【試乗】「三菱らしいクルマって……」の答えが一発でわかった! 新型トライトンをハードなオフロードで走らせたら圧倒的な4WD性能に衝撃

2023.09.25 17:00
この記事をまとめると
■「十勝アドベンチャー・トレイル」にて三菱トライトンに中谷明彦さんが試乗
■三菱が誇る4輪制御のAWCにセンターデフロック機能を備えた悪路走破性を優先した仕様
■あらゆるステージで高い悪路走破性能を披露したトライトンに三菱車の走りのDNAを強く感じた
話題の三菱トライトンに北海道のオフロードコースで試乗
  東南アジアを中心に世界中で人気が高く支持されている三菱自動車のピックアップトラック「トライトン」が、約9年振りにフルモデルチェンジされ3代目となった。新型となった今回のモデルは、約12年ぶりに日本国内でも販売されるということもあり、内外から注目が集まっているのだ。
  三菱自動車は、北海道にある同社テストコースに隣接するオフロードステージである「十勝アドベンチャー・トレイル」にて、この新型トライトンのプロトタイプを試走させる機会を与えてくれた。
  トライトンという名は多くの国内のユーザーにとって聞き慣れないだろう。トライトンはタイにある同社工場で設計から生産まで行なわれ、世界中(約150カ国)に輸出されている。東南アジアやオセアニア、欧米や南米、ロシアでも大ヒットを記録している車種で、三菱自動車の経営的にも屋台骨になってきたという。
  トライトンの車名は「三菱」のトライアングル(三角)と「1トンの積載能力」を合わせたネーミングだという。1トンピックアップトラックは、東南アジアや中東など主に発展途上国などで非常に需要が高い。また、イギリスやスペインなどでも沢山のトライトンを見かけることがあり、パジェロが廃止されてしまった現在、悪路走行における三菱自の信頼を一身に背負っているとも言えるだろう。
  国内に登場するモデルは国内法規に合わせて最大積載荷重は500kgとなるが、トライトンの名前はそのまま継承される。また、世界的にはふたり乗りシングルキャブ、エクステンデッドのクラブキャブ、4ドアのダブルキャブがラインアップされているが、国内で販売されるのはダブルキャブの5人乗りのみとなる。
  外観は「BEAST MODE(勇猛果敢)」をコンセプトとし、ダイナミックシールドによって逞しさと安心感を融合して強調したフロントグリルが特徴的だ。高いボンネット位置やオーバーフェンダー調のホイールハウスまわり、カーゴデッキの造形にもこだわりが感じられ、本場アメリカの大型ピックアップに劣らない逞しさを見事に具現化している。
  搭載するパワーユニットは4N16型2.4リッター直4クリーンディーゼルターボエンジンで、フロントに縦置きされ、6速ATあるいは6速MTが組み合わせられている。今回試乗したのは6速AT仕様だ。また、ダイヤルセレクター方式の4WDシステムを搭載。後輪2輪駆動(2H)をベースに、フルタイム4WDモードも選択可能。4H、4HLc、4LLcと選択可能なスーパーセレクト4WD IIを採用している。
  もちろん三菱自が誇る4輪制御のAWC(オールホイールコントロール)技術を採用し、前輪内輪にブレーキをかけることで旋回性を高めているが、前後トルク配分は40:60に固定されているため、S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)とは呼ばれない。一方、センターデフのロック機能も備わり、あくまでも悪路走破性を優先している。
  伝統的なラダーフレームは新開発されたもので、以前にも増して強靭な剛性を与えられている。フレーム断面積は65%拡大し、曲げ剛性は60%。捻り剛性も40%も強化されたのだ。一方で、ハイテン鋼の使用比率を増加させ、重量増は最小限に抑えている。
  フロントサスペンションには実績のあるダブルウイッシュボーン式が踏襲されているが、アッパーアームの取り付け点を上方に移動させ、ストロークを20mm拡大。接地性や乗り心地の向上が図られている。一方リヤサスペンションはリーフリジッド方式だ。
