【試乗】極悪路こそが生息地! それでいてオンロードも快適! 三菱トライトンが開拓する新たな世界を堪能

2024.03.19 10:00
この記事をまとめると
■三菱の話題のピックアップトラック「トライトン」にオフロード&一般道で試乗した
■トライトンは4WDと余裕ある最低地上高によって抜群の悪路走破性を披露した
■一般道でもスムースなハンドリングを披露し、トライトンの総合力の高さを感じた
ついに市販モデルの三菱トライトンに試乗
  ピックアップトラックとして世界中で大きなシェアを持つトライトンが国内市場へ再投入されることが決まり、 そのプロトタイプモデルの試乗を昨年北海道のテストコースで行ったが、今回はいよいよ市販モデルでナンバー付き車両をクローズドのオフロードコースと周辺の一般道を使用してテスト走行することができたのでリポートしよう。
  トライトンにはGSRとGLSの2グレードがラインアップされている。GLSはスタンダードな仕様で価格を抑えているのに対し、GSRはオーバーフェンダーを装着したり、またインテリアにレザーを多用するなど高級感を持たせ、ハイグレードモデルとして位置づけている。ただ、パワートレインやサスペンションなどの走行性能に関する部分は共通となっていて、どちらのタイプを選んでも同等の走行性能を有しているという。
  まずはオフロードコースの極悪な路面状況のなかで走破性のテストを行う。試乗車はGLSのスタンダードグレードのほうだが、18インチのヨコハマ・ジオランダータイヤを標準装着している。
  GLSの外観にはオーバーフェンダーなどが備わっていないため、一見、地味なピックアップトラックのように見えるが、全幅1865mm、全高1795mm、そして全長に関しては5メーターを超える5320mmあり、近づくとその大きさを改めて認識させられる。GSRにはオーバーフェンダーなどが装着されているので、全幅はプラス65mmの1930mmとなり、また全長もフロントバンパー形状の差などから40mmほど大きくなって5360mmとなっているが、最低地上高はどちらも220mmと変わらない。
  運転席に乗り込むと、三菱の特徴的な水平基調のダッシュボードに7インチのメーターパネルと9インチのセンターディスプレイが装備され、またエアコンなどのスイッチが物理スイッチとなって操作性に優れていそうなことが見て取れる。
  センターコンソールにはダイヤル式のスーパーセレクト4WDのセレクタースイッチが配され、またその右上にはノーマル、エコ、グラベル、スノー、マッド、サンド、ロックと7種類のドライブモードを選択できるボタンスイッチが配置されている。
  エンジンをスタートすると、デフォルトのノーマルモードでスタンバイするようである。4WDセレクターは、まず後輪2輪駆動の「2H」からフルタイム4WDとなる「4H」、センターデフロックで直結4WDとなる「4HLc」、さらにローギアでトラクションを高める「4LLc」と選択できる。
  4WDセレクトとドライブモードは関連しており、ノーマルとエコは「2H」時に選択でき、グラベルは「4H」時で、いずれも走行中でも変更可能。スノーは「4H」時、マッドは「4HLc」時、サンドとロックは「4LLc」時で、マッド以上のモードは停止してニュートラルポジション時に切り替えることができる。さらに、リヤのデフロックが可能で、走行状況に見合った組み合わせで走破性を確保しているのである。
  まずフラットな泥濘路を走り出す。ここは 「4H」で十分走破できるような路面である。急な下り坂(20度オーバーの斜度)の泥濘路は歩行が困難なほどの角度であり、また前日の雨で路面は深くぬかるんでいて非常に滑りやすいのだが、そこを苦もなく降りていくことが可能だ。また、「ヒルディセント」スイッチをオンにすれば、時速1〜20kmの範囲で任意に走行速度を制御でき、ドライバーはアクセルペダルもブレーキペダルも踏むことなくステアリングに集中することが可能となっている。
