HV誕生から100年以上! 初代プリウス登場から26年! ハイブリッドは新時代を迎えていた

WEB CARTOP
2023.11.21 11:40
この記事をまとめると
■世界初の量産ハイブリッド「トヨタ・プリウス」が登場してすでに26年が経過した
■世界初のハイブリッド機構を搭載したのは1900年にポルシェが開発した車両だった
■現在新車で販売されているクルマにはさまざまな種類のハイブリッドが存在している
ひと口にハイブリッドって言ってもどのくらいの種類があるの?
「21世紀に間に合いました」というセンセーショナルなキャッチコピーで、世界初の量産ハイブリッド乗用車として1997年10月に誕生したトヨタ・プリウス。すでに26年もの月日が流れているんですね。その後すぐにホンダ・インサイトも発売されて、両社を筆頭とするハイブリッドカー戦線がスタートしていきます。
  もうすぐ、21世紀も四半世紀に達するというところで、ここまでのハイブリッドカーの進化を振り返りつつ、最新のハイブリッドカーはどうなっているのか。今一度、おさらいしてみたいと思います。
  というのも、多くの人が「世界で初めてのハイブリッドカーはプリウスだ」と思っているかもしれませんが、そもそもそれは間違いなのです。冒頭で「量産」と「乗用車」という言葉をつけたことには理由があって、じつは世界で初めてハイブリッドカーを完成させたのは、フェルディナント・ポルシェ博士。そう、あのポルシェの創始者です。
  ポルシェ博士は優れた自動車設計技師でもあり、1900年に「ローナー・ポルシェ」というクルマを発表しました。これはホイールハブで駆動力を発生させる電気自動車で、同じ年には、バッテリーで動くホイールハブの駆動システムをガソリンエンジンと組み合わせた、シリーズ方式のハイブリッドカー「ローナー・ポルシェ Semper Vivus」が誕生。これが世界初のハイブリッドカーだと言われています。
  ただしそのモデルは、当時のクルマではスタンダードだった馬車から発展したようなオープンホイールにオープンキャビン。そして、一般庶民が乗れるような価格でもないのは当然の話です。その97年後に誕生した量産車のプリウスは、より快適な室内空間と実用性、脅威的な低燃費で手頃な価格を実現したという点で、世界におけるハイブリッド元年の牽引役となった歴史的な存在といっていいでしょう。
  さて、ひと口にハイブリッドカーと言っても、そのシステム方式には大きく分けて3種類あります。プリウスはシリーズ・パラレル方式(スプリット方式)と呼ばれています。
  まずシリーズ方式から見ていきましょう。これは、エンジンを完全に発電機として使うために搭載し、バッテリーに蓄電した電力のみを使って駆動するというもの。走行中はBEVなどと変わらず100%モーター走行となります。日産ノートなどに搭載されている「e-POWER」が代表的ですね。
  続いて前述のパラレル方式。これは、エンジンが主役でモーターはアシストが主流というもの。発進時や強い加速時など、エンジンに大きな負荷がかかる場合にモーターが駆動し、サポートして燃料の消費を抑えています。短い距離ならEV走行が可能なモデルもあります。システムが軽量でコストが抑えられ、エンジン特有の走りも維持できるため、スポーツカーやSUV、スペシャリティカーにも多く採用されています。スバルや輸入ブランドはパラレル方式が多い印象です。
  そしてシリーズ・パラレル方式(スプリット方式)は、走行状態によってエンジンとモーターを最適に使い分け、モーターのみのEV走行も可能。燃費の良さだけでなく、ほしいところでの十分な加速フィールや静かさ、高速道路での快適性などが手に入るので、近年ではトヨタだけでなくホンダの2モーターハイブリッド「e:HEV」、ルノーのフルハイブリッド「E-TECH HYBRID」など、採用するメーカーが増えています。
  さらに、軽自動車には「マイルドハイブリッド」と呼ばれるものもありますが、これはモーター機能を持つ発電機で、エンジンの始動や発進時の加速をアシストすることで、燃費アップを助けるというシステム。部品が少なく、小型で軽量ですが、モーターのみでのEV走行はできません。そのため、マイルドハイブリッドに対して、上記の3タイプはストロングハイブリッドとも呼ばれています。
