「エモーショナル」なデザインのクラウン&プリウスがバカ売れ! でも本来は「地味」なのに売れるクルマが理想?

2023.04.25 06:20
この記事をまとめると
■クラウン・クロスオーバーやプリウスの販売が好調
■2台はエモーショナルな見た目が話題となっている
■だが筆者はシンプルなデザインでヒットした4代目カローラ・セダンのようなクルマが理想だと考えている
クラウン・クロスオーバー&プリウスが好調!
  エモーショナルな見た目が話題のトヨタ・クラウン・クロスオーバーやトヨタ・プリウスの販売が好調のようである。自販連(日本自動車販売協会連合会)による、各単月締めでの車名(通称名)別の新車販売ランキングによると、2023年1月から3月までのクラウンとプリウスの累計販売台数は、クラウンが1万3382台(月販平均台数約4460台)、プリウスが2万756台(月販平均台数約6918台)となっている。販売台数とはいっても、両車ともに納車までは相当期間待つことになるので、実際はバックオーダーのうち何台新規登録できたかという結果と考えていいだろう。
  現行クラウン・クロスオーバーは2022年7月に世界初公開され、同年9月より発売となっている。納期遅延傾向が続くなかでもすでに発売から半年以上が経過していることもあり、東京都内だけでなく、広く地域を選ばずに街なかを走る姿を見かけるようになった。2023年1月にHEV(ハイブリッド車)が発売となった現行プリウスはクラウン・クロスオーバー以上のスピードで街なかで頻繁に見かけるようになった。筆者は東京隣接県に居住しているのだが、一般的にデビューしたばかりの新型車は東京都内で頻繁に見かけるようになっても、筆者の生活圏内ではなかなか見かけることができないケースもあるのだが、今回は東京都内と同時多発的に見かけるようになった。ただし、筆者が当初見かけた現行プリウスの多くは“わ”ナンバー、つまりレンタカーだったのだが、その後はオーナーカーとしても街なかを多く走る姿を見かけるようになった。
  クラウン・クロスオーバー、プリウスともに全国のどのトヨタ系正規ディーラーでも買い求めることができる。しかし、クラウン・クロスオーバーについては国内4チャンネル(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)が残る地域で話を聞くと、依然として過去にクラウンを専売していたトヨタ店において販売が集中しているようで、トヨタ店以外のチャンネルのセールスマンのなかには「まだクラウンを売ったことはない」というセールスマンも多い。キャラクターだけでなく、クロスオーバーでは駆動方式もFFベースのAWDへ変更し、さらに歴代モデルに比べて買い求めやすい価格設定となっているので、新規客も取り込んでいるようだが、販売現場の話や街なかでステアリングを握っている人を見ている限りは、歴代クラウンユーザー(年配ドライバーが目立つ)からの乗り換えが目立っているようにも見える。
  そもそも歴代クラウンでは長い間クラウンを乗り継いでいるユーザーや、そのユーザーから紹介される筋の良い客(資金洗浄などのリスクがない)への販売がメインで、店頭にフラッとやってきたお客へ販売するといったケースは稀であるとも聞いている。クルマのキャラクターが変わっても、売り方は一新していないようである。事実、現行クラウン・クロスオーバーは北米や中国市場でデビューしているが、それ以外の国では正規販売される前に個人輸入という形で各国に輸出され日本仕様が販売されている地域もあるので、そういった海外輸出されてしまうリスクも高いので、慎重に相手を見極めながら売っていくことが必要なのである。
4代目カローラはシンプルなデザインで成功
  新型プリウスも販売にあたりメインターゲットとなるのは歴代プリウスユーザーとなるので、意外なほど年齢層の高い人中心にアプローチしているものと考えられる。ただし販売現場で話を聞くと、「シートポジションはクーペのように低いこともあり、車両見切りが難しいように見えます。2リッターベースのHEVは加速もいいので、一般的な年配のお客様へは積極的に勧めにくい」と語るセールスマンもいる。
  筆者は長い間カローラ・セダンを乗り継いできた、ある意味「保守系トヨタユーザー」となるだろう。その筆者が乗り継いできたカローラ・セダンのなかで印象深いのは、4代目70型カローラ・セダンとなる。きわめてオーソドックスな万人受けするボクシー(箱型)スタイルのセダンなのだが、なんともいえない美しい面構成なので(とくにリヤ)、ジウジアーロがデザインを担当したという都市伝説まであるほど。とにかく当時のライバル車を寄せ付けない上質感を醸し出していた。前期モデルでは当時は高級車の証ともされた丸目4灯式ヘッドライト(カローラ・セダンでは4灯式を採用するのは、国内ではこのモデルのみ)を採用するなど、見た目は普通だけどどこかひきよせられる細かい部分での魅力を持っていた。
  またドアの開閉音も当時のライバル車にはない独特の上質な音となっていた。当時我が家では1.5リッターGLという中間グレードに乗っていたのでタコメーターが未装備だったのだが、それを感じさせない質感を持たせた少々クセのある計器盤も印象的であった。乗っていた日本仕様の搭載エンジンは当時の昭和53年排気ガス規制対応タイプということもあり、とにかく非力でトルクもスカスカでけっして褒められるものではなかったが、それでも4代目カローラ・セダンは日本で大ヒット。さらに海外でも売れまくったモデルであり、バブル経済のころ(80年代後半から90年はじめ)に当時のセールスマンに話を聞くと、当時は6代目カローラ(ハイメカツインカム初搭載モデル)が大ヒットしていたのだが、「4代目はとにかく売りやすくて、その売れ行きは6代目の比ではなかった」と語ってくれた。
  令和のいま、消費者も多様化し求めるものもかなり異なっているのは確かな話。トヨタだけでなく、VW(フォルクスワーゲン)やメルセデスベンツなど長らく世界でたくさん売ってきたブランドではどこも、ユーザー層の高齢化が世界的な課題となっていると聞く(若年層は飽きているともいわれている)。
  ただエモーショナル路線だけがその解決策とは筆者は思っていない。2022暦年締め年間世界販売で、トヨタ、VWに次いで第3位となった韓国・現代(ヒョンデ)自動車グループでも状況が同じであるなか、一部車種でエッジのきいたエモーショナルなモデルを多くラインアップしているが、それでも全車がエモーショナルというわけでもない。
  量販しながら新世代のユーザーを囲い込もうとするならば、70型カローラ・セダンのような、オーソドックスでシンプルな「無機質な道具的イメージ」ながら、人の感性に自然に訴えかけるアクセントを持ったクルマ作りというものも大切だと考える。今一度4代目カローラとはどんなクルマだったのかを再認識してニューモデル開発の参考にしいてみてはいかがだろうか。
  そうはいいながらも、「平成のカローラ」といわれて大ヒットした3代目プリウスも同様なのだが、奇をてらわずに「傑作レベル」の完成度のクルマを作ると、なかなか次の新車へ乗り換えてもらえないという副作用をはらんでいることも間違いない。

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