“自分”に負けない者だけが“他人”に勝つことができる

2019.09.27 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、 強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。9月27日の放送は、9月に登場した元競泳選手の松田丈志さん、マラソンランナーの谷川真理さん、女子ラグビー選手の鈴木彩香さんのエピソードをプレーバック。3人の輝きの秘密に迫った。
■自分に負けない者だけが、他人に勝つことができる
体を動かすことが自分のベースになっているという松田さん。趣味のサーフィンも、現在挑戦中のトライアスロンも、そして、オリンピックで数々のメダルを獲得した水泳も、すべてがその延長線上にあるという。
日課となっているランニングも欠かせない大切な時間だ。“好き”が大前提としてある中で、松田さんは「スポーツの良さや素晴らしさを伝える人間として、実践し続けなければいけないというのも意識していますね。だから、走るのは趣味でもあるけど、仕事にもつながっているんです」と説明する。
そんな松田さんにも“走りたくない日”はあるのだろうか。運動する、しないの基準を聞かれた松田さんは、「身体で判断しますね。“やりたくない”というのはメンタルから来るもの。そこで決めるのではなく、身体的に“これを今日やると故障しそうだな”とか、“本業の仕事に影響が出そうだな”と感じたときには止めます」と答えた。
今も大切にしているのは、かつてコーチから教わった「己に克て、そして他人に勝て」という言葉。泳ぐコースに他人は入ってこないため、必然的に“自分との戦い”という側面があった、自身の競技経験を踏まえて「自分に負けている人が、他人に勝つ可能性はほとんど無い」と語る。松田さんは「人には弱い部分がある」と認めた上で、例えば“やりたくない”という気持ちに振り回されず、自分自身を律して、継続していくことの大切さを説いている。
■続けている限り“引退”する必要はない
市民ランナーからマラソン人生をスタートさせた谷川さんは、4年でバルセロナオリンピック日本代表候補に。しかし結果は、残念ながら補欠としての選出。結局、オリンピックのスタート地点に立つことはなかった。「オリンピックに行けていたとしたら、完全にシンデレラストーリーですし、(出場を果たしたら)辞めてもいいかな、という思いもありました」と、当時の心境を振り返る。
「結果論ですけど、オリンピックに行けなかったから、ここまでランニングを続けることができたのかもしれません」と打ち明けた。「その4年後のアトランタも行けず“引退”を考えた時に、そもそもオリンピックに行っていないのであれば、走ることが好きで続けるのであれば、“引退”と言う必要もないと思いました」と語る。そして、今現在もゲストランナーとして様々なイベントに参加するなど、旺盛に走り続けている谷川さん。「走れば走るほど、意外と走れるんだなと。走ることで、新しい私に出会えるんです」と笑顔を見せた。
■自分自身の中にあるものを出せばいいだけ
女子ラグビー日本代表の鈴木さんは、現在の状況を「幸せの中にいる」と表現する。キャプテンとして悩んだ時期もあったが、今ではラグビーが楽しくて仕方がない。2か月前に行われた代表戦の写真を眺め、「常にワクワクできることを、自分がやりたくてやっているんです」と語った。
鈴木さんが意識しているのは、「いつもどんなときも、最善を尽くす」ということ。気の緩みや注意不足などが大ケガに繋がることもあるため、試合に集中するうえで心がける言葉でもある。「ラグビーはすごく激しいスポーツで、コンディションが悪くなったり、ケガをしたりすることもあります。試合ごとに状況が変わる競技なので、常に自分の最善を尽くすことが求められるんです」。
日本代表になって約10年。長年の経験が鈴木さんをプレッシャーから解放した。「今までは強くなるため、勝手に自分自身にプレッシャーをかけていたんですけど、それがちょっと剥がれてきました」と分析する。ようやく見えてきた“最善”への道。鈴木さんは、「色々な外的な要員にとらわれず、自分自身の中にあるものを出せばいい。それだけでいいと意識しています」と語った。
次回10月4日の放送は、元フィギュアスケート選手の中野友加里さんが登場する。