Empty
7462825 full a3a0746a f427 480b a284 5fe330b28363
伊東豊雄が瀬戸内海の島で挑戦する明日のライフスタイル
SPUR.JP
2018.11.24 20:00
 full 8cc6e7bd 3ff8 4b97 9ca1 631353505ec3
建築家の伊東豊雄が毎月のように足を運ぶ島がある。瀬戸内海の大三島は人口約6,000人の美しく穏やかな島。伊東は建築、そして人々の暮らしの未来の可能性がこの島にあると考えている
 うだるような暑さの8月頭、建築家の伊東豊雄は瀬戸内海の大三島(おおみしま)にいた。島に残る唯一の高校のオープンキャンパスで講演を行うためだが、なぜ建築家が廃校の危機にある高校の生徒募集に協力するのか? それだけではない。伊東はこの島で初となるワイン造りのプロジェクトを立ち上げ、農産物の販路開拓やパッケージの提案まで行なっている。もはや建築家の職能の範疇を超えたものにも思えるが、伊東はそうは考えない。彼はこうした活動の先に、未来の建築家像はあるとみているのだ。
 full 124aa91f 73e2 434c 8178 28ebadfc4b07
大三島に建つ〈今治市伊東豊雄建築ミュージアム〉。《スティールハット》という多面体を積み重ねたこの建物では、伊東が主宰する建築塾の活動を発信する。現在は、大三島に移住した人々が取り組む新たな活動なども伝える『聖地・大三島を護る=創る』展を開催中
ほかの写真をみる
 伊東はかねてから都市を中心とした建築教育に疑問を抱き、若い建築家たちとこれからの建築のあり方を考える場を持ちたいと考えていた。彼と大三島のつながりは、島にある「ところミュージアム大三島」のオーナーが、伊東にアネックスの設計を依頼したところから始まる。伊東の構想を聞いたオーナーは、アネックスを伊東の美術館とし、そこを新しい建築教育の拠点とすることを提案。これを受けて伊東は美術館を設計し、並行して東京では、子どもと社会人を対象とした建築塾「NPOこれからの建築を考える伊東建築塾」を設立する。建築の未来は都市よりも地方にあると考える伊東は、大三島をモデルケースとしながら、地方において建築家に何ができるのかを塾生とともに探求することにしたのである。
「私自身もそうでしたが、建築を考えることとは都市を考えることと教えられてきました。その結果、都市以外のことは考えられなくなってしまった。しかし、たび重なる開発で都市が行き詰まってしまった今は、地方に目を向け、地方と都市がどうつながってゆくかを考えることが重要です。箱を作るだけではなくて、地域でどう暮らすか、地域と都会をどう結んでゆくか、そうしたことを考えるのがこれからの建築家の役目だと思うのです」
 full 489610bb 7dbd 4bb8 91c5 edbfb79ec3b9
《スティールハット》のテラスから瀬戸内海を見つめる伊東
ほかの写真をみる
 full f9973e59 2e53 474e 9e11 5910c080b09a
《スティールハット》の隣には、伊東の初期作品であり住まいでもあった《シルバーハット》を再現。ワークショップなどを行う場として活用している
ほかの写真をみる
 伊東建築塾の大三島での活動は、島を訪れ、土地や人々を知ることからスタートした。大三島は尾道と今治を結ぶしまなみ海道沿いにある島だ。愛媛県の島の中では最も大きい面積を有し、人口は約6,000人。日本総鎮守と呼ばれる大おお山やま祇づみ神社があることから「神の島」とも呼ばれ、ほかの瀬戸内の島々とは異なり大規模な開発が行われることもなく、農業を中心としたこの島独自ののどかな風景が保たれてきた。
「大三島に来ると、ものすごく気に入って島に入れ込む塾生が多いんですよ。この島のゆったりしたリズムが快いそうで、移住した人もいます」と伊東はうれしげに言う。「私はといえば毎日の出来事に明け暮れていて、のんびり暮らしたいと思う暇もない。若者たちが解放されている姿を見て、逆に感化されたほどです」
 しかし島に通うにつれ、美しい自然豊かな場所ではあるが、過疎化や高齢化といった地方特有の問題もあることが浮かび上がってきた。
「島の人々はこの状態がいちばん平和だと思っているので、変えないでほしいという人ももちろんいます。しかし、高齢者の人口比率は年ごとに増えてゆき、若い人は島を離れてしまう。平和だと思っているうちに自然消滅しかねない危機がある。こうした島がいつまでもきれいに元気でいるために、移住してきた人たちと一緒になって、ここで“明日のライフスタイル”を発見できたら、という気持ちが強くなりました」(真っ先に、伊東が塾生たちと取り組んだこととは?)