  こうした急な坂道を降りる際には、その進入時において前方の視界がなくなって道があるかどうかも不明な状態が起こるが、そんな時はセンターパネルのカメラボタンを押すと、前方および車両周辺の状況が画面に映し出され、前方に続く路面をしっかりと認識することができる。こうした安心装備に支えられ、悪路でも不安なく踏み入れていくことができるのがトライトンの魅力となっている。
  さらに林のなかを進んでいくと、路面カントの大きなコーナー、さらに上りや高低差が60センチほどある段差路など、普通のクルマではとても走行できないような悪条件の路面状況が続いていくが、トライトンは「4H」モードで苦もなく走破していける。また、その際にエンジン音や車体のきしみ音などがほとんどなく、極めて静かで室内は快適さを保っていることにも驚かされた。
  今回、ラダーフレームを新設計し、曲げ剛性やねじり剛性を大幅に向上させたこと。また、フロントサスペンションをダブルウイッシュボーン化しサスペンション剛性を高め、ホイールストロークを増やしたことで路面への追従性が高まったことなど、悪路での適応力が高まっているといえるのである。
  こうした極悪路は、たとえばアウトランダーやエクリプスクロスなどSUVモデルにとっては難易度が高いレベルだが、なんとか走破可能な路面といえるだろう。しかし、トライトンにとっては、ほとんど日常的な路面状況といっても差し支えないほど、世界の過酷な道で日常的に使われているのである。そうした状況を世界中の多くのユーザーからフィードバックを得てマーケット情報として活かしたクルマ作りが、新型トライトンには盛り込まれていて、その実力を垣間見ることができたのだ。
  さらに先へ進むと、アリの巣状のすり鉢の特殊なコースが待つ。また、左右段差が50センチはあろうというモーグル路と非常に困難な場面が続くが、そうした路面もトライトンは軽々と走破していくことができる。
  試しにモーグル路で前後の左右対角2輪を宙に浮かせ、意図的にスタックする状況を作り出してみたが、ドライブモードでマッドのポジションを選択すればセンターデフがロックし、またブレーキLSDが力強く空転車輪をつかみ、あっという間に脱出することができた。
  それでも脱出が困難であれば、さらにリヤデフをロックすることもマニュアルで可能であり、また「4LLc」モードをセレクトすることで、最強の悪路脱出性能を引き出すことができる。このように段階的に走破性をコントロールできるところも、トライトンの走りに深みを感じる部分だといえる。
一般道では乗用車感覚でコーナリングしていける
  さらにコースを進んでいくと、今度はおよそ30度の泥濘路急勾配を登っていくコースが現れる。 また、左右に小さくターンする難しい状況を、トライトンは高い旋回性を持ってクリアできる。エンジンが縦置きで前輪操舵角が最大37.10度と大きく取れるようになり、最小回転半径は6.2メートルとなっている。実際にロックトゥロックまでステアリングを切り込んでターンをしてみると、数値以上に小まわりすることができ、取りまわし性に優れていることがわかる。
  続くステージの路面は、同じく急な登坂路で、大きな岩がゴロゴロと転がっているようなコースである。もはや道とはいえず、土石流の跡を登っていくような印象すら受ける。こうした場面でも、トライトンは220mmという最低地上高を生かして苦もなく登っていくことができる。最大トルク470Nmを1500回転から引き出せるトルクの太いエンジンが、こうした場面では有効に活かされ、4LLcのローギヤードポジションだと一層力強く登っていくことができるのである。
  トライトンはピックアップトラックであり、荷物積載重量は最大500kgを可能としている。また、大人5人が乗れる4ドアのキャビンを持つ。トータル800kg以上の積載が可能で、そんな状況でもこの走破性を引き出せるのが4LLcモードに託されているのである。
  この後、下りの長い泥濘路を速度を上げて降りていくが、車体フロアをどこも擦ることなく走破できたことは大きな驚きでもあった。アプローチアングルが30.4度(GLS)、デパーチャーアングルは22.8度と大きく、またランプオーバーブレイクアングルは23.4度となっていて、それはオフロード専用車といっても過言ではないほどの数値。
