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【スピッツ×antenna* 連載特別企画】俺とスピッツ 第3回・三木孝浩さん(映画監督/最新作『先生! 、、、好きになってもいいですか?』)
UNIVERSAL MUSIC LLC / UNIVERSAL J
2017.07.26 12:00
今年結成30周年を迎えるスピッツ。数々の名曲を生み出してきた彼らの魅力はどこにあるのか、スピッツにゆかりのある方にお話を伺う連載企画。第3回は『ホットロード』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などの青春映画で知られる映画監督・三木孝浩さんにご登場いただきます。シングルコレクション『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』に収録された新曲「歌ウサギ」が三木監督の最新作『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(10月28日公開、原作:「先生!」河原和音(集英社文庫コミック版)、出演:生田斗真、広瀬すず ほか)の主題歌に決定し話題となっている今、監督の描く青春とスピッツの世界観の共通点とは何か、お話を伺いました。
スピッツを初めて知ったのはいつで、何がきっかけでしたか? またそのとき、スピッツについてどんなことを感じたか覚えていますか?
やっぱり「ロビンソン」ですかね。あの曲が刺さったいうか。あの頃ってわりとイケイケな曲が多かった中で、最初『暗いな』って思ったんですよ。PVもモノトーンで。でも、サビの伸びやかな感じとか、今までに聴いたことのない声質だったりとか、すごく特異な感じがして、引っかかりましたね。当時は大学生で、音楽は聴いていましたけど、メジャーなアーティストの曲はそんなに聴くことがなくて。ひねくれ者だったので(笑)。でもスピッツは妙に引っかかって。メジャーな中でもパーソナルな世界観を歌っている感じがしたんですよね。
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三木さんにとって、スピッツの音楽の魅力とはどんなところでしょうか?
今回映画の主題歌に決定したときにコメントも出させていただいたんですけど、スピッツってすごく自意識を優しく包んでくれる感じがして、特に歌詞にネガなワードが多いのがすごく好きだったんですよね。ちょっと自嘲気味というか、どこか自分を客観的に見ているような。誰かに語りかける言葉じゃなくて、自分の中で反芻する言葉だと思うんですよ、スピッツの歌詞って。自分が思い悩んでたりしても「なんでこんなことで悩んでるんだろうな、ちょっとかっこわりいな」っていう感覚を、優しく見守ってくれる感じで。そういう自嘲気味なワードが心地好い。自分の思いが届かないことに対して行き詰まっているときに聴くと、すごく自分が赦される感じがする。他にそんなアーティストいたっけな?って思います。
そんなスピッツの世界観と、ご自身の作品とで通じる部分はあると思いますか?
めちゃめちゃダブります。僕、何やかんや片思いの映画ばっかり撮ってるんで(笑)。そういう片思いのシチュエーションにスピッツの曲はばっちりハマると思います。僕、両思いになってからって――そういう作品もありますけど――あんまり興味がなくて。一方通行でなかなか届かないもどかしい時間っていうのがすごく愛おしい。片思いの時間が人を成長させるんじゃないかなと感じていて、そこを丁寧に描きたいんですよね。それをモチーフに何回映画を作っても色あせない感じがあって。スピッツも、ずっと同じ枯れない泉で音楽を作っている感じがするんです。その感覚って近いのかなって思ったりもします。
今回『先生!』の主題歌にスピッツの「歌ウサギ」が決定したのには、原作者である河原和音先生が執筆当時にお聴きになっていたというのに加え、監督もスピッツの音楽を聴きながらインスピレーションを得ていたという理由もあったと伺いました。本当にぴったりだなと思ったんですが。
僕、映画を作るときに、作品に合いそうな楽曲を集めた「自分サントラ」を作るんですけど、今回『先生!』を作るにあたってそれを作ったらわりとスピッツの曲が多くなって、「ああ、こういう世界観なんだな」と。『先生!』は、設定はもちろん現代なんですけど、どこかクラシカルなラブストーリーで、どの時代にも通じる思いというのを描きたいなと思っていて。それを世代を超えて伝えたいなって思ったときに、やっぱりスピッツだ!みたいな感じはありましたね。
今回主題歌となった「歌ウサギ」を聴いて、どんな感想をお持ちになりましたか?
また、これが……メロも最高なんですけど、歌詞が最高なんですよね。「清々しい堕落」とか、ちょっと自虐的なワードがいちいち「いいなあ」って。どこかでこういう思いを客観的に捉えつつも、そういう立ち止まったりもやもやしたりという状態を肯定してくれる。自分の弱い心に対して優しい目線で歌ってくれるのが心地好いですよね。変わらない、僕の好きなスピッツのいい部分――これ、20年前のシングルですって言われてもそうだよねって思えますし、逆に昔の曲を最新曲ですって言われても通じるっていうブレなさ。そこが最高なんですよね。
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三木監督は映画を作る上で音楽というものをどのように位置付けていますか?
PVディレクターをやる前からずっとそうだったのかもしれないですけど、自分が映画を好きになるきっかけって、音楽が多いんですよ。ちらっとCMで流れている予告編の音楽が気になって観てみたいって思ったりすることが多くて。僕が小学生や中学生の頃ってビデオとか買えなかったので、家にあったラジカセでテレビ放送している映画の音だけを録音して、それをずっと聴いて脳内で映像を再生するっていう手法しか、映画を楽しむ方法がなかったんですよ。それこそスタジオジブリのアニメとか、音で覚えていくっていう。

