

cero - 速報ライブレポート【 J-WAVE LIVE 】
antenna* × J-WAVE LIVE SUMMER JAM
2018.07.14 18:20
2組目、サポートメンバーを含む総勢8名の編成でステージに立ったcero。ツートンカラーのシャツを着た高城晶平がフルートを吹くイントロから「Summer Soul」へ。今年はニューアルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』をリリースし、6月まで全国ワンマンツアーを行っていた彼ら。ツアーを経て完全に仕上がった状態のバンドは、コンビネーションもグルーヴもまさに完全体。ちょっとした息遣いや音と音との隙間にも、濃密な空気が詰まっているような、質量のある音が会場を覆っていく。

Photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase)
パーカッションと変拍子、コーラスがエキゾチシズムを醸し出す新作からの曲「魚の骨 鳥の羽根」が放つ独特の雰囲気は圧巻。テンションの髙いアンサンブルに、客席も思わず息を呑む。

演奏を終え「どうもありがとう」と高城が一言。そのまま、今度はカウベルやタンバリンなどの打楽器が先導しながら「Buzzle Bee Ride」へ。『POLY LIFE MULTI SOUL』の中でもひときわ印象に残る曲だ。高城のボーカルが女性コーラスと互いに折り重なりながら徐々に熱量を上げていく。

もはや「洋楽的」とすら言えないようなオリジナルでプリミティブなリズムとメロディの実験。ceroというバンドが今鳴らしている音楽はそういうものだ。でも、歌には確かに日本人の情緒が込められているし、最終的にアウトプットされる楽曲はポップで踊れるものになっているのが不思議なところ。次に披露された「Yellow Magus」のひときわポップなメロディとストレートなメッセージが、じつはかなり器楽的に複雑なことをやっているにもかかわらずシンプルに聞こえるのは、ここまで幅を広げ深みを生み出し続けてきた彼らの進歩ゆえだろう。橋本翼のギターソロも気持ちよく決まり、ライブは一気にクライマックスへ。

音楽を心から楽しむような表情を浮かべつつ、「早いですけど最後の曲です」と高城。そうして演奏されたのはニューアルバムのタイトル曲「Poly Life Multi Soul」だ。ステージの一番前まで出て、大きく手を振る高城。このメンバーでしか鳴らせない音、それをどんな場所でも変わらずにやる、ceroの素朴で強固な意思が、こうした大舞台だからこそはっきりと見える……そんなライブだった。