【試乗】新型プリウスはカッコイイだけじゃなくて走りも相当いいぞ! まだ発売前のPHEVはさらに衝撃だった

WEB CARTOP
2023.02.04 12:30
この記事をまとめると
■新型プリウスのFFモデルと4WDモデルを公道で試乗
■クローズドコースでPHEVモデルも試乗した
■燃費は先代モデルと大きく変わらないが、デザインやユーティリティが大幅に向上している
新型プリウスの公道でのパフォーマンスは如何に
  5代目となった新型プリウスをいよいよ公道で走らせる機会がやってきた。富士スピードウェイ・ショートコースで体験したプロトタイプ試乗で素性の良さは確認済みだが、一般道での扱いやすさ、操縦性を中心にリポートしていこう。
  今回用意されたのは2リッターD-4Sガソリンエンジンを搭載するHV(ハイブリッド)モデルのFF(前輪駆動)とリヤアクスルにも駆動モーターを追加した4輪駆動モデルのE-Fourの2モデルだ。
  まずはFFモデルから。
  おそらく世界的にももっとも販売数が多くなると見込まれるのがこのモデルだ。外観に意匠的な差別化はほとんどなく、E-Fourモデルには助手席側ドア前下部にエンブレムが設置されていることだけが見分けるポイントといえる。
  フロントガラスに大胆な傾斜角が付けられ、Aピラーは21度まで寝かせられている。運転席に着くと、さすがに額の辺りに圧迫感が感じられる。身長の高い人はシートを後退させるので気にならないかもしれないが、むしろ身長の低い人、女性でヒップポジションを高く設定しがちな人のほうが影響を受けそう。サンバイザーを下げる時も前頭部に干渉しそうなほどだ。ヒップポジションを最低部まで下げ、ややシートバックを倒し気味のポジションを取る必要があり、ステアリングにはチルトに加えテレスコピック機構が追加されて適応性を高めている。
  かつて愛車として3台を乗り継いだ三菱GTOのシートポジションを思い出してしまったが、GTOのようなスポーツカーでも意見はさまざまにあった。世界的なベストセラーカーとしてのプリウスでこの大胆な試みがユーザーから歓迎されるのかどうかは見守る必要がありそうだ。
  加えてドライバーの眼前にはステアリングの上から視認するトップマウントメーターが採用されている。7インチの液晶モニターに必要な情報を集約して表示させているが、標記文字が小さく見辛い。また、メーターの視認性を妨げないために35φの小径ステアリングを採用していることも特徴的だ。
  フロントガラスの傾斜は空力性能よりデザイン性を優先させたためだという。新型プリウスのデザインは間違いなく格好良く、クルマの好きな人には歓迎されるが、運転席に着座して運転のしやすさを直に確認してみる必要がありそうだ。
  システムを起動し、シフトセレクターをDレンジにセットすれば走り出せる。シフターの位置がセンターコンソールのやや後方に位置していて、前述の前よりポジションを採るドライバーは操作時に肘が狭く感じることになる。
  走り出しはEVモードで83kW、206N・mと強化された電動モーターで力強さとスムースさを備えた。0-100km/h発進加速で10秒以下のタイムを引き出せる動力性能を与えられたことは注目に値するだろう。一般道ではまずアクセル全開にすることはないが、発進から加速、車速維持、旋回加速などあらゆる走行シーンでパワーにゆとりを感じる。その結果、アクセル操作量は減少し燃費向上にも繋がる。今回の発表資料によれば、WLTCモード燃費は28.6km/hとなっており、4代目の最高燃費を上まわった。試乗中にもコンスタントに20km/L台以上の燃費を引き出せており、実用燃費は相当優れているといえそうだ。
  ハンドリング面では、ステアリングの操舵初期応答ゲインの高さが気になった。小径ステアリングであることと相まって過剰なほどのゲインを感じる。もちろんグリップ限界が高く、ライントレース性には優れているが、転舵時には繊細な操作が求められる。コーナリング中の切り増し時もゲインは強く、ドライバーは的確な操舵が必要だ。ステアリングシャフトを大径化したこと、19インチで50のロープロファイルタイヤを装着したことも一因として挙げられる。
  次にE-Fourモデルを試す。前述したように外観的な差異は助手席側にエンブレムの有無のみだが、走りの質感は相当に異なる。
  後輪駆動用モーターはリヤアクスルに搭載され30kWの出力と84N・mのトルクを引き出せる。プロペラシャフトなどのメカニズム機構を持たないので重量増加は60kgに抑えられ、トラクション性能は倍に発揮できるのだから、雪国など寒冷地では必須モデルといえるだろう。今回後輪駆動モーターも単なる発進アシストではなく150km/hの高速域までアシストできる性能が与えられ、高速道路でも4WDらしい安定した走行性が確保されている。
  走り初めから後輪駆動モーターのアシストが行われるのは効率がいい。また、旋回加速などステアリング操作時には後輪よりに駆動配分が行われるので旋回特性にも優れる。直進時の轍など、外乱などに対する安定性も高く、E-Fourの存在価値は低ミュー路に限らない。ステアリング操舵ゲインに対するシャシーの寛容性もe-Fourは高く、個人的にはe-Fourの一択となりそうだ。モード燃費は26.7km/L。安定感に頼って走行ペースが早まれば実用燃費は低下するので注意したいところだ。
PHEVはスポーツカー顔負けの加速力!
  今回の試乗では、さらにエポックメイキングなプログラムが用意されていた。それは今後追加設定がアナウンスされているPHEV仕様車に試乗できるということだ。こちらはまだプロトタイプ仕様ということでクローズドコース内のみでの走行となったが、その実力の片鱗に触れる事ができた。
  PHEVは進化したTNGAプラットフォームの恩恵をもっとも活かされているといっても過言ではない。従来の4代目にもPHEVモデルは設定されていたが、大型の電池パックは荷室下面に収納されラゲッジスペ−スが犠牲になっていた。しかし、新型では電池パックは後席座面下配置となり、従来そこにあった燃料タンクはリヤアクスル中央部に抱え込まれるように配置された。これによりラゲッジスペースを犠牲にすることなくPHEV化することが可能となっている。ただ、燃料タンクを配置したことで後輪駆動用モーターの積載場所が占められたため、PHEVにはE-Fourの設定がない。
  試乗は従来モデルと乗り比べる形式で行われた。新型はシステム最高出力が164kWにまで高まり、0-100km/h発進加速を6.7秒でこなす。一方でEV走行距離は従来比で50%以上向上するといい、日常的な使用の大部分をEVでカバーできるという。クローズドコースゆえアクセル全開加速を試せたが、駆動トルクが見事に制御され無駄がなく、力強い加速を引き出せる。減速回生時にはブレーキフィールの向上も実感できる。新型プリウスの美点のひとつとしてブレーキシステムの改良があり、一般道でもクローズドコースにおいてもブレーキペダルストロークが小さく、踏力に応じたリニアな制動特性が実現されており、制動力をコントロールしやすかった。
  また、コーナリング時におけるゲインの高さはPHEVのシステム出力の高さにおいては適切なものとなり好バランスに感じられる。旋回速度が速く、横Gも強くなるので寝そべったドライビングポジションのままではシートのサポート性に不足を感じる場面もあった。
  先代のPHEVはコーナーでの車体ロールが大きく、パワーオン時のステアリング剛性の不足、ロードノイズの大きさなどが気になったが、新型にはそうしたネガはほとんど感じなかっただけに、仕上りがいかにいいのかを示す形となったといえそうだ。
  PHEVの発売は本年3月頃とのこと。その登場を心待ちにしているユーザーも多いことだろう。

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