「Camp Jeep 2023 with Feel EARTH×学びの森」に参加しました。ジープを外から、中から見つめるイベントです。
荷物満載、かっこいいジープが麓に集う
モノよりコトの時代といわれはじめて久しい。クルマに例えれば、憧れの1台を手に入れるより、その愛車でどんな体験ができるのかが重要。クルマは目的ではなく手段というわけ。21世紀に入ってからのSUV人気も、そんな傾向を助長しているように思う。
家族と冒険のための道具をいっぱいに詰め込んで、まだ見ぬ景色を追いかけて旅に出る。冒険という言葉の前ではミニバンやナンチャッテなSUVはお呼びではない。そこは本格派の出番。もちろんジープはその代表格である。
【画像】見たら行きたくなる? 「Camp Jeep 2023 with Feel EARTH×学びの森」【写真でたのしむ】 全139枚
今回われわれが訪ねた「Camp Jeep 2023 with Feel EARTH×学びの森」は、以前はJeepフェスティバルという名前で開催されていた。ジープ・オーナー定番のキャンプ・イベントであり、まだ日が浅いジープ乗りにとっては憧れのステージにもなっているようだ。
8月5日から6日にかけて、静岡県富士宮市にある広大な「ふもとっぱらキャンプ場」で開催されたこのイベントは、コロナ禍を経て今回4年ぶりの復活を果たしたのである。
イベントは土日の2日間だが、原っぱの上に自らのウィークエンドハウスを築いてのんびりすることが趣旨のオートキャンプなので、金曜日から現地に入り、週末をじっくり楽しむ人も多かった。
われわれが土曜朝、ふもとっぱらを目指していると、ラゲッジスペースからあふれ出た荷物をルーフキャリアに乗せて、お気に入りのアウトドアブランドのステッカーで個性を出したジープたちが視界の中に徐々に増えていく。
ジープ・オーナーにとって最高の週末のはじまりである。
ほどよい演出、オトナのイベント
いつも大人気のふもとっぱらキャンプ場を独占して開催される「Camp Jeep 2023 with Feel EARTH×学びの森」は参加費を要する立派なアウトドア・イベントである。
会場内にはジープ・オーナーだけのキャンプサイトが用意されていたり、ジープの走破性を体感するための本格的なオフロードコースがこのイベントのためだけに誕生していたりするが、催しはそれだけではないのだ。
ジープ・オーナーは皆さん手慣れている感じで、自らのサイトで家族や仲間と盛り上がりつつ、たまに会場をひとめぐりするようなそんな感じ。分別のついたオトナがマイペースで、少しだけ特別な週末を楽しむような雰囲気なのである。 ステランティス・ジャパン
アウトドア雑誌がプロデュースするフィールアースだけに、人気のショップや話題のアウトドアブランドの出店で混みあう区画があるかと思えば、キャンプファイヤーを中心にした皆が集える広場、そして特設ステージも用意され、タイムスケジュールに則って様々な催しがおこなわれていたりする。
というと今どきの音楽フェスのような感じを想像するかもしれないが、そんなワァーっと会場全体が一気に盛り上がったりするような「緩急」はないのだ。
ジープ・オーナーは皆さん手慣れている感じで、自らのサイトで家族や仲間と盛り上がりつつ、たまに会場をひとめぐりするようなそんな感じ。分別のついたオトナがマイペースで、少しだけ特別な週末を楽しむような雰囲気なのである。
もしかしたら、愛車のジープは今年納車されたばかりで、イベントも今回が初(?)というパターンもあったのだろう。それでもラングラーが泥っぽかったりするとベテラン風に見えてしまうもの。ジープはオーナーに貫録を与えてくれるクルマなのである。
間隔は空いている でも距離は近い!
今回のイベントに集まり、愛車の横にテントを広げたジープの数は実に220台! しかも写真を見てもらえばわかると思うのだが、その景観というかクルマ同士の間隔がすばらしい。
混みあったオートキャンプ場にありがちなすし詰めの感じではなく、皆さん思い思いの場所に、という感じなのだ。
「オーナーかそれ以外か」という区別が生まれがちだが、ジープに関してそういった垣根は存在しない。だからこそこのイベントが未来のオーナーの好奇心を刺激するのだろう。 ステランティス・ジャパン
ふもとっぱらキャンプ場の特性でもあるのだが、キャンプ・ジープの人気の秘訣がわかったような気がする。また今回はわれわれをはじめいくつかのメディアが取材に訪れていたのだが、宿泊には1棟ずつテントが用意されていた。
しかもジープのインポーターであるステランティスジャパンのスタッフも皆、自前のテントを持ち込み、家族とともにイベントを楽しんでいた。
全員の意識的かつ物理的な距離が近いこともこのイベントの特徴であり、もとよりジープとアウトドアをこよなく愛する集団だということがよくわかった。
また今回のイベントを俯瞰していて「いいな」と思ったのは、たとえジープ・オーナーではなくても、フィールアース側のサイトにクルマを止めて同様に楽しめるという点だった。もちろんオフロード試乗などのプログラムも楽しめるのである。
この手のイベントでは「オーナーかそれ以外か」という区別が生まれがちだが、ジープに関してそういった垣根は存在しない。だからこそこのイベントが未来のオーナーの好奇心を刺激するのだろう。
来年はどうする? AUTOCAR JAPANチームもすでにそんなことを考えているのである。
記事に関わった人々
執筆:吉田拓生
1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
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