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『徹底して日常屋でありたい』亀有の人気コッペパン屋「吉田パン」の願い。
ブリアサヴァランの食卓
2018.06.08 17:55
antenna*提供「食」を堪能する新感覚グルメ・ラジオ番組!
放送作家 小山薫堂がお届けする「antenna* ブリアサヴァランの食卓」。

今週は、東京・亀有で人気を集める吉田パンの店主・吉田知史さんをお迎えして、地元民に愛されるコッペパンのお話。パン好きの間のみならず、東京中から注目を集めるコッペパン専門店は、なぜ亀有でお店をオープンさせ、絶えずお客さんが列を作るのか……?!その裏には、師匠からの教えを元に日常を大切する、そして真正面からコッペパンと向き合う、吉田さんの真っ直ぐな姿がありましたーー。
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小山「僕は『吉田パン』の師匠である、岩手盛岡に存在するコッペパン屋『福田パン』を知ったとき、あまりにも画期的なお店のシステムに感動しました。そのシステムは、目の前でコッペパンに入れる具を選び、挟んでくれる……自分好みのコッペパンがその場で食べられることにとにかく感動したのを今でも鮮明に覚えてます。今から7〜8年前の出来事でした。コレを東京に持ってきたら絶対に当たる…!そうとも思いました。そしてしばらくして、吉田パンの存在を知ったときに『これは盛岡出身の人が、地元愛が強すぎて勝手にパクったんだ!』とまで思いました(笑)」

●『福田パン』とは?
小山薫堂も認める岩手県盛岡市にある美味しいコッペパン屋さん。地元民はもちろん、そのコッペパンの味を求め、全国からお客さんが押し寄せる超人気店である。
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小山「吉田さんはそもそも、盛岡出身ではないのですね?」

吉田「そうなんです。僕は東京の下町情緒残る・小岩出身です。現在の店舗・亀有にも近い小岩が僕の生まれた街です。」

小山「いま、吉田さんはおいくつなのですか?お店が出来たのはいつ頃ですか?」

吉田「今年で47歳になりました。お店は今年で5周年を迎えました。42歳のときにコッペパン屋を創業しました。」
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小山「42歳からコッペパン屋の店主に!(驚)……前職は何をされていたのですか?」

吉田「前職は、ファッション関係の仕事をしていました。そこから印刷物などを手掛ける会社『株式会社 吉田』を立ち上げました。そして会社立ち上げ当時に、盛岡の福田パンに出会いました。小山さんと全く一緒の感動だったと思います。こんなに愛の深いパンは食べたことがない!そう全身で強く感じました。コッペパンを食べた瞬間、自分もいつかコレを…!とその考えが頭に浮かびました。」
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小山「そのときに、この福田パンのような店を作りたい!と思ったのですか?」

吉田「そうですね。最初は福田パンそのままオープンさせたいと思いました。遠くで暖簾分けのような支店を手掛けさせていただけないか……そういった想いでいました。思い立ってから3年後……盛岡の方にお力添えやご縁もいただき、福田さんにお会いさせていただく機会を頂戴しました。そこで福田さんに教えていただきたいと、直談判しました。そして『福田パンをやることはできないが、吉田さんであれば教えてあげる』との答えをいただきました。そこから妻と長男(当時1歳)を連れてすぐに盛岡へと向かいました。そこでパン作りから教わる、ということから始めました。」
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小山「福田さんは、どんな師匠でしたか?」

吉田「いやいや、もう師匠なんて言わないで!なんて言われるくらい心持ち穏やかな方で、言葉数もそんなに多くない印象です。『僕は商いのためにやっていない、盛岡のためにやっている』との強い想いをよく口にしていました。」

小山「吉田さんのことを、師匠はどう思っていますかね?そんなことを師匠に聞いたことはこれまでありますか?」

吉田「聞いたことはないです!(笑)福田パンさんは、『福田パンを食べて福が来る』と街のひとたちから愛されており、わたしたち吉田パンは『吉田パンを食べて吉が来てもらえるようにしたい』と思い、今でも福田パンの背中を追っていますね。」
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小山「それでは今日はちょっと、福田さんが吉田さんのことをどう思っているのか?内緒で聞いてきましたので、聞いてみましょうか。」

吉田「え!ほんとですか!驚きました。」
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福田「最初は岩手の知り合いを通して、『パン屋を始めたいんだ』ということでお話を耳にしました。パン屋を開くとなると、設備投資もそうですし……最初は不安に思ってお話を伺いました。でも、吉田さん本人はじめ奥様も一生懸命やられていましたし、ご夫婦のやる気に圧倒させられ、すぐに安心しました。吉田さんは、いろんな物事に前向きに取り組む方です。何でもプラスに捉えて進んでいく方だと、そんな印象を持っています。吉田パンと福田パンは製法も違いますので、味自体にも違いがあります。が、その地域で喜ばれるパンを作れれば良いと思っていますので、まずはご近所さんに喜んでもらえるパンを一生懸命作って、できるだけ長く商売を続けられるようお互いに頑張っていきたい存在であります。」
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小山「という、師匠からのお言葉でした。がいかがでしたか?あれ、吉田さん、目に涙が……。」

