Dyson V11と売れ筋コードレス掃除機で対決!

2019.07.19 00:00
Dyson V11と売れ筋掃除機でガチ対決!「吸引力が変わらない」はマジだった
V11の実力が浮き彫りに
「吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機」でおなじみのDysonから登場した最新コードレスクリーナーの「Dyson V11」。「コード付き掃除機よりも確実にゴミを吸い取ります※1」ひとつ前のモデルの「Dyson Cyclone V10比で吸引力25%アップ※2」「最長60分の運転時間※3」とメーカーが謳うこの製品ですが、「そりゃあ自社製品だから良いこと言うよね」「使ってみたらそんなことないんじゃないの?」なんて思っている人も多いことでしょう。

そんなわけで今回は、実際のところどうなの? という疑問を解決するべく、「Dyson V11」と国内メーカーの売れ筋コードレスクリーナー最上位3製品とを対決させてみました。果たして結果は......?
※1 IEC(国際電気標準会議)規格62885-2 5.1, 5.2, 5.3, 5.9に準拠した、独立第三者機関IBR(英国)および自社による集じん性能の比較試験。ダイソンを除く国内の売上げ上位5社の各社平均価格上位機種のコード付き掃除機(2017年12月から2018年5月の独立調査会社のデータに基づく) を対象に2019年2月に実施。4種類の床から取り除かれたゴミの平均。実際の使用状況により異なる場合がございます。
※2 IEC(国際電気標準会議)規格62885-2 5.8準拠した、強モードで使用した場合における、Dysonによる吸引力試験の結果。
※3 モーター駆動ではない付属ツールを、エコモードで使用した場合の最長運転時間。

Dyson V11と売れ筋3製品とで「集塵力・吸引力の持続性・排気・運転音・使い勝手」を比較
では、どの部分を比較すればよいのかについてですが、今回はゴミを集める能力として「集塵力」、その能力がどの程度持続するのかとして「吸引力の持続性」、集めたゴミと空気を分離した際に出る「排気」はどのくらいキレイなのか、またそれら一連の作業で出る「運転音」のレベルがどのくらいなのか、そしてそもそも「使い勝手」がどうなのか、といった5つの性能に絞って検証を行っていくことにしました。

各テストの大まかな内容を説明しておくと、
・「集塵力」では、異なる素材の床材3つに重曹を撒き、それをワンストロークでどの程度の量を吸い込めるかで検証。
・「吸引力の持続性」では、フローリングの上に広範囲で重曹を撒き、それを吸い続けた際にどの程度の距離まで進めたかで比較。
・「排気」では、スモークマシンを用い、その煙を吸うことで空気の流れを目視できるようにしてフィルターの性能をチェック。
・「運転音」では、騒音計を使ってモーターの駆動音を計測。
・「使い勝手」では、ゴミの捨てかたや重量など、実際に使用する際にきになるポイントを比較。

性能比較テストで真の実力を検証する
それでは実際に「Dyson V11」と、国内メーカーの売れ筋コードレスクリーナー最上位3製品とを比較しつつテストを実施していきましょう。今回、比較用として選んだ3モデルは、いずれも「Dyson V11」とほぼ同じ価格帯の各社最上位モデル。このテストのために購入したもので、すべて新品となります。ここでは便宜上、A社、B社、C社として紹介します。

【ガチンコ対決その1 集塵力】床の素材で集塵力は変化するのか
最初に行うのは集塵力のテストです。フローリング、畳、毛がそれほど長くないカーペットといった3つの床材を用意し、ゴミの代わりに見立てた200gの重曹を40cm四方に撒き、4台のコードレス掃除機でワンストロークだけ吸引してみました。掃除モードが選べる場合は中/標準(モデルによっては自動モード)を選択しています。

■「Dyson V11」
まずは「Dyson V11」でテストしていきます。中モードで掃除をスタート。ソフトローラークリーナーヘッドが適度なパワーで前進を促し、軽快にゴミを吸引していきます。テストの結果は以下のとおり、それぞれの環境で十分な集塵力を発揮してくれています。
▲実際に「Dyson V11」で掃除機をかけ終えたのがこの状態。フローリングの場合は、ヘッドが通過した後にゴミが確認できません。
▲畳を掃除したあと。フローリング同様、こちらもしっかりと重曹が吸いきれています。
▲カーペットでもほぼ完璧に吸い取れています。ただし、フローリングや畳と比べると条件が厳しいのか、写真では分かりづらいですが、ほんの少しだけうっすらと重曹の残りが確認できました。

■A社
A社製品は本体が軽く、動かしやすいものの、ヘッドが引っかかりやすかった印象です。また、ヘッドの走行性もそれほど高くありませんでした。
▲ヘッド中央部に限れば、吸いきれているとまでは言い難いもののまずまず。中央から離れるにつれて集塵力が落ちている結果になりました。
▲畳においてもフローリングとほぼ同様の結果に。ヘッド両端の吸い残しが確認できます。
▲カーペットの場合は集塵力が十分でないことがわかります。ヘッドの中央部においても吸いきれておらず、最後は重曹を引きずってしまいました。

