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老舗リストランテが移転リニューアル さらに深化した伝統のトスカーナ料理
CREA
2019.01.08 20:00
◆サバティーニ・ディ・  フィレンツェ東京店  [有楽町]
老舗イタリアンの 第二章が始まった
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 まだイタリア料理店が東京でもまばらだった1981年、フィレンツェに本店を持つ「サバティーニ・ディ・フィレンツェ」(以下、「サバティーニ」)が銀座ソニービル(現 銀座ソニーパーク)にオープンした。
 1914年創業の歴史ある老舗が、世界初の支店に選んだのは銀座だったことで世界中の食業界がざわめきたったのはいうまでもない。
 しかも当時、東京はフランス料理全盛期で、イタリア料理はと言うとピザとスパゲティが主流という時代。フィレンツェ本店のレシピを前菜からデザートまで提供するなんて誰もがびっくり!
 80年代後半から90年代初頭のバブル時代とともに“イタ飯ブーム”が到来するが、その先駆けとなり本場の味を日本にもたらした功績は非常に大きいものだった。
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リストランテの名に恥じない上質な料理、サービス、そして空間は移転後も変わらない。
 その「サバティーニ」がソニービルの建て替えにより一旦休業したのが1年半前。
 閉店ではないとわかっていても36年もの間、東京のイタリアンを牽引してきた店がなくなることに落胆する声がどれほど多かったことか。
 そして待ちに待ったその日がやってきた。2018年10月、ついに「サバティーニ」が移転リニューアルオープンしたのである。
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ここがウェイティングスペース。待っている間に軽く一杯飲むこともできる。
 新店舗は銀座駅から地下で直結した「ヒューリックスクエア東京」の3階。
 エレベーターが開くとギャルソンが笑顔で迎えてくれ、ウェイティングスペースに通してくれるが、これがちょっとした“お姫さま気分”。出だしからウキウキしてくる。
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クラシックで落ち着いた雰囲気のメインダイニングは60席。銀座の街を望む窓側が人気。
 席数は個室を含め76席。奥行きのある広々としたメインダイニング、優雅な2つの個室はどれもさすがの風格。
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バルディ・ヴィルジリオ総料理長(右)とメートル・ドテルのトンバ・プリモ氏(左)。
 東京店のオープン時、フィレンツェ本店から来日したバルディ・ヴィルジリオ総料理長とメートル・ドテルのトンバ・プリモ氏も引き続き担当し、「サバティーニ」の真髄を提供してくれる。
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クラシカルとモダンが共演する「本日の前菜の盛り合わせ」。
 リニューアルを機にメニューも見直した。
 フィレンツェ本店と同じレシピ「伝統のサバティーニ風スパゲッティ ワゴンサービスにて」のようにオープン当初から変わらない料理があれば、「トスカーナ風パンスープ リボッリータ」のように黒キャベツやパンを入れたりして変化させたのもある。
 こうして“現代でも色褪せない伝統料理”を提供する「サバティーニ」の第二章がスタートした。
 本日は100年受け継がれてきたレシピと、伝統を守りつつも新しく手を加えたレシピの料理をアラカルトでいただくことに。
 まずは伝統のレシピから。
 魚料理は長崎県五島列島直送のキントキダイを使ったトスカーナ地方の都市リヴォルノの伝統料理「カッチュッコ」をセレクト。簡単に言うと魚介をたっぷり使ったスープの一種だ。
 サフランを使わずに魚介から出る旨みとトマトだけで味をつけた極上のスープは時に優しく、時に力強い。
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長崎五島列島の獲れたての魚を丸ごと一尾使う。キントキダイの他にホウボウやカサゴなども美味しいそう。
 少食の人ならパンと「カッチュッコ」だけでお腹いっぱいになってしまうほど。キントキダイ、アサリ、手長海老、ムール貝、イイダコ、そしてトマトの旨みがぎゅーっと詰まったスープ、美味しいに決まっている。
受け継いできたものすべてが 「新生サバティーニ」を作る
 パスタも魚料理と同じくクラシカルなメニューから「伝統的なトスカーナ風 イノシシの煮込みソース 自家製幅広パスタ パッパルデッレで」を選択。
 トスカーナではイノシシをよく食べるそうで、ソーセージやオーブン焼き、ラグーなどイノシシ料理はとても豊富だ。
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濃厚なソースがよく絡む幅広のパスタで美味しさも倍増! ゴロゴロとしたイノシシは予想に反してマイルドな味わい。
 あぁ、素晴らしい! イノシシはやわらかくて臭み知らず、濃厚なソースがパスタと絡み合って喉を通ると天にも昇る美味しさ。
 今年はイタリアでイノシシがなかなか獲れないようで、本日は丹波産。ワイルドなのかと思いきや、意外にマイルド。味は濃厚だけど脂はさらりと溶けてしまう。
 メインはペポーゾ(粒のままの黒胡椒を赤ワインと一緒に長時間煮込む料理)をモダンにアレンジした料理だ。
 フィレンツェの南にあるインプルネータの煉瓦(テラコッタ)職人さんたちが、煉瓦を焼く窯の隅に鍋を置いて作ったと言われていて、ペポーゾにドライフルーツを入れて煮込むのがインプルネータスタイル。
 本来はもっとどっしりと重いソースでシンプルな盛り付けだが、こちらはソースも軽く、野菜やマッシュポテトを添えて見た目もグンと華やか。
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「黒胡椒が効いた和牛の赤ワイン煮込み インプルネータ風」。インプルネータ風とはインプルネータという煉瓦(テラコッタ)で有名な街の郷土料理のこと。長時間煮込んだ和牛のスネ肉は、ナイフが必要ないほどホロリと崩れとろける。
 赤ワインのコクに黒胡椒のパンチが効いてちょっぴりスパイシーなソースに、スネ肉の旨みも相まって極上の味わい。濃厚なソースは少量でもたくさんのパンが食べられるので貧しかった職人さんたちのお腹が満足できたという。
 そんな庶民的な料理も「サバティーニ」の腕にかかれば至極の皿に生まれ変わる。
 こうやってスタッフと話しながらメニューを決めたり、目の前で作ってくれるワゴンサービスがあったりすると、レストランで食事することの楽しさを実感する。
 それは長い間、受け継がれてきたレシピだったり、サービスだったり、空間だったり……、伝統が築きあげてきたものだ。
 古いとか新しいとかを超えた新生「サバティーニ」をぜひご堪能あれ!
サバティーニ・ディ・
フィレンツェ東京店
所在地 東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア東京3F
電話番号 03-6263-9390
営業時間 11:30~15:30(14:30 L.O.)、17:30~23:00(21:30 L.O.)
定休日 不定休
予算 ランチコースは3,800円~/1名、ディナーコースは13,000円~/1名アラカルト:パスタ 2,800円~、メイン 4,200円~など
[2018年12月訪問]
https://www.miyoshi-grp.com/cardinal/sabatini/
高橋綾子(たかはしあやこ)
東京都生まれ。フードバプリシスト。国内外ファッションブランドのPR時代に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
文=高橋綾子

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