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判断力のないリーダーと思われないために 避けたいありがちな過ち
Forbes JAPAN
2019.11.13 08:30
リーダーであれば、賢い意思決定ができる人物として見られたいと思うものだ。しかしリーダーがどんなに賢い決断を下そうが、あるひとつの過ちを犯すことで劇的に信用を失い、判断力のない人間としてみなされてしまうことがある。しかも皮肉なことに、その過ちとは意思決定のプロセス自体ではなく、自身の決断を伝える方法をめぐるものだ。

私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」は、7000人以上を対象に「How To Build Trust In The Workplace(職場での信頼構築方法)」と題したアンケートを行い、自分のリーダーを信頼する理由としない理由を聞いた。結果、従業員が上司を信頼するかしないかを決める大きな要因は、その人が「賢い決定を下せるか否か」であることが分かった。

しかし「賢い決定を下す」ことは、良い結果につながる決定を下すことと必ずしも一致しないことも分かった。例えば、深く考えずに反射的に下した決断が、たまたま良い結果につながることも珍しくはない。

そうではなく、部下から「賢い決定を下す」人物として見られるためには、意思決定のプロセスについて透明性あるコミュニケーションをとる必要がある。多くのリーダーが犯す大きな過ちの原因はここにある。

リーダーたる自分は揺るぎない自信を醸し出すべきであり、自分の決断についての説明や根拠を示せば自分の権威が傷ついてしまうと思い込んでいるリーダーは、あまりにも多い。しかし、そうした考え方は現実からかけ離れている。

部下に対して、自分は賢い決定を下せるリーダーだと思わせたいならば、自分がその決定を下すに当たって使用したデータや情報を全て共有する必要がある。

決断に使ったデータを共有する

部下は、リーダーが決定を下す際、それについて熟考しているかどうかを知りたいと思っている。それはデータに基づいた決定なのか、あるいは成り行き任せなのか。分析やデータ、数値を基にしたものなのかを知りたがっているのだ。

特に現代の社会では、データを使用する人物に対する信頼度は高まる。たとえ自分の下した決定の結果が完璧ではなくとも、データや分析に基づく決定であれば、決断力のない人物とはみなされない。決断の根拠となったデータや分析結果を部下と共有すれば、リーダーとしての信頼性はほぼ損なわれない。

もちろん逆もまた然りで、利用可能なデータや研究・分析結果をわざと無視し、データを軽視するリーダーだとみなされると、部下から自分の決断力を信用してもらうことはかなり難しくなる。

決定に至った根拠を説明する

部下がリーダーの決断力を信頼するには、その決定が適切な人々や重要なステークホルダー、専門家などからの情報を基に下されたものであることを理解する必要がある。

例えば、顧客に影響する決断の場合、部下としては、その顧客から何らかのインプットがあったかどうかを知りたいものだ。

ところが想像できるように、リーダーの多くは、それが顧客や同僚、あるいは部下であろうと、他人の意見をなかなか受け入れられない。

2万7048人の役員、管理職、従業員を対象とした別のアンケート調査「The Risks Of Ignoring Employee Feedback(従業員からのフィードバックを無視することのリスク)」では、部下からの改善提案を促したり、それに耳を傾けたりするリーダーが非常に少ないことが分かった。リーダーが常に部下に対して改善提案を促し、それを認知していると答えた回答者はわずか24%だった。

自分の上司は積極的に周囲の意見を聞き入れていると思えると、そのリーダーに対する信頼感が増すだけでなく、部下のエンゲージメントも向上する。アンケート調査では、自分の上司が従業員による改善案を積極的に促進・認知していると思う人は、自分の職場を勧める確率が12倍も高かった。

部下は、リーダーには外部からのインプットを得てほしいと願うのみならず、その情報の出処が適切なものかどうかも確認したいと思っている。友人やイエスマンだけに耳を傾けるようなリーダーではないことを確認したいのだ。

部下がリーダーの決定に全面的に賛同できなかったとしても、リーダーが自分や内輪の人物ではない人々から情報を得たことが分かれば、その決定を支持してくれる可能性は高まる。

リーダーが決断力不足と見なされる原因となる大きな過ちは、決断の過程で使用したデータや情報を明らかにしないことだ。決定に関する説明や根拠を示すことで、リーダーとしての信頼性が損なわれてしまうという全く誤った考えは捨てなければいけない。正しいのはむしろ、その逆だ。

リーダーの下した決定に、部下が常に賛同するとは限らない。しかし決定に至るまでに使用したデータや情報を理解してもらえれば、リーダー自身やその決断プロセスを信頼してもらえる可能性は非常に大きくなるだろう。
編集=遠藤宗生

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