Courtesy of Loro Piana Interior
アパチェタとは、アンデス山脈にある道や通路を示す石積みのこと。何世紀にもわたり、旅人たちが平地から高地まで石を運び、峠を越えるときに、母なる大地パチャママの霊への賛辞と感謝として置いていき、建設されたものです。旅人から旅人へ、石から石へ、アパチェタは巨大な塔に成長し、不規則な岩でできた祈りのように、大地から空に向かってそびえ立ちます。それは美しく神聖なものであり、何世紀にもわたって安定を保ちながらも不安定に存在しています。
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アパチェタは、クリスチャン・モハデッドがロロ・ピアーナ・インテリアとともに歩んできた旅の出発点であり、サステナブルなアプローチで自然への賛辞を表現しています。メゾンとデザイナーのコラボレーションは、素材やクラフツマンシップへの情熱、そしてコントラストから生まれる美と調和といった共通の価値観に基づいています。アルゼンチン、正確には北西部のカタマルカ州は、モハデッドが生まれ、ロロ・ピアーナが最も貴重で稀少な天然の動物繊維であるビキューナを調達する土地でもあります。自然とその恵みを深く愛する二人の魂を結ぶ糸、それは敬意に基づく愛です。
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アパチェタとカタマルカの対照的な風景は、角張った雄大な岩、川、白と赤のラグーナ、塩の結晶になった茂みが、モハデッドとロロ・ピアーナ・インテリアがデザインウィークのために考案した、夢のような風景のインスピレーションになっています。コルティーレ・デッラ・セタは夢のような空間に生まれ変わり、地上から8メートルにも及ぶ12の塔がそびえ立っています。不規則で角張った、一見不安定な石は、ロロ・ピアーナ・インテリアの過去のコレクションの生地で覆われ、ここで第2の人生を歩みだします。このようにアパチェタの景観は、サステナビリティと廃棄された素材を再利用する可能性、そしてそれらを高貴なものにすることについての対話をも誘います。
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コルティーレ・デッラ・セタの中心にある塔の間に、ソファ、スツール、ベンチ、テーブルなど、モハデッドのデザインによる家具が並んでいます。ロロ・ピアーナ・インテリアの極上の質感の素材を使い、まるで石のように柔らかな印象に仕上げています。丸みを帯びた部分には手彫りの木のパーツが用いられ、石の間にある岩のように安定感を与え、物を置くための面を作り出し、コントラストを生み出しています。木と生地は、第3の素材であるセラミックと出会い、その色はアルゼンチンのラグーンからインスピレーションを得て、塔の色と同じ赤と白で表現されています。すべてはこの風景の素晴らしい自然のパレットから生まれました。テーブルの表面にはセラミックが使われ、家具の間に小さなラグーンを作り出します。
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「クリスチャンの職人技に対する情熱、素材の研究、素材やその質感、コントラストに対する並々ならぬ愛情を知っていたからこそ、私たちは彼へアプローチしたのです。彼が手がけるものはすべてここから始まっており、私たちの素材を託すにはふさわしいアーティストだと思いました」と、ロロ・ピアーナ・インテリアのディレクターであるフランチェスコ・ペルガモは説明します。「このプロジェクトを見たとき、すぐに期待以上のものだと確信しました。クリスチャンは、素材に魔法をかけただけでなく、私たちが共有するすべての価値観をデザインに吹き込んでくれたのです」。