作家・翻訳家 ラムズデール昌栄さんが語る、 極私的・偏愛映画論。『パリ、テキサス』の衣装について。 | & Premium (アンド プレミアム)

2026.10.25 10:00
 父は、エスカレーターの上に消えていった。  私の結婚式のために、生前一度だけイギリスへ来た。帰国する日のロンドン・ヒースロー空港で、「じゃあ、頑張れよ」と手を振った。一張羅のジャケットにリュックという、いかにも旅慣れない格好だった。父の背中はゆっくり上へ運ばれ、だんだん小さくなり、最後には見えなくなった。  『パリ、テキサス』のトラヴィスを見ると、私はあの背中を思い出す。くたびれたジャケットに赤…

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