もはや伝統芸能の域!? 令和の時代にあえてMT車を選ぶ理由って……バカ真面目に考えてみた

2023.11.11 17:20
この記事をまとめると
■いまMT免許を取る人は全体の27%程度しか存在しない
■現在では競技で速く走るのであればATのほうが優秀と言われている
■「楽しさ」「気持ちよさ」などの観点からいまMTを選ぶべき理由を考察してみた
いまあえて「MT車」を買う意味はあるのか
  いまどき、「速く走るためにMT車を買う」という人もほとんどいないだろう。競技の世界においても、峠道や深夜の首都高湾岸線的な世界においても、いまやオートマチックトランスミッション搭載車のほうが、MT車よりも“速い”わけだからして。そして燃費も、あまり興味がない分野なのでよくは知らないのだが、近頃はAT車のほうが良かったりもすると聞いている。
  しかし、だからといって「じゃあMT車を買う理由はどこにもないね!」ということには決してならないこと、言うまでもあるまい。なぜならば、職業的なレーサーやラリードライバーではない我々一般ドライバーは、「速く走るため」にクルマを買っているわけではないからだ。
  ならばなぜクルマなどという、本体価格が高価で置いておくだけでも駐車場代やら保険料やらがかかってしまう難儀なモノを、わざわざ買うかといえば――もちろん第一義としては「便利に移動し、同時に荷物なども運搬するため」というのがあるわけだが、わざわざWEB CARTOPの記事を読むような人は、決してそこだけには収まっていないはずだ。
「便利に移動するため」という理由に加え、「だって楽しいから」というシンプルな理由も持ち合わせているはずであり、もしかしたら「だって楽しいから。そして気持ちいいから」というほうが、わざわざクルマを購入する理由としては強いのかもしれない。
  そのような「だって楽しいし、気持ちいいじゃん?」という部分をもしも重要視するのであれば、MT車の優位性はいまだ薄れてなどいない。まぁATの性能もずいぶん上がったいま、無理にMT車を買う必要もないとは思うが、「より楽しくて、より気持ちいいほうが素敵じゃない?」と思うのであれば、まだまだMT車を選ぶ意味は十分にある。
  MT車の運転を「気持ちいい!」と感じる瞬間は多々あるが、ひとつにはそのときの自分の“気分”と”ギヤ”がぴたりと合った瞬間だろう。
  AT車だと、「……ここはどう考えても3速に落として、ぐっと前に出たい気分だよね」という局面でも、機械あるいはコンピュータが高いギヤを選択したままの状態を強いられる瞬間がある。
  まぁそんな場合でもキックダウンさせるか、もしくはシフトレバーやパドルでアレしてあげればいいわけだが、そのひと手間がうざいというか、「俺とクルマとの間に邪魔が入ってしまった」ような気分が訪れ、瞬間的に冷めてしまうのだ。
  だがマニュアルトランスミッションであれば、「……ここはどう考えても3速に落として、ぐっと前に出たい気分だよね」という局面では、当然ながら自分で3速に入れればいいだけなので話が早い。スッと瞬間的に、そのときの自分の“気分”に合った走行を実践できるわけである。それが、気持ちいいのだ。
MTの良さは「気持ちよさ」に尽きる!
  話はやや脱線するのかもしれないが、「不快」という感情の多くは、「自分が状況をコントロールできないとき」に訪れる場合が多い。逆に言うと、自分が己の意志で状況をコントロールできるのであれば、たとえそれがけっこう過酷な状況であったとしても、人は不快や不愉快をさほど感じない。そういう意味で、MT車は「不快ではない」のだ。
  以上で「いまどきあえてMT車を買う理由」あるいは「MT車の運転を気持ちいいと感じる瞬間」は言い尽くしてしまったように、個人的には思う。あとはすべて些細なことだ。
  些細なことではあるが、「MT車をシフトダウンさせる際の気持ちよさ」は、AT車のそれと比べると遥か彼方の高みにある。
  ステップATやDCTを7速あたりから4速ぐらいにコンコンコンッ! とシフトダウンさせるのも決して悪くはない。だが、ごく普通の速度でもって4速にて幹線道路などを巡航させているMT車を、「コンッ!」と3速にシフトダウンし、グッと前に出る際のダイレクトな快感は、ATの車のそれと比較してしまってはMT車に失礼だろう。6速から5速、あるいは5速から4速も悪くないが、個人的には「4速→3速」に、なぜか最大の快感を覚える。
  そのほかでは「……自分はいま、MT車の運転という“伝統芸能”をしっかり継承できているなぁ……」と思ったとき、優越感というほどのものではないが、ちょっとした誇らしさというか、気持ちよさのようなものを感じる。
  警察庁が発表している「運転免許統計」によれば、2022年に指定自動車教習所を卒業して普通免許を取得した人のうち、MT免許を取った人の割合は27%でしかなかったとのこと。要するに、「若い人のほとんどはMT車の運転ができない(運転の仕方を知らない)」ということであり、おそらくは30代ぐらいの「まあまあ若い人」も、状況は似たようなものだろう。
  そのことを責めるつもりはないし、MT車の運転ができる自分を自慢するつもりもない。先ほど申し上げたとおり、昨今はATの性能もずいぶん上がっているため、無理にMT車を買う必要などどこにもないからである。AT車、ぜんぜん上等である。
  だが、「確実に失われていく伝統的な技能を、俺は継承できているのだな……」と思ったとき、気持ちよさというのとは少し違うが、少し誇らしく、少しうれしく思うのだ。
  だからといって、若い人々に「キミもMT車に乗りなさいよ。気持ちいいから!」みたいなお説教をしてもうざがられるだけなので、決して言わないわけだが。

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