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いまNBAに最も近い大学生、八村塁は何がすごいのか | 大会MVPに、ドラフト予想で堂々のトップ12位!
COURRiER Japon
2018.12.28 08:00
ルイって誰?
「アメリカでは体の使い方も違いますし、当たりも全然強いです。練習のときにチーム内で喧嘩が始まるのもしょっちゅう。でもチームメイトとそうやって喧嘩して、どんどん仲良くなっていくのも楽しいので」

漫画『スラムダンク』の著者、井上雄彦との対談でこう語ったのは、バスケットボール男子の全米大学体育協会(NCAA)1部、ゴンザガ大の八村塁(20)だ。2018年11月、全米8校による招待制トーナメント戦「マウイ・インビテーショナル」に出場すると、23得点を決めて大会MVPに選ばれた。いま全米のバスケ関係者が熱視線を浴びせるパワーフォワードである。
八村塁がバスケを始めたのは中学生になってから
1998年、八村はベナン人の父親と日本人の母親のもと、富山県で生まれた。幼い頃から空手、サッカー、陸上と試した後、野球を選んだ。

初めてアメリカの地を踏んだことを、八村はよく覚えている。ニューヨークへの旅行中、家族がホテルで休んでいるところ、 当時12歳の八村は一人でタイムズ・スクエアを目指した。米メディア「ブリーチャー・レポート」によれば、八村はニューヨークの大都会ぶりにはさほど驚かなかったが、人の多様性が新鮮に映った。日本ではハーフと呼ばれ、目立つことが多かったからだ。ニューヨークなら「誰でもない人」になれる──そう思った瞬間だった。

すぐにアメリカの虜になり、映画『ワイルド・スピード』を見漁ったり、毎食ハンバーガーやピザを食べたいと両親に頼み込んだりするようになる。

アメリカの屋外にある無数のバスケコートを目にした八村は帰国後、友人に「バスケ部に入らないか」と誘われて入部を決める。野球では剛速球ピッチャーだったために誰もボールを捕ることができず、バスケに転向したという逸話もある。しかし入部後、監督に「君はいつかNBAに行けるだろう」と言われると、心は固まった。
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2018年12月9日、テネシー大学戦で入場する八村塁(右から2人目)
Photo: Christian Petersen / Getty Images
中学で頭角を表すと全国大会で準優勝し、バスケの強豪である仙台の私立明成高校に入学する。1年生にもかかわらずウインターカップ(全国大会)に出場すると、32得点を決めて優勝に貢献し、さらに3連覇。2015年には高校生選手として唯一、男子日本代表候補にも選ばれた(実際の代表デビューは2018年6月)。
身長204cmと恵まれた体格の八村塁
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フリースローを放つ八村塁  Photo: Christian Petersen / Getty Images
2016年に高校を卒業した後は、アメリカのワシントン州にあるゴンザガ大学に進学する。米誌「スポーツ・イラストレイテッド」によれば、当時は英語もままならず、英語の補習を受けながら講義や練習に向かう日々だった。

平日のスケジュールはこうだ。朝7時半からウェイトリフティングをして、休憩1時間を除く9時〜15時に講義を受ける。その後、練習でコーチに怒鳴られたあと、夕食を買って補習授業に持ち込む。体育学部学生課のステファニー・ガルブライスは「彼がどれだけ達成したかに驚かされる」「最も貴重な留学生」と話す。

身長204cm、体重106kgの八村は、アメリカ人選手たちのなかに入っても決して引けを取らない。むしろパワーフォワードとして、うらやましがられる体格だ。それでも、最初はアメリカ人選手たちの押しの強さに圧倒されたという。

1年目の出場時間は、1試合あたりわずか5分だった。だが2年目になると出場機会を増やし、ある試合では25得点を決めて、関係者の注目を一気に集めるようになる。「息抜きは『テラスハウス』を観ること」「苦手なものはリス」など、おちゃめな一面も記者たちを虜にしている。
ドラフト1位指名が確実視されていた八村だが
NBAでは、大学卒業を待たずしてドラフト指名されるのが一般的である。だが八村のような国外選手の場合は、22歳に達するか、NBA以外のプロリーグに所属していることが最低条件だ。しかし特別に「早期エントリー」をすれば、22歳に達していなくても候補になることができる。
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テネシー大学との一戦での八村塁(右から2人目)
Photo: Christian Petersen / Getty Images
2018年春、八村は期待されつつも早期エントリーをしないと決めた。もう1年、ゴンザガ大でプレーしてからNBAに行っても遅くない、との判断だった。

だが秋にシーズンが始まると、メディアからの注目はさらに高まった。米放送局「CBSスポーツ」が発表する2019年のNBAドラフト予想で、全米の大学生のなかから堂々の12位に選ばれたのだ。さらに、米スポーツメディア「ESPN」でも14位にランクインした。

NBAには30チームあるため、ドラフトでは全体30位までが日本で言うところの「1位指名」となる。八村は、1位指名がほぼ確実視されているというわけだ。

2018〜19シーズンは、渡邊雄太が日本人として14年ぶりにNBA試合に出場した。彼も日本で生まれ育ち、アメリカの大学にバスケ進学した一人だ。

ドラフトは2019年6月にニューヨークで開催される。NBAにもいよいよ日本人選手の黄金期がやってくるかもしれない。

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