■B社
比較的大型なB社ですが、200gの重曹は通常ではなかなかお目にかからない量のゴミのせいか、結果は振るわず。
▲ヘッド中央部はそれなりに吸い込めていますが、写真上部側は重曹がはっきりと残ってしまっています。
▲フローリングと似たような結果ですが、畳の目の中に入った重曹がほとんど吸い取れていません。
▲カーペットでは吸い込める量ががくんと落ち、ヘッド中央部でもあまり吸い込めていないのがわかります。

■C社
C社はどちらかと言えば小型で軽量なハンディタイプに近い製品。そのぶん他に比べて集塵力が控えめになります。
▲ゴミの量が多すぎるのか、最も吸い込みやすいであろうフローリングでこの結果。
▲畳では目の部分に入った重曹が残る状況。ただ、ヘッド中央部は多少吸えています。
▲カーペットでも他と似たような状態です。ヘッド中央部は努力が見られます。

集塵力対決──結果
というわけで、フローリング、畳、カーペットでの集塵力テストを行った結果、A社も健闘していましたがその差は一目瞭然。「Dyson V11」の圧勝と言えるでしょう。

【ガチンコ対決その2 吸引力の持続性】どの程度吸い続けられるのか
掃除機は吸い込んだ空気から微細なゴミを分離させて排出しています。このときの微細な塵がフィルターに詰まってしまうと吸引力の低下に繋がるわけです。ちなみにDysonが謳う「吸引力が落ちない」というのは、このフィルターの目詰まりが起きにくいということ。
ここではフローリングの上、約5.8mの区間に重曹を撒き、そこを往復することで吸引力がどの程度続くのかを検証。写真の奥からスタートし、手前の黒いラインで折り返して再度奥に戻る全長約11.6mコースをそれぞれの掃除機で走行します。撒いた重曹の量が多いため、最後まで吸いきれずゴミタンクが満タンになって吸引が止まってしまった場合はその位置で停止することとしました。また、吸引力が落ちた位置も合わせて記録、以下の結果にはその位置に赤いラインで目印を入れています。あくまで吸引力の持続性を確認するためのテストなので、集塵力については考慮しません。

■「Dyson V11」
▲コース終盤でさえしっかりと吸引力が持続し、見事完走してくれました。
▲重曹の量が多く、コースを往復するとゴミタンクのMAXを超えるほど。それでも吸引力は変わらず。

■A社
▲写真手前の約5.4m地点で吸引力が低下、その後片道を走りきったところで吸引不可に。その間を見てみるとヘッドの両サイドで明らかに吸い込まなくなったのがわかります。

■B社
▲コースを進むにつれて集塵力が落ちています。復路に入った約6.3m地点で明らかに運転音が変化したため、ここを吸引力が落ちた地点としました。そこから少し進んだところで停止。

■C社
▲そもそもの集塵性能が低めなためゴミタンクの溜まりが遅く、完走はできています。ただ、約10.4mのところで運転音が変わり、その先はほとんど吸えていません。

吸引力の持続性対決──結果
このテストの結果を見てわかるのは「Dyson V11」の吸引力が本当に落ちないということ。かなり過酷なテスト条件にも関わらず、ほとんどの重曹を吸い込んだうえで、吸引力も低下していません。

【ガチンコ対決その3 排気】ゴミを吸っても排気はキレイなのか
ゴミを吸い取とったあとの掃除機は、サイクロンシステムやフィルターなどでゴミと空気を分離して排出します。この時に分離が不十分だと、微細なゴミなどを含んだ空気を排出してしまうことになります。せっかく掃除した家を再度汚さないという点で、排気性能は重要なチェックポイントと言えるでしょう。
というわけで次のテストは排気性能を比較していきます。10μmの粒子を煙状で放出できるスモークマシンを使い、それぞれの掃除機に煙を吸わせて排気を確認してみました。ゴミと空気をしっかり分離できていれば煙は出ないはずです。排気の様子は以下の動画にまとめています。
動画をみていただければわかると思いますが、「Dyson V11」の排気には煙を確認できません。B社は健闘したほうですが、それでも吸い始めの排気に煙が確認できます。その後は煙が出ていないように見えますが、これはフィルターが詰まったためのよう。A社とC社においてはかなりの量の煙が確認できます。また、動画ではわかりませんがA社とC社は排気口以外の隙間からも煙が漏れていました。

【ガチンコ対決その4 運転音】使用時の運転音は気になるのか
掃除機の運転音が大きいと、夜遅い時間などでは使いにくくなるもの。そこで各コードレスクリーナーの運転音を測定してみました。
使用者がどのように聞こえるかを想定し、本体サイクロン部の横約30cm位置に騒音計を設置して計測。ゴミは吸い込んでいない状態で計測を行っています。
すべてのモードで最も音量が小さかったのがDyson V11です。中/強モードではC社の音が最も大きく、エコモードではB社が最も大きいという結果に。ただし、音量という点ではC社が一番大きいように見えますが、音の質という意味では最も高音だったB社が気になった印象です。