SOURCE:「Building The provincial Future」By T JAPAN New York Times Style Magazine BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY YASUYUKI TAKAGI SEPTEMBER 20, 2018
その他の記事もチェック
古きよき“先祖の住まい”を求めて。復活する韓国の伝統家屋「韓屋」
インテリアのインスピレーションを探しにイタリア・ボローニャへ
 full 43da3756 7673 4564 85b0 5578b24a83b9
〈憩の家〉の食堂で伊東と談笑する経営者の藤原夫妻 島出身だが、一度島外に出て戻ってきた。宿の改修にはふたりもペンキ塗りなどで参加 PHOTOGRAPH BY YASUYUKI TAKAGI
 full 4418e8e0 a961 4b2e 8a88 fddb180a357f
〈大三島みんなの家〉日中はカフェ、夜はワインバル(不定期)として営業 PHOTOGRAPH BY YASUYUKI TAKAGI
 full 2b1cb6de 9412 47c5 99c8 97db0b9e2e01
〈みんなの家〉のスタッフ、久保木さん(左)と関戸さん ふたりとも島外出身で、関戸さんは移住希望で伊東建築塾に参加したのち、家族でこの島に移り住んだ PHOTOGRAPH BY YASUYUKI TAKAGI
 full a359e40f a321 4b2b bd1e 456891277b01
高校のオープンキャンパスのために集まった建築家や塾生、スタッフが食事。家具は高校の生徒がワークショップで作った PHOTOGRAPH BY YASUYUKI TAKAGI
 full fe20fcd6 55c6 412b 8702 568bd12a1f0d
〈大三島みんなのワイナリー〉でワイン醸造に取り組む川田さんも移住者。昨年、初のワイン「島紅」が試験的な委託醸造で完成した PHOTOGRAPH BY YASUYUKI TAKAGI

あわせて読みたい

Empty
世界的建築家・伊東豊雄さんが大三島と都市を結びつける
Premium Japan
Empty
新ライフスタイルを実践で学ぶ建築塾、今年も春からスタート。(Maki Hashida)
VOGUE JAPAN
Empty
岡田准一「洞窟っぽい…」世界的建築家・伊東豊雄が、何度か完成を諦めた建築とは
J-WAVE NEWS
Empty
この夏の島旅にぴったり!しまなみ海道「大三島」には魅力がいっぱい
ことりっぷ
Empty
瀬戸内の「神の島」、大三島。農のある暮らしと風景をつないでいく、『大三島みんなのワイナリー』。
sotokoto online
Empty
瀬戸内に浮かぶ「神の島」大三島(おおみしま)に残る、美しき日本の祭り
Premium Japan
Empty
“いちばん住みたい島”へ。 世界の今治が誇る「大三島」(おおみしま)が素敵すぎ!
Premium Japan
Empty
しまなみ海道、大三島でアート&歴史あるき
トリッププランナー [愛媛県]
Empty
大三島のアート&パワースポットに寄り道!しまなみ海道ドライブプラン
るるぶ&more.
Empty
「クリエイションの未来展」第15回 伊東豊雄展「聖地・大三島を護る=創る」
Casa BRUTUS
Empty
「西野山ハウス」の人々が紡ぐ、未来のユートピア
SPUR.JP
Empty
限界集落でフル・リモート勤務を可能に。何も手放さず理想を手にした方法とは?
OCEANS
Empty
設計者がコントロールしきれないものを建築のなかに取り込んでいく建築家、御手洗龍(前編)
Premium Japan
Empty
【東京都】都会の便利さと、郊外のゆとりを求めて。“デュアルライフ”実践者にコツを聞いた!
コロカル by マガジンハウス