いまだ蔓延るEVの「航続距離が不安」の声! まずバッテリー容量の拡大が「本当に必要か」を考えれば答えは出る

2022.12.30 17:30
この記事をまとめると
■EVで一充電走行距離を気にする声はまだまだ大きい
■バッテリー容量を大きくした分だけ一充電走行距離が増えるわけではない
■EVは基礎充電を繰り返して次の目的地までの電力を確保するのが賢い乗り方だ
技術の進化で一充電距離は伸びているが不安は拭われない
  電気自動車(EV)で満充電からの走行距離を懸念する声は、収まらない。しかし、そもそもガソリンエンジン車の時代は、満タンにしても300~400kmしか走れなかった。ところが、その燃費を2倍にするハイブリッド車(HV)が登場し、それに対抗して欧州車がディーゼルターボ車を乗用車に幅広く採用するようになって、満タンで1000km近く走れるようになったところへEV時代が到来したので、落差を大きく感じるようになったわけだ。
  また、給油は5〜10分で終わるが、急速充電は30分がひと区切りであり、自宅などでの普通充電は8~10時間という水準なので、給油感覚で充電を考えると、充電には時間がかかり過ぎると思ってしまう。
  このため、日産リーフも初代が24kWhのリチウムイオンバッテリー容量で、200km(JC08)走れるとしたときから、今日の2代目リーフでは40kWhの容量が標準車で確保され、322km(WLTC)へと一充電走行距離を伸ばし、60kWhの容量を備えるe+なら458km(WLTC)走れるとなっても、なおEVは走行距離の課題があると大手媒体などは論評し続けている。
  日産アリアは、66kWhのほかに91kWhの選択肢があるが、現在もなお当初の国内向けとして設定されたリミテッドでの数値しか知るよしがない。その性能は、2輪駆動のWLTC社内測定値で最大610kmとなっている。
  輸入車では、メルセデス・ベンツのEQSが107.8kWhを車載し、WLTCで700kmという性能である。リチウムイオンバッテリー容量を増やしさえすれば、これくらいの走行距離は得られる時代になった。
  対極にあるのが、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した日産サクラと三菱eKクロスEVだ。20kWhのバッテリー容量で180km(WLTC)である。
バッテリー容量の増加率と走行可能距離の増加率は比例しない
  この軽EVの性能を基準として、バッテリー容量が増大したのに比べ、どれほど距離を伸ばせているかを試算してみた。サクラ/eKクロスEVの2倍の容量のリーフ標準車の走行距離は、じつは2倍にはならず、1.78倍だ。e+は3倍の容量だが、伸ばせた走行距離は2.54倍である。アリアは4.5倍のバッテリー容量であるにもかかわらず3.33倍に止まる。EQSは5.39倍のバッテリー容量で、走行距離は3.88倍である。
  日々300~400kmをクルマで移動する人なら、一充電走行距離が長いことが求められるだろう。だが、普段の移動が100km前後であるなら、重いバッテリーを余計に搭載し、その分高価になるEVを購入する意味が薄れるのがわかるのではないか。
  大容量バッテリーは、また、それを使い切ったら長い充電時間を要する。EQSは、急速充電時間を公表しており、日本で標準的な50kWの急速充電器で80%まで充電するのに110分(1時間50分)かかるとしている。フォルクスワーゲングループが独自に導入しようとしている150kW仕様で48分だ。そのためには高性能かつ高価な急速充電器の設置が必要で、当然、そこには高額な投資がかかる。
  しかし、EVへの充電は、自宅での200Vによる基礎充電が基本で、これに同じく200Vでの目的地充電を行えば、自宅で寝ていたり、仕事先や観光地などで用事を済ませていたりする間に、充電することができる。これを繰り返すことで、次の目的地までの電力を確保するやり方が、EVを上手に使う方法なのである。
  エンジン車でいえば、止まるたびに5リッターほど給油を繰り返すような燃料補給の仕方だ。可燃物のガソリンは、自宅や事務所などで給油できない。だからガソリンスタンドに立ち寄らなければならない。しかし電気なら、どこでも充電できる。
  EVの充電基盤は本来、そのように整備されるべきであり、そこへ向かって充実させるべきなのだ。そうすれば、大容量のバッテリーを車載して容量が増えたのに走行距離の伸びが悪くなる矛盾も起きにくくなる。
  適正バッテリー容量は30kWhあたりで、250~300kmほど走れる能力があれば、自宅での夜間の充電と移動先での継ぎ足し充電を組み合わせることで、合理的なEV利用ができると考える。充電器の整備が、そのように進めることを望む。

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