365日四六時中「かつお節」に夢中な「かつお節伝道師」が鰹愛を語る。
ブリアサヴァランの食卓
2018.04.20 17:55
antenna*提供「食」を堪能する新感覚グルメ・ラジオ番組!
放送作家 小山薫堂がお届けする「antenna* ブリアサヴァランの食卓」。

「かつお節伝道師」この肩書きを持つのは、日本で唯一彼女だけではないでしょうか?本日はかつお節愛が止まらない!かつお節伝道師として、365日毎日かつお節を考え、日々魅力を発信し続ける永松真依さんにご登場いただきました。永松さんが渋谷にお店を構える「かつお食堂」は週3日限定で営業中!どうしてここまでかつお節愛に溢れているのか…?!カツオちゃんと呼ばれる永松さんに愛してやまない「かつお節」のお話をお聞きしました。
小山「本日のゲスト『かつお節伝道師』とお聞きしてどんなお年を召した方がいらっしゃるかと思ってました(笑)まさかこんなに可愛くて、若い女性が来るとは!想像を遥かに超えました。」

永松「ありガツオございます。(笑)かつお節が好きで好きで…かつお節を仕事に生きています。」
小山「早速、スタジオに入られたときに気になったのですが、ピアスの中に削ったかつお節が入っていますね!どうして、いつからそんなにかつお節が好きになったのですか?」

永松「今年で31 歳を迎えます。わたしがかつお節に恋したのは、25歳のときの出会いでした。それまでは夜遊びが好きで六本木・麻布で日々パーティー三昧でした。当時の写真を見返すと自分でも恐ろしく感じます(笑)そんな私を見兼ねた母が、おばあちゃんの居る福岡に帰ってみたら?と言われました。そこでおばあちゃん手作りのダゴ汁を食べながら日頃の話をしていました。するとおばあちゃんが突然戸棚から鰹節削り器を取り出し、鰹節を削り出しました。おばあちゃんの故郷は大分なので、大分のダゴ汁を一緒に作ろう!と提案されました。おばあちゃんのかつお節を削る姿を何気なく見ていたところ『おばあちゃんなんてかっこいんんだ』と思いました。昔の日本人はこうやってかつお節を削るところから調理していたことを聞き、そこからかつお節から日本の食文化にかなり興味が湧きました。」
小山「そこで目覚めたんですね。当時仕事は何をされていたんですか?」

永松「某会社の受付をしていました。今は渋谷にある『かつお食堂』の店主です。いまは週3回、営業しております。そこでかつお節を削りお客様にかつお節の定食を提供しています。炊きたてのご飯の上に、削りたてのかつお節。あとは昆布とかつお節から引いたお出汁のお味噌汁、その具材には農家さんから産地直送してもらった旬のお野菜を入れています。そして手作りのぬか漬け、だし巻き卵を添えて……シンプルな形の定食です。さらにこだわり、『追いがつおサービス』も取り入れ、かつお節のおかわり注文があった場合にはその都度削りたてのかつお節を提供しています。全て込みで1000円です。」
小山「どんな職業・年齢の方がかつお節食堂に集まりますか?」

永松「職業の幅はさまざまですね。ここ最近で一番嬉しかったのは、今年の2~3月に高校生が春休みを利用してお店に来てくれました。そのほか、お母さんや、OL・サラリーマンをはじめ……クラブ帰りの二日酔いのお兄さんまで、たくさんの職種の方にお越しいただいています。」

小山「お店は朝から営業しているんですか?」

永松「そうです!お店は週3回、水・木・金に営業。朝8時からお昼14時迄です。わたし一人で切り盛りしています。」
小山「水・木・金以外の日は、何されてるんですか?」

永松「かつお節を求めて全国旅をしています。例えば、全国各地の漁港など。南宮古島から東北三陸の気仙沼まで足を運びました。気付けばかつお節のことでしか動けない性格になってしまいました(笑)太平洋側のかつお節の産地を全て周らせていただき、作り手さんによって、かつお節の削りたての香りが違うことに気が付きました。つい最近まで家族に朝ごはんを作っていたのですが、そこで一番びっくりしたのもかつお節の香りです。朝かつお節を台所で削っているとその香りが家中に広がり、家族が朝ごはんを楽しみにしてくれるようになりました。」
永松「ダシの香りで朝目覚める。かつお節の削る音で目覚める。香りを嗅いだだけで一日の始まりで心豊かになり、なおかつ食べて美味しい。朝から幸せの連鎖が続くこで一日頑張ろうと思えます。かつお節はそんな魅力も持ち合わせています。」

小山「もう和食の素晴らしさを考えたときにまず頭に浮かぶのは、かつお節と豆腐なんですよ。誰があの泳いでいる魚を木のように乾かし、それをまた薄く鉋で削って出汁を引く…誰が最初に考えたんだろう…って不思議に思いますね。」
永松「かつおの歴史は古く、縄文時代から食べられています。縄文時代から足の速い魚・鰹を捕まえて、いかにして保存食として後世につなげていくか…その最終的な形がこのかつお節なのです。かつお節の歴史を紐解いていってもたくさんの感動が隠されています。」

小山「永松さんは何時代のかつお節が一番好きですか?」

永松「江戸時代中期に、鰹節の製造工程において重要な意味を持つカビ付けが始まりました。かつお節のいまの形が誕生するきっかけとなったその時代のかつお節が一番好きですね。」
小山「かつお節を薄く削り出したのは、いつの時代だったんですか?」