  フロントオーバーハングが小さいことは細い道での取りまわし時に有効で車両感覚を掴みやすい。リヤサスペンションはリーフスプリングでリジットアクセルを吊り下げているが、リーフスプリングの幅を太くし、また2枚構成とすることで作動フリクションを低減。スムースなホイールストロークを実現している。こうしたチューニングがトライトンの接地性や操作性、そして快適性をもたらす要因となっているのである。
  このオフロードコースで、トライトンの悪路走破性の高さが抜きん出ていることが確認できた。次は一般道に出て、日常的な走行性能を確かめてみる。おそらく日本国内においてこのトライトンを購入するユーザーの多くは、日常的に舗装乾燥路を走行することになる。いくら悪路走破性が高くても、毎日泥濘路や砂漠を走るわけではないので、一般的な乾燥舗装路を快適に走れることが、日本のユーザーにとってより重要な問題といえるだろう。
  一般道を走り出すと、ステアリング特性が非常にスムースでリニアな動きであることがわかる。ステアリングギヤ比は決して大きくなく、少ない操舵で通常の乗用車と同じようにコーナリングをしていけるのはありがたいことだ。ひとつにはデュアルピニオンのパワーステアリングが採用されたことでステアリングラックの剛性が高まり、また路面からのキックバックを軽減してくれるので走りの質感が高く感じられるのである。
  一方で、18インチのタイヤ/ホイールは1本当たりの重量が30kg前後と重く、路面の細かなデコボコやアンジュレーションに対してはときおり振動を引き起こす。その一部が車体に伝わりステアリングやキャビンのフロアにシミーとして伝わるような感覚も確認できた。こうした部分は今後さらに磨き上げられ、チューンアップ・改善され、快適さを増していくと期待が持てるところだ。
  標準装着の18インチタイヤは60扁平であり、どちらかというとオンロードのコーナリングパワーを高く引き出す傾向にある。それを65や70扁平などに引き下げれば、タイヤ特性がよりマイルドでソフトな乗り味となって微振動を低減してくれるかもしれない。
  エンジンは4000rpmからがレッドゾーンとなり、一般道の走行では1500から2000rpmの間で走れてしまうが、新開発の2.4リッター直噴ディーゼルターボエンジンのフラットなトルク特性と6速ATのロックアップ制御が力強さを発揮し、トレーラーの牽引もラクラクこなせるという。
  ダブルキャビンの後席は十分な広さがあり、またUSBの電源ソケットやドリンクホルダーなど、大人5人が乗車しても、長距離の移動で十分使用できる快適性と装備を持っている。人によっては背もたれの角度が立ち上がりすぎているという意見もあるが、悪路を走破するときは上半身が立ち上がっていたほうが腰や上半身への路面からの突き上げ入力が軽減されるので、むしろ好ましいといえる。砂漠や未舗装路の悪路を長時間走るような環境での使用において、トライトンの実用的な快適性がリヤシート背もたれ角度やシート形状にも生かされているのである。
  トライトンは75リットルの燃料タンク容量を持ち、モード燃費はWLTCモードで11.3km/Lとなっていて、その通りに走れれば840km以上の航続距離が引き出せる。また、クリーンディーゼルエンジンゆえ尿素SCR用タンクは17リットルと大型のものを装備していて、1000kmで1リットル、1万5000kmほどは未補給で走行できるということも、ユーザーにとってはありがたい。
  スペアタイヤは荷台のフロア下に格納され、その横に尿素タンクが配置されている。30kgの重さのあるスペアタイヤを交換する事態に遭遇するのは避けたいものだが、スペアタイヤを装備していることは安心感を得る上で重要といえるだろう。
  このように、悪路のオフロード、一般道ともに、トライトンの適合力の高さと相性のよさを確認することができた。
  おそらくこのトライトンは大きな支持を得て、世界中からオーダーが集中することになるだろう。 日本国内でもすでに多くの受注を受けているといわれていて、ピックアップトラックの新しい使われ方、ユーザー層の開拓に大きく貢献すると期待されている。

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