もう燃費だけを追い求める時代は終わった
  さてこのほか、ここ5年ほどで一気にモデル数が増えてきたのが、プラグインハイブリッドカー(PHV/PHEV)。エンジンとモーターを使い分けて適切に走行するのはシリーズ・パラレル方式と同じですが、外部からバッテリーに充電することができ、EV走行の距離が長いことと、繰り返し充電すればモーターのみで走行が可能というところが違いとなっています。
  世界で初めて市販されたPHVは、トヨタのコースターハイブリッドEV。2012年にプリウスPHV、三菱アウトランダーPHEVが登場しますが、当時はEV走行距離がプリウスPHVは26.4km、アウトランダーPHEVは60.2km。これはJC08モードでの数値なので、実際にはもっと短い走行距離となっていました。しかしいま、3代目となって名前も変わったプリウスPHEVは、EV走行距離が87km。2代目となったアウトランダーPHEVも同じく87kmまでのびています。どちらも、より実走行に近い条件でテストされるWLTCモードでの数値なので、モーターだけでずいぶんと長い距離を走ることができるようになったといえます。
  さらに、初代プリウスのころから飛躍的に進化したのが燃費です。従来の日本独自の測定方法だった「10・15モード」や「JC08モード」から、2018年10月以降は国際基準でもある「WLTCモード」に変更されたため、単純に数値での比較が難しいところもありますが、初代プリウスは10・15モード燃費で28.0km/L。これは当時の同クラスガソリン車の2倍以上となる、脅威的な低燃費性能でした。そこから2代目プリウスは10・15モード燃費で35.5km/L、3代目プリウスは10・15モード燃費で38.0km/L、4代目プリウスはJC08モード燃費でついに40.8km/Lと、夢の大台を突破。測定基準が厳しくなっているにもかかわらず、この燃費を実現したのはすごいことですね。
  そして現在、5代目となったプリウスはWLTCモード燃費で、1.8リッターモデルが最高32.6km/L。2リッターモデルは最高で28.6km/L。「あれ?ちょっと燃費が悪くなってる?」と思うかもしれません。でもこれは決して、技術が退化したわけでも性能を妥協したわけでもなく、あえて、このように作っているというところが、この26年でハイブリッドカーがどのように変化したのかを象徴していると考えます。
  というのは、この5代目プリウスを開発するにあたり、すでに初代プリウスを作った目的である「ハイブリッドカーを世の中に普及させる」という目的は十分に果たされたので、豊田社長からは「もうプリウスはタクシー専用車にしてもいいのでは?」という提案さえ出ていたそうです。
  燃費をさらに良くするために突き詰めると、どうしてもファン・トゥ・ドライブの部分や快適性、乗り心地といったユーザーのためのベネフィットがスポイルされがち。「こんなにハイブリッドカーが溢れる世の中になったいま、そこまでして燃費だけのためにプリウスを作り続ける意味があるのか?」という問いかけでもあり、開発チームは何度も議論を繰り返したといいます。
  そして出た答えが、燃費の良さだけでなく、「見て乗って虜にさせるような魅力的なハイブリッドカーにする」ということ。これまでなら、燃費のために犠牲にしたり削ったりしていたところを、5代目プリウスでは走りや快適性、デザインを優先して、ユーザーに間違いなく「愛車」だと認めてもらえることを目指したのだそう。
  まわりを見ても、そういった「燃費より満足度」を重視したハイブリッドカーが増えています。プリウス誕生から四半世紀を超えて、燃費がいいのは当たり前、それよりも走る楽しさや快適性、惚れ込むようなデザインを手にすることができるハイブリッドカーが、いまの主流になっています。

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