この記事をまとめると
■ひと口にクルマ好きと言ってもその嗜好はさまざま
■クルマ好きにも多様性が認められるべきだ
■考えが分かれがちなポイントを7つ挙げて解説する
弄っているほどクルマ好きとは限らない!
多様性。オックスフォード英語辞典によると、多様性(diversity/ダイバーシティ)は「互いに非常に異なる多くの人や物の集まり」と定義されています。人種や性別、国籍、宗教観など人それぞれに考えや価値観があり、まさに多種多様です。
この「多様性」、当然ながらクルマの世界も例外ではありません。自他ともに認めるクルマオタクやマニアの人たちにも多様性、さらには「マジョリティ(多数者)」とマイノリティ(少数者)が存在するわけで……。その例をいくつか挙げてみましょう。
1)コレクションには興味がない
関連するグッズや書籍、カタログ、ミニカーなど……。溺愛する愛車に関連するグッズは漏らさずチェック! コレクションの総額で愛車がもう1台買えるんじゃないかというくらい費用を投じているクルマオタクやマニアもいるでしょう。
その一方で、実車があるからコレクションには興味がないというクルマオタクやマニアもいます。その分のお金が掛けられるなら、愛車の消耗品の予算に充てる! という合理的な考えがあってもいいわけです。
2)メンテナンスできない(しない)
自他ともに認めるクルマオタクやマニアたるもの、自分の愛車くらい自身の手で面倒がみられなくてどうする! なんて声が聞こえてきそうです。これは確かに正論。異論の余地なしです。
しかし、最近のクルマであればあるほど、ユーザーがメンテナンスすることに対して無言の拒絶をしてきます。きちんとコンディションを把握したい、あるいは故障を直したいのならディーラーに入庫せよ! とクルマ自身がインフォメーションディスプレイなどで知らせてきます。
古いクルマであればオーナーでも手を入れる余地がありますが、そもそも機械いじりが苦手という人もいるわけです。つまり「自分は維持することに徹して、メンテナンスは主治医にお任せ!」でもいいわけです。ただ、それなりに維持費が掛かるので、それ相応の経済的が求められます。
3)ノーマルが好き
ひと昔前であれば、クルマを購入したらノーマルで乗るのは恥ずかしいといった風潮がありました。とくに国産スポーツ系モデルであれば「何でノーマルのままなの?」と聞かれる始末。
確かにチューニングやドレスアップをすることで、より自分好み、あるいは理想の愛車に仕立てることができます。しかし、工場出荷時の状態を維持したい、カーデザイナーが創り上げた状態がベスト(つまりノーマルが好き)という価値観を持つオタクやマニアがいてもいいわけです。
不思議なもので、あれほどチューニングやドレスアップに熱中していた人の多くはいつしかいなくなり、新車からずっとノーマル状態を維持してきた人たちの方が「30年間ワンオーナー」だったりすることが多いのです。
4)AT限定免許だけど何か?
警視庁が毎年発表している運転免許統計(令和3年版)によると、普通免許の受験者数1,660,306人のうち、AT限定の受験者数は1,191,053人。これは、過半数の人がAT限定を選択していることを意味します。
クルマオタクやマニアを自称するなら普通免許一択だろう! という声が聞こえてきそうですが、新車であれば特定のモデルでない限り、ほぼAT限定免許でなんとかなります。これは最新のスーパースポーツも例外ではありません。
ただし、旧車やネオクラシックカーを所有してみたいと考えている場合は例外です。AT限定免許だとかなり選択肢が限られますし、古いクルマだとそもそもATの設定がありませんから……。
5)「女だてらに」はもはや古い?
デートカーが人気だった昭和末期や平成初期、つまりバブル期の感覚であれば「女性は助手席に座るもの」だったのかもしれません。事実、この時代に女性がスポーツカーに乗っていると「女だてらに!」といわれたそうです。
この頃のテレビドラマを観ていると、オフィスが映る場面で女性社員が手分けして各テーブル(男性)にお茶を出すシーンがあってびっくりします。今でもこの伝統が残っている会社ってあるのでしょうか……。
SNSやYouTubeをみていると、自身の愛車やカーライフを発信している女性も珍しくありません。その人気っぷりは、クルマオタクやマニアのおじさんたちは到底太刀打ちできないほど。そもそも男女のフィルターでみようとする行為自体、今の時代にはナンセンスといえます。
6)クルマを買ったことがない
都市部に住んでいるのでそもそもクルマが要らない(でもクルマオタク)、レンタカーやカーシェアリングでOK!(でもクルマオタク)、本命のクルマ以外は買うつもりはない(でもクルマオタク)、じつはまだ高校生(でもクルマオタク)。
さまざま事情や理由でクルマは所有していないけれど、自他ともに認めるクルマオタクやマニアの人もいます。「クルマを所有していないからオタクやマニアとは認めない!? なんて器量の小さい!」と連邦軍の某ニュータイプに怒られてしまいますよ。
7)そもそも免許がない
クルマを買ったことがないオタクやマニアの人がいるということは、運転免許を保有していない人もいるわけで……。
工業製品としてのクルマではなく、観賞用のコレクションとして保有したり、特定のメーカーやクルマが好きという人もいるでしょう。あるいは、クルマのことは分からないけれど、F1などのモータースポーツが好き&詳しいという人がいてもいいわけです。
さらには、幼少期のお子さんがとんでもないオタクやマニアということもあるわけで……。少なくとも、記憶力ではおじさんたちは太刀打ちできません。
まとめ:自分と異なる価値観を受け容れるか?
今現在、サッカーW杯が行われています。寝不足覚悟で、自宅やスポーツバーなどでテレビモニターに釘付けという人も多いでしょう。しかし、筆者のように締め切りに追われていたり、明日、早起きしなければならず、泣く泣く就寝中という人も大勢いるはずです。
熱心なサッカーファンからはめちゃくちゃ怒られそうですが「観たくても観られない」という人もいれば、「そもそも興味がない」と熟睡中の人だっているわけです。何しろ深夜2時近いですから無理もありません。
「〜あるべき」「〜しなければならない」など、それは確かに正論かもしれないけれど、時にその思考や指摘がプレッシャーになることもあります。
リアルな世界だけでなく、同じ趣味を持つ人同士がインターネットを通じて気軽につながることができる時代だからこそ、「いかにして自分と異なる価値観を受け入れるか(受け入れることができるか)」が大切なことではないでしょうか?