クルマはオンラインやホームセンターで買う時代になる!? 新車販売では儲からないディーラーの生き残り策とは

2023.04.12 17:20
この記事をまとめると
■現在、新車ディーラーでは働き手が不足しているという
■オンライン販売にシフトしていく可能性も
■今後の新車ディーラーのあり方について解説
新車ディーラーの人手不足が深刻
  新車ディーラー各店舗においては、スタッフの定員割れのような状況が続いている。つまり、ほかの業界と同じように働き手不足が深刻となっているのである。さらに、ほかの業界より比較的コロナ禍の悪影響を受けなかった新車販売とされるが、昨今の納期遅延問題なども手伝い、思うように稼げない状況が続き、離職者や病欠なども深刻となっている。
  新車販売業界は、販売職、メカニックそして間接部門など、そこに従事するひとの数の多い労働集約型産業といってもいい状況となっている。そのため、どうなるかは別としてファミリーレストランにおいて、オーダーをタブレットなどで行い、配膳ロボットが食事を運んでくるような抜本的な改革が必要な時期に達しているのは間違いない。
  かつて家電業界ではそれぞれのメーカーの製品しか販売しない街の電気屋さんがあったが、それがいまの新車ディーラーといっていいだろう。ところが、いまでは家電業界トップとされるメーカーの街の電気屋さんが残るぐらいで、家電量販店が台頭している。しかし、その家電量販店も実物を見に来るひとばかりで、購入はネット通販がさらに台頭しているのが実状とされている。筆者もよほど見比べたいものがない限りはネット通販で家電製品やパソコン、プリンターなどを購入している。
  自動車販売でもすでに某家電量販店やある地方のホームセンターなどの異業種が、届け出(または登録)済み未使用中古車を現状でも販売している。メーカーとの代理店契約の関係で新車そのものは販売することはできないが、すでに新車同然なもの(未使用中古車)は専業店以外でも販売されているのである。たまたまテレビでの取材を見ていると、「お客様からの要望があったので売ることにした」とホームセンターの経営者は語っていた。実際その店舗を訪れたことがあるが、一般的なホームセンターの自転車売り場のように店内に届け出済み未使用中古車が並んでいた。そのホームセンターは整備工場も設けており、そこで購入すればワンストップでクルマを使うことができるのである。
  都市部ならディーラーの店舗を探すのは簡単だが、地方都市では店舗を探すのが大変な地域もある。さらにそのような地域で新車販売に協力していた街の整備工場などの業販店も後継者不足などで廃業するところも少なくない。家電製品などは量販店で購入することに抵抗がないのに、「新車だけは……」というのはありえない話で、消費者の多くは一箇所で多くのメーカーのクルマを見比べることができて買えるのを便利と思うのは当たり前の話である。当局が自動車メーカーと販売ディーラーとの間で交わされる代理店契約のあり方に注目しているとの詳細は不明だが、そのような情報も入っている。
  事情通は「すでに届け出(登録)済み未使用中古車を扱う家電量販店でも整備工場を設けるつもりはないようです。そこまでコストはかけたくないのでしょう。店舗近くのディーラーと提携し、その店舗をメンテナンス窓口として購入したお客に紹介するとのことです」と話してくれた。ただし、本格的に異業種販売が進む前にオンライン販売というものが出てきたので、一気にそちらにシフトする可能性も出てきている。
実店舗がなくなることはないだろう
  メーカー系新車ディーラーが全廃になることはないだろう。ただ、働き手不足もあり対面販売には限界が出てきており、オンライン販売はある意味サービス向上のために広がりを見せていきそうである。事実、店頭にはなかなか足を向けることのでないお客をオンライン販売で誘致することができているようである。いまは納期遅延が深刻なので、「実車を試乗してから」などと悠長なこともいっていられないケースも多いが、「どうしても試乗して購入したい」というお客もいるので、そのようなひとはメーカー系新車ディーラーで新車を購入することになるだろう(今後もディーラーに試乗車があるという前提)。郊外で広大な敷地を持つ量販店ならば、敷地内での試乗も十分可能だ。ただし、新車でも中古車販売でも試乗しなければ購入できないというお客は結論まで時間がかかるとして、敬遠され後回しにされることが多いと聞いている。
  現状でも軽自動車では金利の関係から現金購入のひとは届け出済未使用軽中古車専業店(中古車扱いになるので金利が高いケースが多い)、残価設定ローン(金利は低め)で購入したいひとはメーカー系正規ディーラーでと、棲み分けができている。
  ただ一定金額以上の車両はやはりメーカー系正規ディーラー店頭などにおける対面販売が主流となるだろう。つまり、将来的にメーカー系正規ディーラーはその規模を縮小しながら、点検・整備あるいは物販の窓口業務を強化し、高額車両を中心に扱うところ以外は新車販売はオマケ程度になるのではないかと筆者は考えている。航空券購入などで、オペレーターを通じて購入すれば、ネット購入の料金に対して窓口手数料を余分に取られるといったこともあるが、新車販売でも今後起こってくるかもしれない。
  韓国ではすでに新車販売の中心はオンライン販売となっている。そもそも韓国の新車ディーラーは販売に特化し、整備窓口は別にして設けていなかったことが功を奏していたのかもしれない。日本ではオンライン販売でもどうしても店舗に足を運ばなければならないのが現状となっているが、今後さらに現場の働き手不足は改善どころか深刻になることが予測できるので、法改正なども伴いオンライン販売の比重は高めざるを得ないといえるだろう。現状でも一軒あたりの商談に時間がかかると効率が悪いと指導されるそうだ。
  オンライン販売先進国のアメリカでは、いまのところ人間が窓口になっているようだが、これはビッグデータを収集するためともされ、対話型AIが話題になるいまでは、窓口を完全AI化するのも時間の問題ではないかとされている。これならディーラーは大幅に人件費を削ることもできるのである。それでもディーラーでという人向けには、ショールームにスーパーのセルフレジのようなものを設けて自ら入力などをしてもらい、説明要員を1名ぐらいおけば済むことになるだろう。とにかく、いまより人の手がかかる業務を減らしていかないと、日本では新車ディーラーという業態自体が今後成り立たないといってもいい状況になっているのである。
  新車販売による利益がほぼ期待できないなか、メーカー系正規ディーラーも生き残る術として、脱新車販売という道を選ばなくてはならないだろうし、すでにそのような話は出てきている。事実メーカーからは新車販売に頼らない利益追求というものがディーラーに求められているとも聞いている。

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