FRならなんでも有り難がるクルマ好きよ真実を知れ! レーシングドライバーが語る「ドリフトできる」ガチもののFR車とは

2023.05.03 17:30
この記事をまとめると
■FFが大半を占めるようになった現在でもいまだFRレイアウトを好むユーザーは多い
■最近のFRはスライドを電子制御しているモデルが多く、FRなら何でもドリフトできるとは限らない
■国産FR車はコスト制限やノウハウの不足からFRらしい走りができないモデルも多い
FRでもドリフト走行を楽しむにはいくつかの条件がある
  FR(フロントエンジン/後輪駆動)レイアウトには長い歴史と多くの名車があり、FF(フロントエンジン/前輪駆動)が大半を占めるようになった現代でも、なおFRレイアウトを好むユーザーは多い。
  FRの美点はエンジンを縦置き搭載することでエンジン搭載部となる前輪左右の重量配分が均等化されやすいこと。水平対向4気筒エンジンを縦置き搭載するほとんどのスバル車が「シンメトリーレイアウト(左右均等重量配分)」をメリットとして謳っているが、多くのFR車は同様にシンメトリカルな前輪重量配分になっている。
  また、直列エンジンであればエンジンルーム内の左右スペースにゆとりがあり、タイヤハウスを大きく取れ、フロントハブにはユニバーサルジョイントが無いので前輪操舵角も大きく取れる。これで最小回転半径を小さくできるので実用性が高い。FRでは後輪をパワースライドさせてドリフト走行が理論上可能になり、その際のカウンターステアアングルも大きく取れるので深いドリフトアングルが可能になる。
  ただ、最近のモデルでは電子制御でテールスライドを抑制しているモデルがほとんどで、ドリフト走行を目的とするならFRならなんでも良いというわけにはいかない。電子制御をカットしても、サスペンションが柔らかすぎて内輪がリフトしてしまうような車種では、LSD(リミテッドスリップデフ)が装備されていないとパワースライドを上手くコントロールすることもできないだろう。
  FRであればシンメトリーで左右重量配分は良くなるが、パワースライドによるドリフト走行を楽しむためにはいくつかの条件が必要になるのだ。
  FRの弱点として挙げられるのは重いプロペラシャフトをキャビン中央床下に通さねばならないこと。重いプロペラシャフトが高速で回転するので振動やノイズが発生しやすい。また、生産工程においても手間がかかりコスト効率が悪い。プロペラシャフトをカーボン製にして軽量化するスーパースポーツもあるが、コスト増加を免れない。
  また、室内中央を前後にフロアトンネルが通ることで室内スペースが狭くなる。
  FRはリヤアクスルにデファレンシャルユニット(デフ)を備え、エンジンの回転方向はここで90度転換され後輪を回転させる。その際に5〜15%ほども動力伝達効率が悪化すると言われている。直線スピードだけを競り合うならFFのほうが速いといわれる所以だ。
  リヤアクスルに駆動系を配置するため車体後部の剛性確保も重要だ。頑丈なクロスメンバーを備えているか、その車体への取り付け点やブッシュなど取り付け剛性は強化されているかなど、検証する課題は多い。
ドリフト走行できないFR車ばかりでもFR信奉は根強い
  長い歴史がFRの走りをFRらしく仕上げるノウハウを育み、BMWやメルセデス・ベンツなど欧米の多くのメーカーは、製品化する際に妥協なく仕上げることが多かった。国産車はというと、コストの如何、ノウハウの有る無し、妥協点も多く、FRでありながらFRらしい走りができないモデルが過去にもいまでも多い。
  車体やサスペンションの剛性が低く、サスペンションジオメトリー的にもリヤロールセンターを高くして対角(ダイアゴナル)ロールを発生させている。これでは、コーナーでリヤのインリフト(内輪の浮き上がり)を引き起こし、駆動力を伝えなくなってしまう。コーナーでの速度を抑制してスピンなどを起こさないように配慮したものだが、こうした設定ではパワースライドは行いづらい。
  加えて、デフもフリーにして旋回時の内輪差を吸収することに特化している。同じFRでもクルマの根幹に対する設計の基本やハンドリング、ドライビングの経験則や理論的アプローチが国産車と欧州車では圧倒的に異なっていた。国産FR車をFRらしく走らせるには、チューニングやセットアップの変更が不可避になってくる。そんな過程からドリフト競技が生まれ、専用チューニングが根付いたと言っても過言ではない。
  ドイツのメルセデス・ベンツやBMWなら、LSDを装備していなくても質の高いパワースライドコントロールが可能だ。多くの国産FR車の場合、前輪に大きなネガティブキャンバー角を設けてLSDを装備させ、大トルクのエンジンを搭載しないと自在にパワースライドさせられない。
  過去に自在に操れた国産FRを紹介すると、三菱自動車のスタリオンターボくらいしかなかった。スタリオンはBMWからリヤセミトレサスペンションのピックアップポイントに対する特許を取得して採用していた。
  初代カローラレビンやスプリンタートレノ、86時代のレビン/トレノやセリカなど、雪道であればドリフトを楽しめたが、乾燥舗装路面ではリヤアクスルが暴れてLSDなしではほぼ不可能だった。そうした事実を知る世代は国産FRに過剰な期待を持っていないが、それでもFR信奉者は根強く存在する。

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