「ほぼ存在しない」市場シェア0.3%のジープ 失敗続きの英国で巻き返し 鍵はEV

2023.07.01 00:00
公開 : 2023.05.23
米国の自動車メーカーであるジープは、苦戦する英国市場での業績回復を目指しています。ブランドCEOは、新型EVのアベンジャーを皮切りに、電動車の投入が切り札になると期待を寄せます。
苦戦する英国市場 EVで業績回復へ
米国の自動車メーカーであるジープは、AUTOCARの取材に対し、これまで「2度失敗した」という英国市場に再挑戦するため、電動化を大幅に推進する方針を示した。

ジープは、アベンジャーをはじめとするEV製品群を、SUV市場でシェアわずか0.3%という「事実上存在しない」地位にある英国での切り札として位置づけているのだ。
【画像】欧州市場をターゲットにした小型SUV【ジープ・アベンジャーを写真で見る】 全41枚
フランス人でジープブランドCEOのクリスチャン・ムニエ氏はインタビューに率直に答え、欧州におけるジープの新しい未来、ジープのイメージ、そして英国市場の重要性について語った。

――ジープの能力にとって電動化は何を意味するのでしょうか?

「わたしにとっては、4WDでEVを走らせることほどエキサイティングなことはありません。その理由は、トルク・オン・デマンド、ワンペダル・フィール、回生ブレーキです。アクセルとブレーキを同じペダルで操作するので、必要なトルクを得られるのです。非常に正確で、精密で、ソフトで、スムーズです。そして同時に無音なので、鳥の声も聞こえます。基本的には岩にタイヤが当たる音ばかりですが、これはかなりエキサイティングなことですよね」

――保守的なオーナーは変化に反対することもあるのではないでしょうか?

「ジープは、非常に早く、多くの成功を収めました。2年前に発売したラングラー4xeは、すでに北米のPHEVセグメントでナンバーワンになりました。そして、昨年11月に発売したグランドチェロキーは、ハイブリッドの世界で長く続いてきたいくつかのブランドを大きく引き離して、第2位にランクインしています」

「ジープは非常に好調で、その理由は製品の良さにあります。V6が好きな人たちが、電動のジープ・ラングラーを体験して、自分たちが間違っていたかもしれないと気づき、考えを改めるのです」

――英国はジープにとって例外的な国であり、国内SUV市場のシェアはわずか0.3%しかありません。なぜ、英国ではこれほどまでに成功できなかったのでしょうか?

「さまざまな理由があると思います。1つ目は、2014年にレネゲードを発売したとき、英国を含む欧州のあらゆる地域でかなり良いスタートを切ったのですが、その後、わたし達のパワートレインが排出ガスを理由に叩かれるようになったことです。税金やその他諸々のペナルティが課され、製品の勢いがなくなってしまったのです」

「その後、インド製造のジープ・コンパスを発売しましたが、これは右ハンドル車であったことが理由です。ところが、それは正しい判断ではなかった。英国市場のお客様のニーズは欧州とほぼ同じで、技術や安全性、パワートレインなど、あらゆる面で求められることが近いからです。ジープは2度失敗したと思っています」

「今、ジープは純粋なBEVであるアベンジャーを導入していますが、これはBセグメントの中でも小さい方で、英国ではかなり重要なセグメントです」

――英国におけるジープの成功とはどのようなものでしょうか?

「現在、ジープのシェアは英国のSUV市場の0.3%しかなく、およそ存在しないも同然です。幸いなことに、英国人はまだクルマを愛している。運転に対する情熱がまだあり、移動のためだけにクルマを買うわけではない。英国人は運転を楽しんでいるのです。だから、ジープというブランドも英国で共感を得られると思います」

「どの調査でも、英国人はジープブランドが好きで、ブランドには何の問題もないと言っています。そのため、ライフスタイルの要素を強化する必要があると思います」

「ここ数年、収益が上がらず、ブランドへの信頼を失っている販売店との関係を再構築する必要があります。アベンジャーはその触媒になると考えています」
記事に関わった人々
執筆:マット・プライヤー
英国編集部エディター・アト・ラージ

翻訳:林汰久也
平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。
もっと深掘り
ラングラー4xeに右ハン予定はなし ジープ、次世代EVに注力 英国で7車種展開
ジープ・アベンジャー 電動化の嚆矢、日本を掠めた日 実車を見た印象は?
ジープPHEV「4xe」一気乗り ラングラー/グランドチェロキー/レネゲード
採石場ではスタック不可能? フォード・レンジャー・ラプター ジープ・ラングラー 直接比較 前編
70年代風「チェロキー4xe」も登場 ジープ 7台のコンセプトカーを一挙公開

あわせて読みたい

プジョー、衝撃の新調査。 英ドライバーの過半数がなんと車両保険未加入!
CARSMEET WEB
モンスタークレーマー化する大統領…「売れる日本車」を逆恨みする"トランプとアメ車"の悲しい現実
PRESIDENT Online
オリジナルメッシュパッケージでそのまま洗える新感覚のパックウェア登場
PR TIMES Topics
タイEV市場、中国勢席巻で「レッドオーシャン」化
東洋経済オンライン
理由を知ればゾッとする…三菱自動車がEV生産を委託するホンハイの「本当の狙い」
ダイヤモンド・オンライン
「花言葉」をテーマにした文房具ボックスを販売
PR TIMES Topics
コンパクトSUVのボディに秘められた冒険心が魅力! 黒木美珠の輸入車デビューへの道「ジープ レネゲード」編
CARSMEET WEB
ジープ初の電気自動車「アベンジャー」と姉妹車フィアット「600e」を比較してわかったこと
GOETHE
見て・知って・味わって楽しむ、新体験型スポット『紙遊』オープン
PR TIMES Topics
「限定150台の特別なジープ」コンセプトは闇夜に浮かぶ漆黒のサメ…人気SUVコンパスが黒に染まった限定車“ブラックシャーク”登場
MonoMaxWEB
【スクープ】これってポルシェ「カイエンEV」のテストじゃないの!? ベントレー初のBEVプロトタイプがついに始動!
CARSMEET WEB
熱々の飲み物を2分で急速冷却する画期的なボトル「IceQuick NEO」登場
PR TIMES Topics
「ジープ・グランドチェロキー」の最後を飾る限定車「ファイナルエディション」登場
webCG
ジープ×ハリソン・フォード! 2分間のフォード主演「Owner’s Manual」、ビッグゲームCM映像を公開
CARSMEET WEB
地域食材使用した贅沢なこだわりのスパイス販売開始
PR TIMES Topics
「日本仕様はこれが最後…」ジープ グランドチェロキー ファイナル エディションが限定100台で登場
MonoMaxWEB
次世代「ジープ・コンパス」、いよいよ2025年春に欧州で公開! 生産は伊メルフィ工場を予定
CARSMEET WEB
【KEYUCA】炭酸飲料を長時間楽しめる!新ステンレスボトルを発売
PR TIMES Topics
日産が2026年度までの新車投入計画を発表 クロスオーバータイプの新型「日産リーフ」を発売
webCG
「3月でお別れ」な人気の個性派SUV3台! チェロキー、モデルX、アウトバックと離れガタイ理由
OCEANS
クラシック音楽を香り化するフレグランスブランド「ラニュイ パルファン」より初のお香を発売
PR TIMES Topics