アルファードが子どもに見えるホンダのミニバン! なんと2座仕様にもできた「ラグレイト」は復活希望!!

2023.09.22 17:20
この記事をまとめると
■ホンダ・カナダから、北米版オデッセイとも呼べる「ラグレイト」が展開されていた
■1996年に日本にも逆輸入車として導入され、当時は国内市場最大サイズのミニバンであった
■あまりの大きさに日本市場ではヒットせず短命に終わってしまった
アメリカ版のオデッセイがかつて日本で売られていた
  2023年冬、ホンダのミニバン、オデッセイが復活(中国からの逆輸入)する。で、いまどきはホンダのミニバンのフラッグシップ、最大サイズのミニバンがオデッセイ……だと思う人がほとんどだと思うが、じつは、かつて国内版オデッセイよりはるかに大きいホンダの”デカミニバン”が存在した。1台はエリシオン(初代2004〜2015年/日本仕様)だが、その前身となるのが、ミニバン大ブーム最中の1996年6月に国内で発売開始された、さらにデカいホンダ・ラグレイト(~2005年12月)だった。
  その実態はアメリカ版オデッセイであり、右ハンドルに仕立て直されたホンダ・カナダからの逆輸入車である。なにしろ、両側パワースライドドアを備えたボディは全長5105×全幅1935×全高1740mm、ホイールベース3000mmという当時としては巨体だった(プラットフォームは専用)。
  最新のトヨタ・アルファードが全長4995×全幅1850×全高1935mm、ホイールベース3000mmだから、ホイールベースは同じにしても、全長、全幅ともにアルファードよりかなりデカかったわけだ。車重にしても、基準のラグレイトが1950kg、上級のエクスクルーシブが1960kgと、当時の日本で乗れるミニバンとしては最重量級だったのだ。価格はラグレイトが366万円、上級グレードのエクスクルーシブは396万円でスタート。当時の輸入ミニバンの1台、クライスラー・ボイジャー(3.3リッターV6)が約400万円だったから、ある意味、アメリカン同士では割安だったかも知れない。
  パワーユニットは基本的にホンダ・オブ・アメリカ製の3.5リッターV6 VTEC+4速ATで、前期型は205馬力、30.2kg-m(ネット値)。当時の10-15モード燃費は8.0km/L。「燃費なんて関係ねーぜ」という燃費性能だったのだ。
  なお、サスペンションはさすがホンダ謹製で、フロントはマクファーソンストラット、リヤはダブルウイッシュボーン。タイヤは215/65R16サイズ、最小回転半径は巨体にしては扱いやすい5.7mだった。なお、2003年4月からの後期型では、3.5リッターV6 VTECエンジンが240馬力、33.0kg-mにパワー&トルクアップされ、ATも5速となっている。
  装備類も充実。デュアルパワースライドドア、ホンダDVDナビゲーション、MDデッキ+6スピーカー、運転席8ウェイパワーシート、クルーズコントロール、1列目席ヒーテッドシート、フロントフルオートエアコン、リヤマニュアルエアコン、1列目席木目調センターテーブルなどが両グレードに標準装備され、エクスクルーシブグレードは本革インテリア(一部PVCレザー)が奢られていた。
大柄なボディはゆとりのある車内空間を実現
  パッケージもホンダのクリエイティブさが満載。2列目席はデタッチャブルシートで取り外しが可能。3列目席はホンダ上級ミニバンの例にしたがって床下収納式になるのだが、3列目席格納+2列目席外しでは、それこそ大型商用バン並みの前席+大容量(奥行2530×幅1220×天井高1240mm)のラゲッジルームを備えたユーテイリティカーに変身する。
  それだけじゃない。床下収納式の3列目席はクルリと回転させることで反対向き(車体後方向き)にセットすることができ、ひさしとなる大型テールゲートを開ければ、3人がけの外向きベンチにもアレンジできたのだから、楽しすぎる!!
  その室内空間は、室内長こそ全長からすれば拍子抜けな感じだったものの、室内幅はさすがに余裕たっぷり。インテリアの仕立てはフツーで豪華さはなかったが、当時としては贅沢な両側パワースライドドア、スイング式リヤクォーターウインドウの電動開閉には感動させられたものだ。
  当時の試乗メモを引っ張り出せば、エンジンは文句なくトルキーでスムース。1900kg超えの車重だけに、出足は重ったるいものの、いったん速度が乗ってからの加速力はなかなか。そして、VTECエンジンを高回転までまわしたときの気持ち良さは、筆者も所有していた2代目オデッセイの3リッターV6に通じるものがある。そして3.5リッターV6ならではの巡行時の車内の静かさにも驚かされたものだ。
  ただし、荒れた路面や段差の乗り越えでフワリとする収まりの悪い乗り心地、穏やか過ぎて、速度を増すとタイヤからのインフォメーションが乏しくなるステアリングの操舵感がウィークポイントに思えたのも本当だ。言ってみれば、古きアメリカ車のようだが、それには理由がある。そう、タイヤがカナダ生産だからか、オールシーズンタイプだったのだ。オデッセイのようなサマータイヤを履かせれば、印象、走りの質が大きく変わったと想像できる。
  とはいえ、高級ミニバンとしての完成度の高さ、商品力の高さに、”ボディサイズと走行性能を除けば”大感動させられたと記憶しているのが、かつてあったホンダのフラッグシップミニバン、日本ではデカすぎてか短命に終わったアメリカ版オデッセイのラグレイトだったのである。
  さて、今年の冬に復活するオデッセイだが、非ボックス型であり、両側パワースライドドア装着ミニバンとしては低全高。ホンダのフラッグシップミニバンではあるものの、トヨタ・アルファード、走りに振ったヴェルファイアとは車格的、押し出し感的に敵わない点は、以前のオデッセイとまったく変わらない。ならば、ホンダがラグレイトクラスのミニバンを復活させれば、アルファード&ヴェルファイア、エルグランドとの国産LLクラスミニバンの3巨頭になりうるかも知れない。
  もっとも、かつてのラグレイトのような、デカいオデッセイ的なおとなしめのエクステリアデザインでは、堂々としたボックス型のアルファード&ヴェルファイアに太刀打ちできるはずもない。ここのところのステップワゴンに象徴されるホンダミニバンのデザインコンセプトを、もう一度練り直して、大迫力のホンダLLクラスボックス型ミニバンの登場を期待したいものだ。

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