新型トライトンは日本で成功するか!? ガチライバル「ハイラックス」と「同じ土俵じゃない」難しさとは

2023.09.23 07:00
この記事をまとめると
■3代目三菱トライトンが国内導入される
■日本のピックアップといえばトヨタ・ハイラックスが強い
■ハイラックスの成功には大きな値引きもありトライトンが同じように売れるかは疑問
トライトンのライバル「ハイラックス」は日本で成功している
  7月26日にタイの首都バンコクにて3代目となる新型三菱トライトンがワールドプレミアされた。トライトンは三菱自動車が一部地域を除く世界市場で販売しているピックアップトラックとなり、2005年に初代がデビューしている。
  東南アジアではトライトンのようなピックアップトラックのニーズが高いのだが、とくにタイではトライトンの生産拠点であるだけでなく、トヨタ・ハイラックス、いすゞD-MAXの3台が激しく販売台数競争を展開しており、世界初公開の場としてタイが選ばれたと筆者は考えている。
  先代、つまり2代目トライトンは途中のマイナーチェンジで“ダイナミックシールド”デザインを採り入れたフロントフェイスを採用した。バンコクのような都市部ではウケたようだが、地方部では“飛ばしすぎた”顔つきにユーザーがついていけずに販売面では苦戦したという話も聞いている。そのようなこともあったのか、3代目は盛大なワールドプレミアが行われたようにも見える。
  トライトンは初代モデルが日本市場にも導入されたが、2代目は日本市場に導入されなかった。そして3代目は2024年初頭に日本市場導入予定となっている。三菱自動車が今回新型トライトンの日本国内導入についてさまざまな企業判断を経て決定したのだろうが、トヨタ・ハイラックスの日本市場での好調な販売というものも後押ししているかもしれない。
  現行ハイラックスは2017年9月に日本市場への導入が発表されている。生産はトライトンと同じタイにあるトヨタの工場で行われ輸入販売されている。現行モデルは導入後年間販売台数ベースで調べてみると6000台前後を年間平均で販売されており、都内や隣接県でも意外なほど見かけるほどの人気の高さを見せている。
  月販ベースで見れば500台程度なのに人気モデルといえるのか? と疑問に思うかもしれないが、ハイラックスはトラック扱いとなるので“1ナンバー”登録となり、単に“自家用”として楽しむには維持費の面ではハードルが高いのである。
  もっとも気になるのが、高速道路などの有料道路代。一般乗用車と車両区分が異なり有料道路代の負担は結構重くのしかかることになる。1ナンバー登録となるので車検は1年に1回受けることなる。費用面での負担では賛否もわかれるところだが、毎年という手間が増えることは間違いない。税金と保険面では自動車税や重量税、自賠責保険料では費用負担が軽いものの、任意保険は割高になるようだ。“ピックアップトラック”に乗りたいという人は多いが、その多くは1ナンバーとなるので所有するハードルは結構高くなってしまうのである。そのなかで、「あれっ」と思うほどハイラックスピックアップを見かけることを考えると「よく売れているなあ」という判断になるのだ。
  トラックと言うとどこか価格が安い印象を持つ人もいるかもしれないが、商用車そのものは乗用車に比べると、装備は簡素なのだが生産台数が限られることもあり以外に割高な乗り物となる。ハイラックスでもエントリーモデルで約350万円、GRスポーツでは約430万円となり、価格的には手軽に買えるというものではない。それでも、アウトドア系の趣味があり使い勝手もいいなど、ニーズの多様化もあり引き合いが多くなっているのだろうが、じつはほかにも魅力があったとは事情通。
「じつは販売現場で聞くと常態化していたかまでは確認できなかったのですが、50万円や60万円の値引きが飛び交っていたそうです。単純に車両価格ベースで見れば、エントリーモデルでは約350万円が約290万円になります。GRスポーツでも約340万円になりますからね、一気に価格面での魅力は増しますよね」。
  また、ハイラックスはトヨタ系正規ディーラーならばどこでも買えるのだが、全国のトヨタ系正規ディーラーすべての店舗でトヨタ車がすべて買えるようになった2020年5月以前は、ハイラックス系はトヨタ店の専売となっていた。その流れもあり、いまもハイラックスはトヨタ店での販売が目立つようだ。
トヨタ店の富裕層は「面白い」でハイラックスを購入することも
  トヨタ店といえばかつてはクラウンを専売してきており、全車を扱うようになってからはアルファードが専売だったトヨペット店並みにアルファードを販売するようになった。クラウンだけでなく、ランドクルーザー系も長い間専売してきたこともあり、地元の有力企業経営者を中心とした富裕ユーザーを多く抱えている。このような富裕ユーザーでは当然複数保有も当たり前となり、メインではクラウンを乗りながら、試しにFCEV(燃料電池車)のミライも所有するというのも珍しくないとのこと。ハイラックスもいわゆる“現場”を持つような職種の企業経営者ならば、現場をまわるといった仕事用にも使えるので、ハイラックスを複数保有するマイカーの1台にするといった需要も目立っているようである。ハイラックスが好きで乗る人もいるが、「社長こんなのもありますよ」とセールスマンが勧めて、「面白いねえ」といったやりとりでハイラックスが売れるということも目立つのである。
  新型トライトンの日本市場導入に水を差すわけではないが、トライトンがハイラックスの“二匹目のどじょう”を狙っているのならば、それは少々難しいかもしれない。50万円や60万円の値引き販売が行われていたとされるハイラックスだが、本稿執筆時点でまもなく改良されるとの情報がある。そして販売現場では改良後はそこまで値引きが荒れることはないので、売れ行きにも影響が出るかもしれないとの話も出ている。
  トライトンが世界的インフレ傾向のなか、物価高に苦しむ日本でデビューするのだから、“値引きなし”はなくとも、50万円引きや60万円引きほど荒れた値引き販売はまず行わないだろう。さらには、三菱車にはコアなファンも多いと聞くので、発売立ち上がりからしばらくは堅調なセールスが続いたとしても、ハイラックスのように国内導入からアベレージで年間平均6000台売り続けられるかという話もある。そもそも、そこまで売るつもりがないとなれば、車両価格に跳ね返ってしまう(車両価格が高くなる)だろう。同じ右ハンドルの国のタイでよく売れているのだから……、といった話はよく聞くが同じ右ハンドルでも日本の法規は結構ガラパゴスで法規対応にコストがかかると聞いたことがある。
  またトヨタ店ほど“面白い”というだけでポンと買ってくれる環境が、三菱系正規ディーラーに整っているのかも気になるところである。
  そして最後、“そんなの気にしてクルマ買うな”とお叱りを受けることもあるのだが、再販価値の高さも魅力的なようだ。趣味性の高いクルマなので、売り先やドレスアップの有無などでも変わりやすいようだが、いろいろ調べてみると中古車市場でも高い人気なので、再販価値が高めに推移しているのは間違いないようである。
  ハイラックスという宿敵を新型トライトンがどこまで追撃していくのか、じつに楽しみである。

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