過酷なステージを難なくこなすトライトンの実力
  今回、走行ステージとなる「十勝アドベンリャー・トレイル」は、三菱自動車の十勝研究所のすぐ隣に位置し、これまでもパジェロやデリカD:5など、同社のRVで悪路走行体験やグランピングを楽しめる場所として活用されてきた。かつてパジェロのラリー仕様車でパリ・ダカールラリーで日本人初の総合優勝を果たした三菱自動車の増岡 浩氏がコースを設定。本格的なオフロード車の走行テストも行なわれる過酷なステージもある。
  トライトンの走破性を試す場所としては格好のステージといえるわけだ。
  車両に乗り込みコースイン。100%未舗装路で構成され、初めのコーナーからして難易度が高い。まず細い林道をハイスピードで抜け、大きなうねり路を進む。車体が右、左と捻られるがキシミ音ひとつせず、高いシャシー剛性を感じることができる。
  次に約30度のキャンバー路。ひっくり返りそうなほどの傾斜で進むが、安定感は突出している。じつは同コースをアウトランダーPHEVやデリカD:5、デリカミニでも走るのだが、いずれの車両も難なくクリアできてしまった。こんな悪路試験を常に見据えた車両開発を行なっているからこそ三菱車らしいDNAが引継がれている、といえるのだろう。
  続くロック路は大小の石が路面を埋め尽くす。ここでトライトンはもっとも難易度の高い部分を走行できる。左右の操舵輪にキックバック入力が過大に入るが、電動パワーステアリングがそれを抑え、直進に保舵したまま走破できる。
  モーグル路は左右に大きな凸凹が設定され、前後の対角上の一輪が同時に浮き上がってしまう場所。普通の車両ならトラクションが失われ走行不能となってしまうが、グラベルモードで十分なブレーキLSDがかかり、前進可能だ。
  登り・下り勾配のステージは運転席から前方が目視できないほどの急傾斜だ。こうした状況では前方カメラで事前に路面情報を読み取り、エンジン下の路面状況としてモニターに映し出して安心して進むことができる。近年のオフロードビークルには標準化が進んでいる先進的な機能を装備しているのだ。
  圧巻なのは「ダカール坂」と名付けられた斜度約30度の坂道。下り区間はヒルディセントを稼働させ、ゆっくりと確実に降りる。折り返しての登坂では、登り始めると目視できるのは空だけ。先の路面はモニター画面で確認するしかない。しかも路面は泥濘んでいてスリッピーだ。ここを標準装着のダンロップAT25タイヤ(ヘビーデューティなマッドタイヤではない)で一気に駆け上がれてしまうのは、優れたトラクション性能の現れだろう。
  いずれの走行シーンでも、室内は静かで快適だ。モダンなデザインと上質な質感のインテリアはシティユースにも十分な満足感が得られる。北米ではピックアップトラックをフォーマルユースでも使用するユーザー層が一定数以上におり、北米メーカーのピックアップトラックにかける情熱は熱い。トライトンはそんなユーザー層も視野にいれているようで、新しい販路の拡大も期待できる。近年のSUVブームから国内でもそうしたニーズが生まれる可能性が高いのだ。
  会場にはアウトランダーやデリカD:5、デリカミニも用意され、それぞれ同様に悪路走破性が高いことを再認識させられた。4WDの基本性能と、AWCやS-AWCが悪路でも機能していることを確認することができたのだ。
  こうした走りの実力が「三菱らしいクルマ」のベースとなり、ユーザーの「安心と安全」と、さらに「快適さ」にも繋がっているのだと現地に来訪していた三菱自の加藤社長は語る。じつは加藤社長、ドライビングが大好きでテストドライバートレーニングも受けているらしい。当日も会場でハードな走りを堪能していた。新型トライトンでジャンピングスポットを果敢にジャンプする姿を披露しようと機会を狙っていたかのようだった。
  そんな加藤社長にパジェロやランサー・エボリューションなど三菱車の走りのDNAに対する熱い想いをお聞きし、今後の三菱自動車が送り出すモデルに期待しないわけにはいかなくなった。

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