1mLのサンプルからエクソソームを「選び・見て・回収する」──ヨダカ技研とマイクロ流路技術で共同特許出願

2026.07.30 19:00
スペースシードホールディングス株式会社
マイクロ流路内のピラーアレイでエクソソーム等の細胞外小胞をサイズ選別・抽出し、同じ流路内で検出まで完結
スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「SS-HD」)と老化の根本原因の解明と改善に取り組む関連会社リジェネソーム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:佐久間善太郎)は、唾液や血漿などの体液・培養上清から、エクソソームをはじめとするナノ粒子(細胞外小胞=EV)を、マイクロ流路の中で抽出し、同じ流路内でそのまま検出する技術について、特許を出願したことを報告します(出願番号:特願2026-120790)。本出願は、マイクロ流体技術を手がけるヨダカ技研株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:平藤衛)との共同出願です。

細胞外小胞は、細胞同士が情報をやり取りする伝達機能があることが知られており、疾患のバイオマーカーとしても、薬を運ぶキャリアとしても注目されています。しかし従来は、超遠心分離機などの大型装置で分離してから、別の分析装置で観察・計測する必要がありました。本発明は、この一連の工程を手のひらサイズの装置の中に収め、しかも検出した結果をその場で回収の制御に反映することで、必要な品質のナノ粒子だけを選び取れるようにするものです。

出願の概要
何が新しいのか
細胞外小胞の研究や臨床応用では、これまで「分離」と「観察・計測」が別々の装置で行われるのが一般的でした。試料を超遠心分離機にかけてナノ粒子を集め、それを取り出して別の顕微鏡や計測器で調べる。この分断が、時間・設備・試料量の面で大きな制約となってきました。

本発明は、次の3点を1つのマイクロ流路で実現しました。
選び分ける(抽出):マイクロ流路内に並べたピラーアレイ(微小な柱の配列)を通すことで、液体試料からナノ粒子をサイズに応じて選別・抽出します。

その場で見る(検出):抽出と同じマイクロ流路内で、そのナノ粒子を検出します。顕微鏡などによる光学的な観察と、電極による電気的な計測のいずれにも対応します。

品質を見ながら回収する(クローズループ回収制御):検出で得られた情報(画分の品質・粒子数・粒径・標識強度・純度)に基づいて、どの画分を回収するかの選択、回収/排出する流路の切替え、流量の配分、回収の開始・停止を制御します。

この「検出しながら回収を制御する」仕組みが本発明の核です。得られるナノ粒子の品質をその場で確かめながら回収できるため、狙った品質の画分だけを連続して集めることができます。

ポンプも大型装置も要らない、小型一体型という設計
本発明は、送液に外部ポンプを用いない構成にも対応します。気体を吸ったり離したりする性質をもつ高分子を使い、いったん脱気してから再び気体を吸わせるときに生じる負圧で液体を送る方式です。これにより、送液のための外部ポンプを必要としません。

この結果、超遠心分離機のような大型設備を用いずに、抽出から検出、回収までを小型の一体型装置で完結できます。設備・電源・重力に依存しにくいこの特性は、宇宙・微小重力環境での実験や、医療現場・在宅などその場で結果が求められるポイントオブケアでの分析に適します。実施の形態としては、使い捨てのマイクロ流体カートリッジや、通信ネットワークを介した演算システム(クラウド/SaaSによる自動解析・制御)も含みます。

事業における位置づけ
SS-HDは宇宙系ディープテックのベンチャービルダーであり、事業の柱のひとつに「宇宙×医学」を据えています。細胞外小胞は、老化や疾患の状態を映し出すバイオマーカーとして、また治療のためのキャリアとして期待される対象です。関連会社リジェネソームが取り組む老化の根本原因の解明と改善において、体液中のナノ粒子をその場で選び・見て・回収できることは、実験の律速を解く実用的な意味を持ちます。

また本技術は、宇宙でも地上でも自律的に研究を進める基盤の方向性とも重なります。大型設備や重力に頼らずに解析を完結できる装置は、軌道上や閉鎖環境での自律的な研究の足場になり得ます。本発明は、ヨダカ技研のポンプを用いないマイクロ流体技術との協業から生まれた共同発明であり、3社それぞれの強みを持ち寄って結実したものです。


スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングスは、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。発酵とロンジェビティー技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを軸に、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。2040年までに各種ステークホルダーとともに、人類が宇宙空間で居住するのに必要な技術を揃えることを目指しています。

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