永松「昭和の時代ですね。意外と最近でびっくりですよね。昔はいまのような硬いかつお節ではなく、柔らかいものでした。生ハムのように薄く・厚く好みや用途に合わせて調整しながら使っていました。分厚ければ煮出す、薄ければお湯につけるのは瞬時、いまと調理方法の原理は変わらずでした。それを数値化して残してあるワケでもなく、感覚で全て行われていました。」
永松「今日はマイ鉋を持ってきました。鉋の刃を調整する木槌でかつお節の厚みを調整してます。かつお節を削るときは、ゆっくり心を落ち着かせて削りたいと常日頃から思っています。かつお節を削ると気持ちが反映されることが多いです。例えば、昔付き合っていた人と別れた後にかつお節を削ったことがありました。するとガチガチのかつお節が出来上がり、いつもとの出来栄えにかなり変化が出ました。(笑)やっぱり気持ちが落ち着いて時間や心にゆとりのあるときに削らないと『いいかつお節』は出来ないのだと実感しました。」

小山「永松さんにとってかつお節は『心の鏡』のようなものですね。」

永松「寝ても冷めても鰹とかつお節のことで頭がいっぱいです。」
小山「今日は永松さんが実際に使用している、かつお節と鉋と木槌を持ってきていただきました。まず木槌で歯の調整から始められますか?」

永松「そうですね。刃の部分はコピー用紙1枚くらい出てるか出てないか厚さがベストです。かつお節をなかなか削れないひとの多くは、刃の出し過ぎだったりします。削ろうと思うと出てる方がいいと思いがちですが、かつお節によって中の枯れ具合(水分量)が違ってくるので、実際にかつお節を刃に当ててみてから刃の微調整をします。削るときは腰の位置に削り器をセットします。そうすることで上から体重をかけて削ることができます。昔の女性は、床に座って削り機を膝に挟んで削っていたらしいです。」
小山「今日のかつお節はどこ産のかつお節ですか?」

永松「今日は鹿児島県 指宿市(いぶすきし)のものです。坂井商店から販売されている『こころ節』という商品です。近海で取れた一本釣りの鰹を原料としています。こころ節の名前の由来にもストーリーがありまして、坂井さんのお子さん3人それぞれの名前に『心』という漢字が入っています。かつお節も我が子のように育てるを意味を込めてこの名前になったそうです。近海の鰹ですと氷水につけて送られてくるので鰹本来の味が楽しめます。遠洋の場合は冷凍となり冷水に浸かってくるので塩味も加わり濃い味に感じます。」
小山「鰹をこのように(かつお節)として食べるのは日本人だけですか?」

永松「こういった文化はモルディブと日本だけです。ですがモルディブのかつお節は製造工程でカビは付けていません。あと鰹の種類は、歯鰹を使用しています。それをモルディブフィッシュと呼びます。それの多くはスリランカに輸出しており、スリランカ料理屋やスリランカカレー屋さんにはモルディブフィッシュという商品を置いていたします。」

小山「モルディブもかつお節のように薄く削って食べるんですか?」

永松「カビを付けないことによって少し水分量もあり、柔らかいです。それを細かくクラッシュ状にしたものを、ココナッツのスープに入れたりサラダにかけたりします。ダシとしての役割はないですが、スープに入れることでダシは自然に出ています。」
小山「スタジオ中がかつお節のいい香りに包まれています。では、早速いただきます。えっ、こんなに乗せちゃうんですかかつお節を?こんなにいっぱいのかつお節をいただくのは初めてですね。」
小山「これは堪らない……ものすごく贅沢ですね。かつお食堂に生きたくなりました。」

永松「かつお節はやっぱり削りたてが美味しいですよね。ありガツオございます(笑)」

小山「ついつい贅沢な食材というと、キャビアやトリュフ、松茸など……そういうものを思い浮かべがちですが、こんなに身近なものをきっちりと自分で削ることで贅沢な幸せ気分を味わえますね。」

永松「昔からあるものが一番幸せにしてくれるんだな、と思うと日常が自然と贅沢になりますね。本当にありガツオございます。」
小山「今後はかつお節を世界に発信していきたいですか?」

永松「今後はまずは日本でしっかりとかつお節を伝えていきたいなと思います。方法としては、食べて美味しいそれしかないと思うので、削ったかつお節=丁寧に調理したものがこんなに美味しいんだと思ってもらえるように、渋谷のかつお食堂を拠点に発信していきたいですね。あとは世界中の鰹料理を探す旅に出たいなと思っています。その鰹料理とかつお節を合わせて新しい何かを発信していけたらなと思います。かつお食堂に来られたお客様には『あそこに行ってカツオちゃんに鰹のこと聞けば大丈夫だ』と思われるくらいに安心する場所を作れたら嬉しいです。」
小山「本当に今日はありガツオございました!」

永松「あっ、嬉しいです。(笑)ありガツオございました!」
【番組概要】
・番組名: antenna* ブリアサヴァランの食卓
・放送日時: 毎週金曜17:30〜17:55放送
・放送局: TOKYO FM
・出演者: 小山薫堂

番組を聴き逃した、もう一度聴きたいという方は『radiko.jp』で聴くことができます。

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