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男のこだわり道
アウトドア、料理、コレクション……。趣味にとことんこだわる男はかっこいい。
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ラジオの楽しみ方とこだわり習慣 〜Guest 武田砂鉄さん〜
antenna* マガジン
2019.04.07 00:00
TBSラジオで約24年間続いた夕方のワイド番組『荒川強啓デイ・キャッチ!』の終了を受けて、同時間帯に4月1日からスタートした新番組『ACTION』(毎週月~金曜 15:30~17:30に放送)。金曜日のパーソナリティとして抜擢されたフリーライターの武田砂鉄さんに、ご自身とラジオとの関わりや、さまざまな社会問題を切り取る上で大切にしていることを聞いた。
ラジオは時間をかけて物事を掘り下げる“面倒くささ”を許容してくれる
─まず、ラジオは武田さんにとってどういう存在なのでしょうか?

「子どもの頃はテレビを見ることが禁止されていて、実家では、とにかくずっとTBSラジオが流れていました。中高時代、家に帰ってくるとちょうど『荒川強啓デイ・キャッチ!』が流れていました。ずっとTBSラジオを聴いてきたので、今回、パーソナリティの話を頂いて、ただただ嬉しいですね。自分自身がTBSラジオを日常的に聴いてきたからこそ実感していますが、『じゃあオマエはどう喋るんだ』と今後は厳しい耳を向けられると思います。少しビビりながらも、そういう人たちとどうやって対話していけるかな、と考えているところです」
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─長らくラジオを聴いてきた武田さんが思う「ラジオの面白さ」とは何でしょうか?

「時間をかけてでも物事を掘り下げる“面倒くささ”を許容してくれる媒体だというところですね。テレビやインターネットのニュースは短い時間や文字数で簡潔に伝えることが重視されますが、ラジオでは一つの物事を時間をかけて掘り下げることができる。結論を急がない。僕自身、自分の原稿を読み返して『なんでこんなに一つの物事を面倒くさく掘り下げようとしているのだろう』なんて思うんですが、そういう面倒くささを受け入れてくれるのがラジオの良さだと思います」

─今後パーソナリティとしてどうありたいと考えていますか?

「ラジオは世の中の動向から個人的な悩みまで取り上げられるので、幅広く話題を扱いたいですね。賛成反対のバランスをとることを優先するのではなく、自分はこういう風に思っています、としっかり言っていきたいと思います。その上で、賛成の人、反対の人、そもそも興味ない人まで、いろんな選択肢を受け止めつつ、正直に語っていきたいです。今、世の中で話題になっていることって、とんでもない勢いで正しい・悪いが決められて、増幅していきます。だからこそ、異なる視界を想像したり、その当時者の後ろ姿から見えてくるものを伝えらたらいいなと思っています」
マーケティングでセグメントされない情報のノイズにこそ、発見がある。
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─武田さんは大衆文化から社会問題まで批評眼をもって分析されていますが、目利きの感覚はどのように養っているのでしょうか?

「歳を重ねるにつれ、今売れている音楽がなぜ売れているのか理由がわからなくなりますよね。なので、音楽ならば、ルーティンの一つとして『CDTV』を毎週観るようにしています。例えば、WANIMAというパンクバンドが、ただひたすら笑顔で肯定的な歌詞を歌って支持されていますが、自分にはどうも理解できない。パンクの始まりには、反社会的な姿勢が満ちていました。当時と今の現象はかけ離れています。だからWANIMAは違う、ではなく、なぜWANIMAがこの時代に必要とされているのかを考えるようにしています」

─自分の「わからないもの」に対して積極的に向き合っていくわけですね。

「毎日本屋に足を運ぶようにしているんですが、新刊の本屋さんだけではなく、ブックオフにも頻繁に行きます。ブックオフの本の並びや値段付けって、発売日や状態の良し悪しといった基準で並べられているので、並びがカオスなんです。そのカオスに、こっちの好奇心をぶつけて挑戦していく感じが好きなんです。自分の知性やセンスが問われるというか」
多忙な執筆活動のなか、さまざまな情報を取捨選択し、インプットを続ける武田砂鉄さん。続いては、今の武田砂鉄を形作る物事について探るべく、武田さんが偏愛するモノやこだわりの習慣について聞いた。
1.ポータブルCDプレーヤー
「出先で音楽を聴く時は必ずポータブルCDプレーヤーを使います。今ってアルバム1枚を聴くにしても気分に合わない曲は飛ばして聴けますが、本当にその作品を堪能するにはミュージシャンが作った通りの曲順で最後まで聴くのがベストだと思っているんです。その日に聴くCDを4、5枚カバンに入れてから外出するのですが、大事なのは選んだものしか聴けないということ。セレクトを間違えて仕方なく聴く、無理やり頑張って聴く、というのもまた良いんです。壊れたら今でも買い替えているほど、ポータブルCDプレーヤーと蜜月関係です」
2.バンドT
いつもハードロックやメタルのバンドTシャツを着ています。好きだから着ているんですが、メディアに出るようになると、思わぬ人が「着てましたね?」って反応してくれて、それが楽しいんですね。メタルTシャツって、ジャケットをそのままベターっと印刷したダサいものも多いんですが、そういったものを避けながら着ています。
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3.郊外(地方都市)でのファミレス
「出張で地方都市に行った際には、駅前に消費者金融とチェーン店が並んでいるような均質化された町のファミレスで、どこでも食べられるような料理を食べて『どこも変わらないなあ』と確認するのが好きです。あと、駅ビル内のだだっ広いスペースでイチャつくカップルなど、『前にもどこかで見た』という光景が目の前で繰り広げられているのも好きですね。どちらも、わざわざ来たのに変わらないじゃんっていうのが良いんです。郊外でいうと、埼玉のソウルフードともいえる『山田うどん』(チェーン店)も大好きで、編集者時代、書籍(北尾トロ・えのきどいちろう『愛の山田うどん 廻ってくれ、俺の頭上で!! 』など)の編集もしました」
【教えてくれたのはこの方】
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武田砂鉄さん
1982年生まれ。ライター・作家。大学卒業後、出版社で主に時事問題・ノンフィクション本の編集に携わり、2014年秋よりフリーへ。インタビュー・書籍構成も手掛ける。著書『紋切型社会』では、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。連載:cakes/女性自身/文學界/すばる/VERY/暮しの手帖/SPUR/SPA! /ヘドバン/EX大衆/一冊の本/UOMO/with/日経MJ/フットボール批評 など。
取材・文=冨手公嘉 撮影=高山諒(ヒャクマンボルト)
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