「査定額は0円ですが2万円で引き取ります」はダマされてる可能性! クルマを下取りに出す際は「明細」の確認が重要だった

2023.04.13 17:30
この記事をまとめると
■新車を買う際にはこれまで乗っていたクルマを下取りに出して乗り換えるのが一般的だ
■車両を下取りに出す場合にはリサイクル預託金の取り扱いにも注意を払ってもらいたい
■新車購入する際は買い取り専業店をまわって売却先の比較検討を行うなども大切になってくる
必ずリサイクル料金の還付の確認をしよう
  いまや新車販売現場では乗り換え需要、つまりいままで乗っていたクルマを処分して新車に乗り換えるというパターンが主流となっている。そして、購入する新車を扱うディーラーへ下取りに出して処分するのが一般的となっている。これは、新車の車両価格や用品から値引きしてもお客の希望予算に合わない場合に、下取り車査定額に値引き不足分を上乗せしてさらなる事実上の値引きアップができるからである。
  ただし、現状では部材費や物流コストが上昇するなか、とくに日本車は目立った値上げを行っておらず、そのため車両本体価格や用品からの値引き、そして下取り査定額の上乗せが以前より引き締まる傾向にある。
  下取り査定はその言葉どおり、内外装の傷み具合や走行距離などをチェックし、当該車両の現状の価値を値踏みすることである。ただし、下取り予定車の年式がかなり古かったり、過走行などコンディションが悪いと、「下取り車は本来価値がつけられない状態なのですが、今回は5万円つけましょう」といったことをセールススタッフから告げられることがある。そのときは内訳に注意してもらいたい。
  あるメーカー系ディーラーの注文書における下取り車の明細を記す欄には、下取り車価格の構成として、査定価格が印字されている。そして、この査定価格には「自賠責未経過相当額が含まれる」となっている。自賠責保険契約期間内に新車への乗り換えを行うと、当該下取り予定車にかけていた自賠責保険の未経過分は解約することで戻ってくる(残存期間1カ月未満を除く)。しかし、一般的な新車販売現場の慣行では解約手続きではなく、未経過相当額を当該車両の査定額に上乗せすることになる(解約手続きは後日ディーラーが行う)。さらに、下取り車価格には「預かりリサイクル預託金」というものの返金分も加算されることになる。
  2002年に公布された「使用済自動車の再資源化等に関する法律(通称自動車リサイクル法)」により、自動車使用者は当該車両解体に必要な費用を預託金として新車購入時にリサイクル料金として収めることになっている。そして、当該車両を転売するときには解体処理は行わないので、預託していたリサイクル料金は返還されることになる。
  ここで前述のセールススタッフが「5万円つけましょう」といったとの仮の話に戻ろう。このようなときにはたいてい還付されるリサイクル料金もコミコミでの金額提示と思ってもらいたい。つまり、仮に当該下取り予定車のリサイクル預託金を1万円とすると、「下取り査定額4万円+1万円」ということになるのが一般的。
  ただ厳密にみると、「5万円+1万円=6万円」にならないとおかしな話に思える。リサイクル料金の還付はあくまで預託していたお金の返金なので、下取り車の価値判断とは関係ないからだ。これが、「本来は解体扱いで査定額は0円になりますが、2万円で引き取ります」となれば、実質下取り車は1万円で引き取られることになるので、下取り車の価値が限りなくゼロに近くなるほどここら辺ははっきりさせておいたほうがいいだろう。
  いまどきは、「すべてコミコミで30万円引きます」といったやりとりになるので、商談最後の注文内容確認のところで下取り車価格がセールススタッフ提示額になっていたら、「リサイクル料金の還付が抜けているのでは?」などと指摘するようにしてもらいたい。
複数店舗で買取価格を確認して少しでも高く売るべし
  自動車リサイクル法公布以降、下取り車を解体扱いではなく、転売目的扱いでディーラーが引き取るようにして、お客にリサイクル料金を戻すのが商慣行として定着するようになったので、解体業者の間では、中古車オークションで解体したいクルマを買ってくるということも珍しくないとも聞いたことがある。
  また、かつては初度登録から10年以上経った車両や、10万km以上の過走行車は詳細を見ないで数万円の値付けをして引き取っていたのだが、とくにSUVなど海外へ中古車として輸出されるのに人気の高いカテゴリーでは数十万円という値付けとなることもあるので、慎重に値付けを行っているようである。
  下取り査定よりも、市場相場を意識して値付けをする買い取り専業店のほうが、クロスオーバーSUVやミニバンなど、国内外ともに人気の高い車種は高値での売却が期待できるが、購入予定の新車の車両本体価格からの値引き条件のアップは、下取り車の有無が握っているので、損得勘定は慎重に判断してもらいたい。
  ただし、今後は下取り査定額のどんぶり勘定化は収束していきそうだ。ただでさえコロナ禍前より、新車ディーラーであるにも関わらず新車販売による利益だけでは食べていけない状況になっていた。そこへ今回の部材費や物流経費の負担増が追い打ちをかけ、新車販売による利益は減る一方ともいわれている。
  メーカーによっては系列ディーラーに対し「新車販売に頼らない収益体質」というのを求めているとも聞く。そこで、ディーラーは下取り車を中古車として販売して利益をしっかり出そうとしてきている。
  おおむね下取り車として引き取った車両で再版可能な場合は自メーカー系オークションネットワークがあればそこで転売していたが、最近はより良質な中古車は自社で販売する傾向も強まっている。こうなってくると、「新車を売りたいから」と採算度外視で下取り車価格を上乗せすることは控えてくるだろう。
  今後は商談を進めていくなかで、「下取り車価格が伸び悩んでいるなぁ」と感じたら、買い取り専業店をまわって売却先の比較検討を行うことも新車購入では大切になってくるものと考えている。
  どこに乗っていた愛車を処分するにしても、査定価格の詳細の確認を怠らないでもらいたい。

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