【試乗】これぞシトロエン! これぞフランス車! 新世代フラッグシップのC5 Xでしか味わえない「ゆったり」ドライブの世界

2022.09.12 17:00
この記事をまとめると
■シトロエンの最新セダンとなるC5 Xに森口将之さんが試乗した
■シトロエンならでは個性的なスタイリングとソフトな乗り心地は健在
■C5 Xはフラッグシップ・シトロエンが持っていたエッセンスを受け継いでいた
まるでクロスオーバーのようなシトロエンのフラッグシップセダン
  シトロエンはかつて、フランスを代表する高級セダンをラインアップしていた。DSやCXという名前を出せば、納得してもらえるだろう。しかしながら、21世紀に入ると人気が伸び悩むようになり、C6が2010年、C5が2015年に日本での販売を終了。入れ替わるように登場したプレミアムブランドDSが高級路線を担当することになった。
  なので、我が国におけるDセグメント以上のシトロエンのセダンとしては、C5 Xは7年ぶりの復活ということにもなる。
  プラットフォームは、シトロエンではC5エアクロスSUVが使うEMP2。DSやCXが搭載したハイドロニューマチックの現代版と言えるプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を採用するところも同じだ。
  ただし、ボディサイズは全長が4500mmとCセグメントに近かったエアクロスとは対照的に、4805×1865×1490mmとDセグメントにふさわしい数字。それ以上に多くの人は、シトロエンならではのスタイリングに引き寄せられるだろう。
  今年初めに上陸したC4と、フロントマスクやサイドウインドウまわりに共通項を持たせつつ、面や線の使い方が落ち着いていて、しっかり格上の佇まいになっている。
  CXの次にフラッグシップを務めたXMに似ていると思った。
個性的な外観に反して乗り味にはシトロエンらしさがあふれてた
  シトロエン本社でCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当する日本人デザイナー、柳沢知恵さんが関わったインテリアは、エンブレムのダブルシェブロンをアレンジしたステッチ、色味を抑えた木目調パネルなどで、こちらもシックでありながら見どころ満載。
  前席は腰を下ろした瞬間は固めかと思いきや、その後はシトロエンらしく体を優しく包み込んでくれる。試乗した上級グレードのシャインパックでは、ヒーターやベンチレーションに加えて多彩なマッサージ機能まで用意されていて、今風のリラグゼーションを味わわせてくれる。
  2785mmのロングホイールベースのおかげで、後席は身長170cmの僕なら足が組めるほど。前席より一段高めに座るのに、頭上空間がちゃんと確保されていることも感心した。ルーフが長めのプロポーションのおかげだ。
  パワーユニットは1.6リッター直列4気筒ガソリンターボと、これにモーターを加えたプラグインハイブリッド車が用意される。今回乗ったのはガソリン車。180馬力の最高出力と25.5kgmの最大トルクは控えめに映るが、シャインパックでも車両重量は1520kgと軽いので加速は十分だ。
  PHCがもたらす乗り心地は予想以上にソフトで、DSやCXを思い出す。C4との車格の違いはここでも歴然だ。人間が乗り降りするだけで車高が上下するぐらいなのだから。
  そのわりにコーナーでのロールは抑えられていて、サイズから想像するよりすんなり曲がれるけれど、このクルマのキモはやっぱり、ACCを速すぎないスピードにセットして、高速道路をゆったりクルージングするときだろう。
  それを含めてC5 Xは、かつてのフラッグシップ・シトロエンが持っていたエッセンスをしっかり受け継いでいた。内容を考えれば価格はお手頃と思う人が多いはず。このデザインに惹かれる人なら、乗り味にも満足するはずだ。

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