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温泉と音楽とワインが女心をくすぐる 「星野リゾート 界 松本」
CREA
2018.10.27 18:00
■星野リゾート 界 松本 (前篇)
 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネスな旅」です。
 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。
建築美も存分に楽しめる 和モダンの温泉旅館
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心身を包み込むように温めてくれる浅間温泉。お殿様も愛した名湯は、現代の女性の心も癒す。
 江戸時代に松本城主の湯殿が置かれていたという由緒正しき湯処、浅間温泉。当時、一帯には城主や武士の別邸が並び、「松本の奥座敷」として知られていた。時を経た今も、効能あらたかな名湯が、温泉好きを魅了する。
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温泉街のなかでひときわ目を引く、モダンと和が融合する建物が目印。
 往時をしのばせる温泉街のなかで、存在感を放っているのが「星野リゾート 界 松本」。一見すると旅館とは思えないモダンな建物のなかには、ゆったりとした現代版湯治の時間が流れている。
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中庭に流れる滝の音を聞きながら、チェックイン手続きを。
 エントランスから、白檀の香りが心地よく漂う小道のような廊下を歩いて館内へ。そこでは、教会のように天井が高い開放的なロビーに迎えられる。モダンと和が絶妙に融合するこの独特な空間も、この宿に泊まる醍醐味のひとつ。
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廊下には松本の工芸品が飾られ、美術館のような雰囲気。地元の漆器店とコラボレーションしたオリジナルのワイングラスの美しさにうっとり。
 信州産の濃厚なぶどうジュースで喉を潤し、まずはロビーでほっと一息。ここでの楽しみは温泉だけにあらず。音楽にワインに食と、バカンス気分もしっかり味わわせてくれる。
 毎晩行われるロビーコンサートや、独自のプログラム「入浴指南」についての説明を受ければ、ますます滞在への期待が高まってくる。
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ご当地部屋の「オーディオクラフトルーム」。楽器を作成するための木材を贅沢に使用したスピーカーで音楽を楽しめる。
 客室は26室のうち、15室が専用露天風呂付き。なかでも、リピーターの人気を集めているのが1日1組限定の「オーディオクラフトルーム」だ。
 室内には木製のスピーカーや楽器をイメージしたオブジェなど、民芸の街として知られる松本らしい仕掛けが。さっそく用意されていたCDをかけてみると……、温かな音のシャワーが降り注いで、まるでホールで生演奏を聴いているかのよう!
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客室で温泉を楽しめる贅沢。見上げれば、澄み切った信州の青空が。
 庭の緑を眺める露天風呂と、湯上がりにのんびりとできるテラスもあるから、何時間でもこの部屋にこもっていたくなる。
 このユニークかつ贅沢な部屋は、地域の特長的な文化を楽しむため、全国の「界」に用意されている、居心地のよさとその土地の個性を追求した「ご当地部屋」のひとつ。ここに泊まれば、五感も研ぎ澄まされそうだ。
浴衣で楽しむコンサートは グラスワインを片手に
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ロビーは天井の高いホール型で、温泉旅館というよりは教会のよう。この空間を生かし、夜には生演奏のコンサートがここで行われる。
 「界 松本」がある長野県松本市は、音楽の街としても知られている。夏の恒例となっている「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」を始め、関連イベントは数え切れないほど。そんな「楽都」と呼ばれる松本のカルチャーは、宿にいながらにしてしっかり堪能できる。
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コンサートは全国の「界」で行われているご当地楽(地域文化を無料で楽しめるサービス)の松本版。毎晩20時30分と21時15分に、30分ずつ開催される。予約は不要。
 そのひとつが、毎晩ロビーで開催されるコンサートだ。ジャズやクラシックを中心にしつつも、なじみのある選曲が多く、肩肘はらずに楽しむことができる。ドレスアップせず、湯上がりに浴衣姿で生演奏を聞けるなんて、なかなかないシチュエーションだ。
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コンサートの時間になるとロビーに「信州WINE BAR」がオープン。スタッフが自らワイナリーに足を運んで厳選したワインを、音楽とともに。
