フィンランドで最も影響力のある作家の一人であるトンミ・キンヌネン氏の長篇『樹皮の下で』を、新潮クレスト・ブックスより10月28日(水)刊行!

2026.10.28 11:00
株式会社新潮社
デビュー作『四人の交差点』がフィンランドで大ベストセラーとなり、高い評価を受けたトンミ・キンヌネン氏が、戦争の深い傷を心に抱えて生きた一人の女性の生涯を描いた『樹皮の下で』を、10月28日(水)新潮クレスト・ブックスより刊行いたします。
かつてフィンランドとソ連のあいだで戦われた「継続戦争」(第二次ソ連―フィンランド戦争)。その舞台となったフィンランド北東部のロシア国境に近い町を舞台に、戦争の深い傷を心に抱えて生きた一人の女性と、その深い傷のせいで壊れてしまった家族について描いた長篇小説です。
人生の最期まで続き、本人だけでなくその家族をも破壊してしまう戦争の被害とはいったい何なのでしょうか。巧みな構成と緊張感のある筆致で、歴史から抹消された戦争被害に光を当てます。
【推薦の言葉】
▼Nakajima Kyoko 中島京子
死んでいく老母の胸中と、母を見送る息子の思いが交互に描かれる。息子が母を理解することはない。母は語らずに逝ってしまうからだ。どうして母が彼の妹たちにつらくあたり続けたのか。おそらく母自身にもわからない。戦争が、彼女を決定的に壊してしまったということのほかには何も──。わたしにはフィンランドの「継続戦争」に関する知識はないが、ここに書かれたことはあらゆる戦争において起こったこと、起こりうることだと思った。兵士だけではない。戦争という究極の暴力に晒された人々は、壊れてしまうのだ。そのことに真摯に向き合いながら、小説は、それでも静かな希望を読者に残してくれる。

▼Turun Sanomat トゥルン・サノマット紙
語らないこと、すなわち沈黙を守ることは、キンヌネンの力強い小説における中心的なテーマの一つである。著者はそれを女性たちの戦争と結びつけ、銃後を守った彼女たちもまた戦争の犠牲者であったことを描いている。

▼Kaleva カレヴァ紙
言葉は精緻であり、途切れがちながらも鮮烈で、効果的に響いてくる。一人の人間が抱えるトラウマを通して、より大きな社会現象が浮かび上がる。精神的な苦悩によって崩壊していく家族の姿が、一点の曇りもなく、かつリアルに描かれている。

▼Finnish Book Foundation フィンランド図書財団
本書は、公式な戦争の語りからはこぼれ落ちてしまった犠牲者──女性や子供たち──に声を与えるものである。


■書籍内容
フィンランド北東部のロシア国境に近い町で、一人の女性が死を迎えようとしていた。戦争で心に深い傷を負い、亡き夫や子供たちにも心を閉ざしたまま、誰にも言えぬ秘密を抱えて生きてきた。彼女は戦争によって何を奪われたのか。沈黙によって何を守ろうとしたのか。人生の最期の瞬間まで続く戦争の傷を描く長編小説。
■著者紹介
トンミ・キンヌネン Tommi Kinnunen
(c)Ofer_Amir

1973年、フィンランド北東部クーサモに生まれる。トゥルク大学卒業後、教師として十代の若者に国語と文学を教える一方、舞台の脚本も手がける。デビュー作となる『四人の交差点』はベストセラーランキングで13週連続第1位となり、ヌオリ・アレクシス賞、キートス・キルヤスタ賞など多数の賞を受賞した。人物描写に長け、フィンランドで最も広く読まれている作家の一人で、作品は20以上の言語に翻訳されている。『樹皮の下で』は6作目の小説。
訳・古市真由美(フルイチ・マユミ)
フィンランド語文芸翻訳者。トンミ・キンヌネン『四人の交差点』、イーダ・トゥルペイネン『極北の海獣』、ティモ・サンドベリ『処刑の丘』、アンニ・スヴァン『夏のサンタクロース』など訳書多数。編訳書に『わたしがわたしから自由になる日』、共著に『はじめて読む!海外文学ブックガイド』などがある。
■書籍データ
【タイトル】樹皮の下で(新潮クレスト・ブックス)
【著者名】トンミ・キンヌネン
【発売日】2026年10月28日
【造本】四六判、クレストカバー
【定価】2255円(税込)
【ISBN】9784105902131
【URL】

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