吉田「いや〜ちょっとビックリしました。昨日別件で電話で話したばかりだったんですけどね。そのときには何も言われなかったので、なおさらびっくりしてます。」

小山「でも福田さんがとても素敵なことをおっしゃってましたね。『地域に喜ばれるパンを作りましょう』と。今も亀有でそういった想いでやられてますか?」

吉田「やっぱり私たちみたいなには、地の利が大切ですから、街の人たちから愛される、ご愛顧されなければパンを作ることもできないと思っています。地域の方々のお陰でここまでさせていただいている……街のお陰であると強く感じています。」
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小山「今は社員の方は何名くらいいらっしゃるのですか?」

吉田「今は社員とパートを合わせて、23名で営業しています。」

小山「そんなにいらっしゃるのですね!今はだいたい1日何個くらいのコッペパンを作られているのですか?」
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吉田「今は1日にだいたい2300個、お作りして販売させていただいています。まだまだそれしか作れないものですから。」

小山「2300個は驚きでした!かなり大きな数ですね。店舗は亀有と……他にはどこに?」

吉田「今は亀有と北千住です。北千住の店舗はルミネ北千住の8階にあります。お昼の12時から営業・販売を開始し、パンが売り切れたら終了、としています。ルミネの方々の想いのお陰で、毎日営業を続けさせていただいています。」
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小山「今は何種類くらいの具を販売されているのですか?」

吉田「今、亀有の店舗では、30種くらい取り扱っています。季節の商品が春夏秋冬で各2種類ほど展開しているので、一年全体を通して40種くらいの種類です。」

小山「福田さんが製法が違って、味も違うとお話されていましたけど、福田パンと吉田パンはどんな風に違うのですか?」

吉田「まず、見た目・大きさも違います。そしてパンの配合も材料も違います。オープンし始めの頃、盛岡の福田パンを亀有の吉田パンで食べられると思われた方が多く、当初は福田さんもお悩みになられたと思います。」
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吉田「福田さんは本当にわたしたちの人生を変えていただけた人ですので、どうやって恩返しをしたら良いのか……もうそこだけしか考えていません。なので、毎日一生懸命パンをお作りすることに徹して励んでいます。」

小山「『地域で喜ばれる、愛されるパンを作り続けること』それが一番の恩返しになりますね。」

吉田「本当にそう思っています。まだまだ始めて5年のパン屋ですけれども、400年続けられるコッペパン屋を目指して……いまはひたむきにコッペパンと、そしてお客様と向き合い頑張っています。」

小山「江戸の名物、そして東京の名物、になるように……ですね!」
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ここでコッペパンの歴史について…
旅するパンマニア・片山智香子さんにお伺いしました。

片山「コッペパンの歴史は、大正時代にアメリカでパンの製法を学んだ『丸十パン』の田辺玄平さんが作ったのが初めてだと言われています。実際に日本全体に広まったのは、戦後、アメリカから脱脂粉乳や小麦粉を援助されて、給食で提供されるようになってからと言われています。ちなみに学校給食でお馴染みの(コッペパンを揚げた)揚げパンは、学校を休んだ子に届けに行くときに、さらに美味しく食べさせてあげることを考え、揚げられ砂糖をまぶして調理されたのがきっかけと言われています。その揚げパン発祥の地とされているのが、東京・大田区蒲田だと知られています。コッペパンの名前の由来は『切った』をフランス訳した『コッペ』が使われている説と、『山型』をドイツ訳した『コッペ』が使われている説と二つあります。有力と言われているのは、フランスパンの『クッペ』から取った説です。」
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小山「本日はいくつか吉田さんに吉田パン=コッペパンをお持ちいただきました。あんマーガリン、はちみつマーガリン、シュガーレーズン、コーンビーフ、たまご、くるみとチーズ、と6種類どれも美味しそうですね……。この中で特におすすめ、あるいは吉田パンらしいコッペパンはどれですか?」

吉田「僕が最初この一種類だけでいいかなと思った、ウチの一番の代名詞であるコッペパンは……あんマーガリンです。こちらは月で5000個の売り上げとなっています。ウチの一番です、これは。」