【ガチンコ対決その5 使い勝手】掃除機としてそもそも使いやすいのか
最後に使い勝手の部分をチェックしてみましょう。まずはゴミの捨て方について。
「Dyson V11」はパイプを外してレバーを引くだけで、ゴミが捨てられます。ほぼワンアクションです。

それに対してほかのモデルは、ダストビンを本体から取り外してからフタを開け、ゴミを捨てる仕組み。手軽さではやや劣る印象。中には本体とダストビンの結合部にゴミが残り、ダストビンを外しときにその部分のホコリが飛び散るモデルもありました。

次は高所の掃除などの際には特に気になる重量について。数字上は「Dyson V11」が最も重い2.72kgですが、重心のバランスが良く、飛び抜けて重たいという印象はありません。逆に数値上で3番めに重いA社は、本体側に重心があり、ヘッド部が軽いため、高所を掃除する際に数字よりも重く感じました。もちろん重量に関しては、個人差のある部分となるため、実際に一度手にとって確認してみるのが良いでしょう。

続いてコードレスの宿命とも言えるバッテリー持続時間ですが、「Dyson V11」はモーター駆動ではない付属ツールを使用した場合、エコモードで最長60分、中モードで最長30分、強モードで最長5分とされています。他社製品と比べると最長というわけではありませんが、最も使用頻度が高いであろう中(標準)モードで30分駆動してくれるのであれば十分と言えるでしょう。

そしてバッテリー残量の確認しやすさについてチェックしておきましょう。
▲手元の液晶ディスプレイで残りの運転時間を確認可能。
「Dyson V11」には液晶ディスプレイが備わっており、残りの運転時間を秒単位で確認できます。それ対して、他のモデルは全てLEDランプによる残量表示のみ。あとどれくらい使えるかはわかりません。広いエリアを掃除したいというときには不便です。以下にバッテリー残量確認の方法を表でまとめました。
▲液晶ディスプレイにより、動作モードもひと目でわかる。
【ガチンコ対決 まとめ】
というわけで「Dyson V11」と、国内メーカーの売れ筋コードレスクリーナー最上位3モデルとを実際に使い比べてみました。集塵力、吸引力の持続性、排気、運転音、使い勝手と、いずれにおいても結果を見れば一目瞭然。すべての対決において「Dyson V11」の実力をまざまざと見せつけられるものでした。
それらを踏まえて、「Dyson V11」がどのような製品なのかをおさらいしておきましょう。

「Dyson V11」は、毎分12万5000回の高速回転を実現する「ダイソン デジタルモーター V11」を搭載した最新コードレスクリーナーです。モーター内部の構造を最適化することにより、冒頭のとおり従来モデル(Dyson Cyclone V10)と比べて約25%も吸引力がアップ※2しながら、運転音が11%低減※4されています。
※2 IEC(国際電気標準会議)規格62885-2 5.8準拠した、強モードで使用した場合における、Dysonによる吸引力試験の結果。
※4 IEC(国際電気標準会議)規格60704-2-1に準拠し、フローリングで強モード時の測定結果。
同心円上に配置された14個のサイクロンは7万9000Gもの遠心力を生み出します。これによりゴミやホコリが空気としっかり分離できるわけです。そして分離された空気は、補修力の高い製品設計により、0.3μmもの微細な粒子を99.97%捉えて逃がしません。※5
※5 ASTM F1977-04に基づく試験結果。試験は強モードで実施。
それでいて騒音対策も万全、「Dysonの掃除機はうるさそう」と思っている人もいるかもしれませんがそれはかつての話。今回のテスト結果からもわかるように、静かさにおいてもトップクラスでした。

今回は5つの対決で検証を行いましたが、どれも掃除機を選ぶ際に重要な要素です。すべての項目でトップスコアを叩き出した「Dyson V11」は、コードレスクリーナーにおいて最良の選択肢と言っても過言ではありません。

そんな「Dyson V11」の製品ラインナップは以下のとおり。
※価格は2019年7月1日時点、Engadget 日本版編集部調べ。

Dyson V11 Fluffy 直販価格:6万4303円(税込)
Dyson V11 Fluffy+ 直販価格:7万1874円(税込)
Dyson V11 Absolute 直販価格:8万3711円(税込)
Dyson V11 Absolutepro 直販価格:8万5530円(税込)
モデルごとに付属品が異なり、標準モデルとなるDyson V11 Fluffyでは、「ソフトローラークリーナーヘッド」「コンビネーションノズル」「隙間ノズル」「ミニ モーターヘッド」「ミニ ソフトブラシ」「ツールクリップ」「収納用ブラケット」が付属します。

Dyson V11 Fluffy+、Dyson V11 Absolute、Dyson V11 Absoluteproの3モデルには上記に加え、充電機能付きのスタンド「Dyson V11コードレスクリーナー専用充電ドック」が付属。さらにDyson V11 Absoluteでは「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」、そしてDyson V11 Absoluteproには「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」と「フトンツール」が同梱されます。

本体の性能は共通となるため、ヘッドの種類や充電機能付きスタンドの有無など、各々の用途に応じて選択すれば問題ありません。

記事提供 Engadget 日本版