あとは、映画を観て、でもビデオは買えないからサントラを買うことも多かったですね。学校の行き帰りにそのサントラを聴くと、日常がすごくドラマティックになるんですよ。普通の夕焼けもすごいスケールになって(笑)。音ってそうやって自分の日常にドラマを与えてくれるものだと思っていて。ストーリーを考えるときも音から考えたりします。大学の映画サークルでも曲をテーマにしたショートフィルムを作ったりしていたし、そこからPVの世界に行ったんですけど。だから映画と音楽は切ってもきれない、むしろ音楽先行っていう感覚もあります。
音を聴いて映像を想像していたというのはおもしろいですね。
それぐらいしないと、何も変わらない日常が続くというか。田んぼと山しかない田舎町だったので。その頃、好きな女の子に片思いをして……そういうときの自意識というか、あの子とこうなれたらいいのにとか、そのことばっかり考えてその妄想力が今でもイマジネーションの原点なんですよね。結局自分のイマジネーションの泉は片思いなんですよ。スピッツの曲もそんな感じがするんですよね。ふたりで楽しいっていう曲よりも、ひとりで考えている感じがあって。
「先生!」は原作が描かれたのは今からもう20年くらい前になりますが、それを今映画化するにあたって、何か考えたことはありますか?
いや、そこはそんなに気にしなかったですね。描くテーマが普遍的なので。そのよさが広く伝わるように作るにはどうしたらいいかということを考えていました。わりとベテランになってくると、大人目線で若い子たちの恋愛を歌うアーティストもいると思うんですけど、スピッツは自分ごと化してくれるというか。目線が同じ感じがするんですよね。若い子でも、20代、30代の人でも「自分のことを歌っている」って思えるアーティストってなかなか他に考えられませんでしたね。
その目線のありかたって、三木監督の作品への向き合い方にも近いですよね。
そうです。自分はそこじゃないと作れないんですよね。だからこそ、いくら歳取っても10代の恋愛を描ける感じがするんですよね。
「普遍的であること」というのは監督にとっても大事なテーマですか?
そこを気にして作品を選んでいるわけではないですけど、本当に好きなもの、わくわくするもの、心震えるものが変わらないんでしょうね、自分の中で。こういうのを映画化したらいいなって、本を読んだりマンガを読んだりして思うときも、結局同じところに行き着いちゃう。僕は人が成長する過程を描きたいんです。まだ大人になる前、「自分はこうありたい」と思ってもがく姿に感動するし、共感できる。だから10代、20代の子たちに行き着くんですよね。やっぱりデコボコしているんですよ。不器用さだったり、そういうところに興味がいくんです。そのデコボコ、裏側の屈折した部分を優しく包んでくれるのがスピッツの音楽なんですよね。
『先生!』の見どころを教えてください。
そうですねえ、まあ、モヤモヤするんですよ(笑)。そのモヤモヤを「懐かしいなあ」と思ってくれたらいいですよね。伝えられない思いにもがき苦しんだりする感覚ってすっごく懐かしい!って、現場で見ているだけでもニヤニヤして楽しんでいたりもしたので。誰にとっても自分ごと化できる、自分の片思いを思い出せる作品になっていると思うので、そういうところを楽しんでいただけたら嬉しいですね。
30周年のスピッツに、メッセージをお願いします。
もう30周年なんですよね。30年経った感覚はないですよね。いい意味で、40年、50年経ってもデコボコしていてほしいなって思います。この先も、大人だけがターゲットじゃなくて、10代、20代の子の片思いのモヤモヤした気持ちに響く曲を歌ってほしいなと思いますね。僕もずっと、そういう作品を作り続けたいと思います。

(プロフィール)
三木 孝浩
1974年生まれ。これまでに多くのミュージックビデオを手がけ、2010年に『ソラニン』で長編映画デビュー。代表作に『僕等がいた』(前篇・後篇、2012年)、『ホットロード』(2014年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年)など。
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「先生!好きになっても、いい?」 17歳、初めての恋は“先生”!
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今もなお根強い人気を誇る河原和音の同名の伝説的少女コミックを、『僕等がいた』、『ホットロード』で知られる恋愛映画の名手、三木孝浩監督が映画化。
生田斗真×広瀬すずで贈る新しい純愛映画、誕生!

生田斗真 広瀬すず 竜星涼 森川葵 健太郎 中村倫也 比嘉愛未 八木亜希子 森本レオ
原作:河原和音『先生!』(集英社文庫コミック版) (※1996年~2003年)  
主題歌:スピッツ「歌ウサギ」(ユニバーサルJ)
監督:三木孝浩  脚本:岡田麿里  
製作:映画「先生!」製作委員会 
配給:ワーナー・ブラザース映画
クレジット:(c)河原和音/集英社 (c)2017 映画「先生!」製作委員会

公式HP:www.sensei-movie.jp  
◆公式Twitter:@sensei_movie
2017年10月28日(土)新宿ピカデリー他 全国ロードショー
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