG CLEカブリオレ/メルセデスAMG GTクーペ【試乗記】
webCG
『オクタン日本版』創刊50号記念!あなたが読みたい車の記事を教えてください
octane.jp
洋服のように天候や気分に合わせてアウターを変えられる新発想のリュック
PR TIMES Topics
自動車メーカーの「F1参戦」が目立つワケとは?
東洋経済オンライン
メルセデス・ベンツの大黒柱、GLCに加わったエントリー・モデル、220d“コア”に試乗 これは最良の選択肢だ!
ENGINE Web
和紙の肌着「UNDERSON UNDERSON」LIMITED CONCEPT STORE
PR TIMES Topics
ベンツ「G 580 with EQ Technology」電動化の意図
東洋経済オンライン
【試乗リポート】新登場したメルセデスGLC Coreは本当にお買い得なのか?
LEON.JP
アメリカンシェーブアイスが楽しめる電動かき氷器「シェイブアイスメーカー」登場
PR TIMES Topics