「今まで生きてきた中で一番幸せ」から26年後の今、岩崎恭子が考える“幸せ”とは

2018.07.13 15:00
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents 才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。7月13日の放送では、1992年、14歳で出場したバルセロナ五輪の女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した、岩崎恭子さんが登場。競泳史上及び日本五輪史上最年少での金メダルという快挙を成し遂げたレジェンドにその後待ち受けていた苦悩や、現在のプライベートに至るまで、知られざる本音が語られた。
■人生で最高の幸せを得た金メダルまでの道のり
3歳上の姉・敬子さんに影響を受けて5歳で水泳を始めた岩崎さんは、「お姉ちゃんができるんだから私にできないはずはない」と、全国でもトップ選手の敬子さんの背中を追うように、記録をどんどん塗り替えていった。「市や県の記録は全部姉が持っていましたが、それを“恭子”に変えていくのが嬉しかった。今思うと、嫌な妹ですよね」と苦笑い。それでも「姉というトップ選手を目標に掲げられたことは、小学生ながらに大きかったと思う」と、環境に恵まれていたと振り返る。
中学1年生になり、そう簡単には五輪に出場できないだろうと、「行けたらラッキー」くらいの気持ちで臨んだ選考会に通り、中学2年生にしてバルセロナ五輪に出場。周囲はもちろん、本人すら予期していなかった金メダルを手にし、レース直後のインタビューで「今まで生きてきた中で、一番幸せです」という名言を残し、一躍時の人となった。
■五輪後に待ち受けていた苦悩の日々と、どん底から救われた記者の言葉
わずか14歳で世界の頂点に上り詰めた岩崎さんを待ち受けていたのは、周囲からの過剰な注目と心ない言葉の数々だった。「五輪が終わってから、何で私ばかりがこんな目に遭わなければいけないのか。メダルを獲ったらこんなに嫌なことまで言われなければいけないの? 自分は何て可哀想な人間なんだ」と思うようになり、「金メダルが苦しかった」と語るほど、金メダルを獲ったこと自体を後悔する日もあった。そして、どんどん自分の殻に閉じこもるようになり、練習にも身が入らず、成績は落ちていくばかり。
そうした日々が2年は続いた頃、幼いときから岩崎さんの取材に当たっていた記者に、「昔の岩崎恭子はスタート台に立ったらワクワクさせられる選手だったけれど、今は全然それがない」と言われてしまった。その言葉に、「ショックを受けているのは自分なのに、何でそんなことを言わなければならないのか」と、一瞬の苛立ちを覚えた一方で、納得せざるを得ない自分がいた。「自分では五輪前と同じように練習しているつもりでいたけれど、常に目標があって目の前のことに一生懸命向き合い取り組んでいた自分と、人から言われてやらされている練習では、成長の度合いがまったく違う」ことに気が付いたからだ。その出来事がきっかけで、岩崎さんは再び能動的に練習に打ち込むようになり、再び五輪の切符を手にした。アトランタ大会では残念ながら再びメダルを獲得することはなかったが、「あのときの記者の言葉があったお陰でどん底から這い上がり、結果的に引退までの最後の数年は、水泳を通して人間としても成長できた」と語った。
■無心になれる時間と子育てのコツ
現在は、スイミングアドバイザー、スポーツコメンテーターとして活躍し、一児の母として仕事と育児を両立させる岩崎さんが今、夢中で取り組んでいるものの一つに、フラワーアレンジメントがある。「もともとお花が好きで、祖母と母がお茶やお花の先生の資格を持っていて、私が頂いたお花をいつもキレイに活けてくれていたので、自分も習ったら楽しいだろうなと思い、始めました」と、教室に通い始めた経緯を説明。フラワーアレンジメント講師の吉田真子さんから、「お花で大事なのは手際の良さ」とアドバイスされると、手際が良いかはわからないけれど、と前置きしつつも「手を動かすのは早い方」と答えた岩崎さん。「お花のことだけを考え、無心で集中できるこの時間が好き」と笑顔で話した。また、食については、「美味しい料理を食べるのが好き」と率直な言葉を使いながらも、「たとえ健康に良くても、食べたくないものは心の栄養にはならない」と、こだわりを明かした。
そして何より、岩崎さんの生きる原動力は、娘さんの存在。「目に入れても痛くない、何かあったら変わってあげたくなる、とは聞いていたけれど、本当でした。娘が生まれてから初めてそう思えた」と、母親らしい表情を見せた。とはいえ、普段あまり怒ることのない岩崎さんでも、娘さんに対しては思い通りにいかず苛立つこともあるそう。「子育ては日々修行。(自分の体調や感情で)彼女に負担をかけてはいけないので、実家や姉妹に頼るところは頼る、頼って感謝する。自分が無理しないことも、彼女のためになると考えている。だから、気持ちがしんどくなる前に、ちょっとでも休憩を入れるようにしています」と、岩崎さんなりの子育てのコツを語った。
■「今まで生きてきた中で、一番幸せです」から26年、現在の“一番の幸せ”
岩崎さんが「今まで生きてきた中で、一番幸せです」と口にしてから26年。改めて現在考える“一番の幸せ”について聞かれると、「娘の成長を見ること、美味しいものを食べて“美味しい”と思える今は幸せ」「当時、一番と言ってしまったから一番を決めなければいけないとなってしまっただけで、今は一番を決めるより、幸せをたくさん感じて、たくさん増やしたいと思えるようになりました」と話し、幸せに満ち溢れた穏やかな表情を浮かべていた。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「夏の紫外線対策」キッズ編と題し、紫外線から子どもを守る、日焼け止めの塗り方を解説した。
■「夏の紫外線対策」キッズ編
子どもの日焼け止めの塗り方を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST 石田美紀さん。

赤ちゃんから小さな子どもまで使える、石鹸で落とせるタイプの日焼け止めを利用するのがオススメ。
1.日焼け止めを適量手に取り、両手の手のひらで軽くなじませた後、顔の中心から外に向かって優しく塗り伸ばす。このとき、髪の生え際や小鼻のわきなどは丁寧に、忘れがちな耳の周りにも塗るように。

2.腕や足などは日焼け止めを手のひらに適量取ったのち、スキンシップをとりながらマッサージをするように塗り広げると良い。足の甲やひざの裏は忘れやすいので注意。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、7月20日の放送では、ライフスタイルモデルの栗原ジャスティーンさんが登場。ありのままの自分を表現し、誰かの真似ではない人生を送る彼女の強さと美しさに迫る。