小山「わっ。柔らかいですね。パンを触った瞬間に指の型が付くくらいに柔らかいですね。何でこんなに柔らかいのですかね?手に持った瞬間に美味しいですよ。そしてあんこと生クリームの絶妙なバランス。確かにあんマーガリンの専門店でも良いくらいですね。」

吉田「柔らかくなれ〜〜〜と念じて作ってますからね(笑)。コレ本当です。(笑)コッペパンというと硬い印象を持たれている方も多いと思いますが、ウチのパン作りは逆に柔らかいことを売りにしてやらせていただいています。小山さんのおっしゃる通りで、これ以上品数を増やそうとは思っていません。一つ一つをどれくらい深く作っていけるか……そこに注力できればと思っています。」
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小山「あと、僕が一番好きであろう……コーンビーフ。これは吉田パンの中でもやっぱり定番ですか?これはレシピなどは存在するのですか?ちょっとマヨネーズも効いて、とても美味しいですね。じゃがいもも入っていて具はポテサラのような印象ですね。」

吉田「そうですね、お惣菜パンのことをおかずコッペと呼んでいますが、そのおかずコッペの中でも1番2番の商品ですね。レシピ……というよりか和えている比率は福田さんに教えていただきました。このコーンビーフの味は、福田さん伝授の味となっています。お客様によっては両面コンビーフにする方も沢山いらっしゃいます。」
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小山「いや〜でも、コッペパンに魅せられた男が、全くの素人であったのに今や繁盛店の店主に!パン屋さんをするのは本当に初めてだったのですよね?準備期間はどのくらいだったのですか?」

吉田「食を作る、という職業は、小さい頃に抱いた夢の中でも唯一なかった選択肢だと思います。福田さんに教えていただいてから、半年で自分のお店=吉田パンをオープンさせました。わたしはその勢いではないと、吉田パン創業は成し得なかったと思っています。」

小山「そんなに短い時間でここまで……!最初のお客様を迎えられたときは、やっぱりドキドキでしたか?第一号のお客様のことは覚えていますか?」

吉田「はい、それはもう、第一号のお客様は一号パパと呼ばせていただいています。今は家族ぐるみで仲良しです。一番最初に並んでくださったことは、ウチのスタッフ全員が知っています。」
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小山「そこから5年の月日が経ち……その成功の陰の功労者とも言えるのが、さきほどから何度もお話に挙がっている奥さまですよね?やはり奥さまの存在ナシでは成し得なかったとも言えますか?」

吉田「もう、本当に妻が居なければ、吉田パンどころか今の私自身も存在しなかったと思っています。小柄な妻ですけれども、支える力が力強く、小さな巨人と呼んでいます(笑)本当に感謝の気持ちしかないです。」

小山「そんな奥さまには、ご自身のことを聞かれたことはありますか?」

吉田「非常に勝手放題な僕を、体を壊した時期もあった僕を、支えてくれた妻は、本当に命の恩人とも言えます。」

小山「その命の恩人である奥さまより、コメントをいただいてきました。」
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奥さま「無事に始められるかもそうですし、やっぱりお店を始めたときは責任を一つ持ったような気がして、不安な日々でした。けれども、先は明るい!そう思って前を向いて進んで行こうという気持ちが強かったです。オープン当初は本当にもう、無我夢中でやってきたので、何か感情としてというよりも、ただただお客様や福田さんの思いに応える、その一心で毎日過ごしていました。初めの数年間は、涙も多かったです。でも今は、いや今も、涙はありますが(笑)それ以上に幸せです。」

吉田「やっぱりお客様とパン、そしてスタッフが居ての毎日ですから、とにかく一生懸命です。今でも涙を流すことは……ありますね。わたしへの涙は少なくなっていることを願いますね(笑)」
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小山「吉田さんのこれからの目標、吉田パンは次にどうなりたいと思っていますか?」

吉田「ありがたいことに、今になりやっと吉田パンの名前がちょっとずつ広まっているのかと思います。が、わたしたちはパン屋ですから、特別なものを作っているワケでもないですし、時間も掛かりながらもパンを作っています。一口食べて、ほっぺた溶ろけちゃうようなコッペパンはスタッフ23人、まだ誰も出来ていません。ですが、一口食べてくださった方が『またあそこのコッペパンが食べたい』と思ってくださるように、徹底して日常屋でありたいと思っています。そしてそれを400年つづけていけたら……そう思うばかりです。」

小山「その想い……かっこいいですね。吉田さん、コッペ道のお家元ですね。」
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【番組概要】
・番組名: antenna* ブリアサヴァランの食卓
・放送日時: 毎週金曜17:30〜17:55放送
・放送局: TOKYO FM
・出演者: 小山薫堂

番組を聴き逃した、もう一度聴きたいという方は『radiko.jp』で聴くことができます。
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