【試乗】レイバックは車高を上げただけのレヴォーグじゃない! 「しなやかな上質さ」はスバルの本気が見える仕上がりだった

2023.09.23 11:50
この記事をまとめると
■スバル・レヴォーグの新モデルとして「レイバック」が追加された
■中谷明彦さんが佐渡のワインディングロードでスバル・レイバックを試乗した
■佐渡ではインプレッサでもっともベーシックなガソリン+FF仕様にも試乗
レヴォーグ待望のニューモデルは車高を上げたSUV風
  スポーツワゴンとして人気の高いスバル・レヴォーグにニューモデルとして「レイバック」が設定された。世界的ブームとなっているSUVとして仕立て直されたこのニューモデルに、新潟県佐渡にて試乗する機会が得られたのでリポートしよう。
  佐渡を走るのも訪れるのも人生初めて。参加する多くのジャーナリストにとっても同様だったようで、佐渡の道を知るものはほとんどいない。
  今回設定されたのはワインディングロードである。それもひと区間を貸し切り、一般の通行を断って自由な走行パターンを試せる。それもそのはずで、この試乗会のタイミングはまだ正式発表前。試乗車もナンバー登録されていないプロトタイプということで、スクープに対するガード面でも佐渡は適していたといえるだろう。
  指定されたワインディングは登り勾配と下り区間が混ざり、大小のRのコーナーが続く。路面のアンジュレーションも適度にありテストドライブには丁度いい。
  さて、初めて目にしたレイバックは従来のスバル車と同様なデザインアイデンティティを継承しているように見えるが、確かに細かなディテールは斬新だ。ラジエターグリルやバンパーデザインなどの大胆な造形を見せている。
  一方、車高が高く設定されていて、ホイールアーチの内側には樹脂製のモールディングが施され、いかにもSUVらしい身なりとなった。レヴォーグが地を這うような低いフォルムを特徴としていたのとは対象的で、高い車高が悪路走破性の良さをアピールしているように見える。
  レイバックは最低地上高をレヴォーグより50mm高い200mmとした。一方、全高に関しては1570mmとなっていて70mm高い。これは、レヴォーグと同様の位置にエンジンを搭載することで低重心を維持するため、車体側にスペースが生じたからだという。こうした手法は、インプレッサと派生モデルのクロストレックにも見られたもので、成功体験としての実績がある。
  また、フロントトレッドを15mm、リヤトレッドを25mm拡幅しているが、これはサスペンションロアアームを延長して適合させている。サスペンションストロークも増えるので、SUVとしての走破性は確かに高められていることだろう。
  では早速乗り込んで走らせてみる。インテリアのデザインはタッチパネルの大きなセンターモニターが目を引き、ダッシュボードはレザー風仕上げでステッチも縫い込まれ、質感が高い。液晶メーターの視認性やインフォテイメントなどもモダンな仕様ながら、すでに完成された実用性を備えているようだ。
  シートもツートーン仕上げでサポート性と乗降性を両立した新デザインを採用している。車高が高まったことで座面サイドのサポート部分がひっかかるのを防ぐ配慮を施している。やや固めの座り心地も欧州テイストで好感が持てる。
  1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンにリニアトロニックCVTトランスミッションを組み合わせ、スバル得意のAWD機構を採用するなど、パワートレインはレヴォーグと同様だ。
  ハイブリッドなどの電動化システムは一切なく、ピュアガソリンモデルのみの設定で、当面は戦略的に販売していくのだろう。
しなやかな乗り心地と抜群の安定感を持つレイバック
  走り始めると、サスペンションがしなやかに路面を捉え、シャシーの質感が非常に高まっていることに驚く。これはサスペンションのロアアームを延長したことで、結果的にスプリング/ショックアブソーバーにかかるレバー比が小さくなり、バネレートを下げることが可能となったことで得られたメリットだ。
  具体的な数字は明かされなかったが、スプリング反力が明らかに低下し、ショックアブソーバーの作動初期ダンピング特性も高まっていて質感の高い走り心地となっているようだ。
  コーナーでは車体のロールが小さく抑えられていることがわかる。車高が50mmも高くなっていてスプリングレートも下げられているのにロールが抑えられるのは、エンジンの低重心効果の表れと言えるだろう。
  前後の重量バランスもよく、シンメトリーレイアウトと相まって走りがスムースで気持ちよく、コントロール性にも優れている。
  ただ、大きなバンプを通過する場面ではリヤサスペンションがフルバンプし、バンプスストッパーへの当たりが強く感じられる場面もあった。この辺は今後さらに煮詰めが進んでいくだろう。
  2670mmとなったホイールベースで後席足もとスペースは広く余裕がある。後席の快適性が高まることも車名に由来する部分であるとのこと。
  試乗を通じてレイバックの走りや実用性、質感の高さには大いに感心させられたが、電動アシストのないピュアガソリンターボゆえの燃費数値にはいささか不安を感じざるを得ない。レギュラーガソリン仕様とはいえ、昨今のガソリン価格高騰を思うと、スバリストの愛情なくして大きな販路を拡大できるのかは疑問に感じるのだ。
  初めての佐渡を新型プロトで走る喜びは海外で試乗する気分であった。佐渡も自動車がなくてはならない環境。夏は暑く、冬は雪も降る。厳しい自然環境を安心安全に走り抜くためのアイテムとして、レイバックの走破性と安心感、完成度は見事にマッチしていた。
  この佐渡にはさらに現行のインプレッサも試乗用として用意されていた。一般道、市街地、佐渡の名所をまわるにはナンバー付き車両であることが必要で、編集部が選んだのはインプレッサシリーズのなかでもっともベーシックなガソリン+FF仕様。e-BOXERなどで電動化も施されていないピュアなガソリンエンジン搭載モデルだ。
  なぜこのモデルを選んだのかというと、じつはスバルユーザーのなかで一定数このベーシックモデルを選択する人がいて、非常に好評なのだという。フルラインアップAWDを公言するスバルであえてFFを選ぶ意味はなんなのか。
  佐渡の一般道を走らせると、その魅力の一端が垣間見えた。けしてパワフルではなく、装備も必要最小限。電動パワーステアリングのフィールはAWDに合わせ込まれたままのようで操舵力が軽く、センタリングも甘い。だが、肩肘張らずに気軽に扱える親しみやすさがある。
  このインプレッサで佐渡金山を訪れ、野生のトキを探して畑道を進むと、取りまわしの良さや不快でない適度な乗り味がいつも乗っているクルマのように感じられる。静かなエンジン音と走行ノイズの静音性が効を奏したのか、野生のトキの群れに巡り会える奇跡も起こった。
  新型レイバックの野性味ある走りとは異なる都会的ながらも地方の交通事情にも適度にマッチするインプレッサの姿もありだな、と確かに思う。
  短い佐渡の滞在だったが、スバル車の奥深さを探るには十分なプログラムだった。

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