 コンサート開催中はワインバーもオープンしている。セレクトはもちろん、信州のワインが中心。ドーム型の天井から降り注ぐような音を聞きながら飲むワインは、格別に味わい深い。
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天井を飾る雲母刷り。モダンな空間に優しく柔らかな雰囲気を添えている。
 音楽好きだけでなく、アート好きにとっても、館内は見どころが多い。
 たとえば、エントランスロビーの天井を柔らかに飾るのは、和紙に貝殻をすりつぶした顔料をクシ引きで一面に塗った「雲母刷り」。
 ダイナミックかつ繊細な絵柄で廊下や襖を彩るのは、大きな水槽に水を張り、その表面にマーブル調に浮かび上がった多色彩の色調を流し込んで作った模様を紙に写し取る「江戸墨流し」だ。
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独特な建物の建築は、羽深隆雄氏によるデザイン。組子障子など伝統技法を用いたインテリアは見応えあり。
 料理茶屋の入り口にある引き戸は、万華鏡のように繊細な「組子障子」。芸術に詳しくなくても、その繊細さに引き込まれてしまう。
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早朝6時から夜遅く23時まで開放されているトラベルライブラリー(12~15時は閉室)。本のセレクトも思わず読みたくなるものばかり。
 館内のアートをひとしきり堪能し、湯上がりを静かに過ごしたくなったら、トラベルライブラリーへ。
 温泉学から旅のエッセイ、ワイン、山岳ガイドまで、信州の旅にまつわるさまざまな本が用意されている。コーヒーやハーブティーも自由に飲めるここは、気ままに過ごせる隠れ家のなかの隠れ家のような場所だ。
信州ワインとのマリアージュで 会席料理を味わう
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次の料理が楽しみになる会席料理の夕食。見た目も味も大満足。
 朝夕の食事は、完全個室の料理茶屋で。温泉旅館といえば和食。その王道を守りつつ、「界 松本」ならではの楽しみが、会席料理とワインのマリアージュだ。
 たんに和食と有名なワインをマッチングさせるだけではない。料理の食材もワインも同じ信州産というところが、食いしん坊とワイン好きの心をくすぐる。
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先付けの特製鯛切りそばがき。「五一わいん」のソーヴィニヨン・ブランを合わせて。
 ワインリストに並ぶのは、近隣にあるワインの産地、桔梗ヶ原地域の11のワイナリーから選りすぐった約50種。どれにしようか迷ったら、料理に合わせて4種をペアリングするワインコース(3,800円)を。
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毬のような形をした三段重の器を開いていくと、八寸やお造りが現れるサプライズな仕掛けも。「サントリー塩尻ワイナリー」のメルローのロゼとともに。
 器や花を工夫したユニークな盛り付けにも驚かされる。食事中、「おいしい」だけでなく「きれい」を何度、連呼したことか。
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芳醇な香りが食欲を誘うワインすき鍋は、秋から冬にかけてのお楽しみ。
 秋冬の楽しみといえば、ワインすき鍋。濃縮赤ワインを使った割り下で信州和牛と季節の野菜をいただく、ユニークかつゴージャスなすき焼きだ。
 適度な酸味と渋み、肉の臭みを消すキレ味は、ワインを使っているからこそ。濃厚を通り越して妖艶と言いたくなるまろやかさ! もちろん、アルコールは飛んでしまうので、お酒が苦手な人でもおいしくいただける。
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季節の野菜と牛肉を温めた卵に絡めて食べる幸せ。「井筒ワイン」の樽熟成メルローとの相性が抜群。
 食べ終わったころには、信州ワインへの興味も増すはず。もっともっと知りたくなったら、ロビーの「信州WINE BAR」で飲むもよし、ワインを学ぶ「NAGANO WINE紀行」に参加するもよし。
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ふんわりとした信州味噌の香りが身体を目覚めさせ、食欲を誘う朝食。
 翌朝は信州味噌が香ばしい朴葉味噌をメインにした和食で、おいしい一日のスタートを。チェックアウトタイムの正午まで、ゆったりと朝風呂を楽しむのもいい。
星野リゾート 界 松本
所在地 長野県松本市浅間温泉1-31-1
電話番号 0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/matsumoto/
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芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/
文=芹澤和美
撮影=佐藤 亘

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