国産スポーツカーの代表格! 日産スカイラインGT-Rの進化を振り返る

2023.03.31 13:00
この記事をまとめると
■日産スカイラインGT-Rの歴代モデルを紹介
■ルーツはスカイライン2000GT
■現行型で6代目となる
日本の技術力を世界に示したスポーツモデル
  GT-Rといえば日産を代表するスポーツカー。ただそのルーツは普通のセダンに高性能エンジンを搭載しレース仕様に仕立てたスカイラインGT-Rです。
  今回は歴代スカイラインGT-Rをそれぞれ紹介していきます。
スカイラインGT-Rのルーツ「2000GT」とは
  スカイラインといえば誰もが「スポーツセダン」と連想することでしょう。そもそも、そんな評判が定着したのは2代目スカイライン2000GT以降のことです。
  第2回日本グランプリ参戦のため、1.5リッターエンジンを搭載していた『ただの』セダンをベースにホイールベースとボンネットを拡大。2リッター直6エンジンを無理やり詰め込んだスカイラインGTは、同グランプリで一時的にポルシェ904GTSを抑えてトップを快走し自動車ファンを沸かせます。
  レース後、シングルキャブレター仕様の2000GT-A、さらにウェーバー装着車は2000GT-Bとして量産モデルの販売を開始。ここからスカイラインは直6エンジンを搭載するスポーツセダンと評されるようになり、さらなるハイパフォーマンスモデルがGT-Rへと進化したのです。
初代スカイラインGT-R(1969〜1973年)
  2000GTの存在からスポーツセダンとして人気が高くなったスカイラインは、1968年のフルモデルチェンジで3代目へと進化します。
  デビュー時には4ドアセダンとステーションワゴンのエステート、商用バンをラインアップしていた3代目は、1969年にレーシングカーR380に搭載していたエンジンを4ドアセダンに搭載したハイパフォーマンス仕様のGT-Rを追加しました。
  市販車向けにデチューンしたとはいえ最高出力160馬力を発揮するS20型2リッター直6・DOHC4バルブエンジンは、当時としては超ハイスペック。一見、直6エンジンを搭載する2000GTと変わらない「普通のセダン」でしたが、中身は怪物だったわけです。
  先代の2000GT同様、初代GT-Rはレースで戦うために作られたモデル。そのためレースで有利となるショートホイールベースの2ドアハードトップGT-Rが後に追加され、ツーリングカーレースで50連勝という大記録を成し遂げました。
2代目スカイラインGT-R(1973年)
  レースシーンで活躍したスカイラインの名声はクルマ好きの間で定着。ケンメリとの愛称で呼ばれた4代目は1972年にデビューしましたが、3代目に続きGT-Rが用意されています。
  先代同様S20型エンジンを搭載した2代目GT-Rは、2ドアハードトップをベースに1973年に登場。前後オーバーフェンダーやラジエターグリルなど専用パーツを身につけて、より迫力が増した外観に仕立てられました。
  エンジンのスペックは先代同様で、メーカーが発表していた最高時速は200km/h。ベース車種とサスペンション形式は同じでしたが、リヤスタビライザーが装着されるなど走りに特化したセッティングが施されています。
  GT-R含めスカイラインの大きなトピックスとして、丸形テールランプがこのモデルから装着されたことをお伝えしなくてはなりません。いまだに「スカイライン=丸形テールランプ」とのこだわりを持つファンが多いのですが、そのお約束は4代目スカイラインから始まったのです。
  当然、2代目GT-Rは先代に引き続きレースシーンで活躍する……と思いきや、昭和48年度排ガス規制に適合しなかったことでレースに参戦することもなく、販売もわずか4カ月で打ち切られてしまいました。
「悲運のGT-R」や「不遇のクルマ」などと呼ばれた2代目の販売台数はたった197台と、幻のGT-Rとなってしまいます。
画期的な4輪駆動システムでレースでも大活躍
3代目スカイラインGT-R(1989〜1993年)
  GT-Rファンにとって待ち焦がれていた3代目が登場したのは1989年。8代目スカイラインに設定された3代目GT-Rは、デビューから圧倒的な注目を集めます。
  2代目の販売終了から16年ほど経過し登場した3代目は、当然大きく進化していますが歴代モデル同様にレースで勝つためのモデル。そのため、駆動方式はFRではなく4WDを採用しました。
  この4WDは「アテーサ・E-TS」と呼ばれるトルクスプリット式で後輪駆動をベースに走行シーンに合わせて、前輪にも駆動力を配分するシステム。実際、このシステムを搭載したことで3代目はレースシーンで大活躍することになります。
  パワーユニットはRB26DETT型2.6リッター直6DOHCツインターボを搭載。最高出力280馬力を発揮するパワーと4WDならではのスタビリティでファンが期待していた、さらに上のパフォーマンスを発揮しました。
  3代目は1989年後半から全日本ツーリングカー選手権のグループAに参戦して1993年まで全戦全勝。無敵のツーリングカーとしてその名を高めました。
4代目スカイラインGT-R(1995〜1998年)
  記憶にも記録にも残った3代目の後を受け、1995年に登場したのが4代目スカイラインGT-R。完成度が高すぎた3代目の後継モデルとなる4代目はデビュー前、多くのファンから「果たして進化しているのだろうか?」と心配されることになります。
  そんな声が日産にも届いたのか4代目の開発陣は大いに奮闘。ニュルブリンクサーキット(オールドコース)で3代目がなし得なかった(8分20秒)8分切りを果たす7分59秒を記録。先代より一歩上を行くパフォーマンスを得ることに成功しました。
  パワーユニットや駆動方式は先代から引き継いでいるものの、さまざまな改良が施されています。
  エンジンはRB26DETT型を継承していますが、インタークーラーの軽量化など走行性能を高める改良を実施。4WDシステムも「アテーサ・E-TS」を搭載しましたが、後に追加された「Vスペック」にはLSDやABSを統合制御する「アテーサ・E-TS プロ」が新たに採用されています。
  ただ、それでも3代目の存在感が高かったのか、4代目は先代ほどに人気を得ることはできませんでした。3代目とは違い4ドアセダンからホイールベースが縮小されなかったことなど、GT-Rらしいスペシャル感が薄まったこともその理由なのでしょう。
5代目スカイラインGT-R(1999〜2002年)
「スカイラインGT-R」としては最後のモデルとなる5代目は1999年にデビュー。大きくなったことで不評だった4代目から全長&ホイールベースを大きく短縮して登場しています。
  RB26DETTエンジンとアテーサ・E-TSは先代、先々代から踏襲していますがともに大きく成熟。エンジンはターボチャージャーとバルブタイミングを中心に改良が施されたことで最高出力こそ変わりませんが、最大トルクが引き上げられました。
  また歴代GT-Rで初となる6速MTが採用されたことや、リヤデフにヘリカルLSDを備えたことも特徴といえるでしょう。
  ただ5代目の進化はここで終わりません。ハイパフォーマンス仕様「Vスペック」にはカーボン製ディフューザーを装備するなど空力性能にも力が入れられ、旋回性などとともに高速走行時の安定性までこだわられました。
  5代目は2007年に現行型(R35)へ後を託しましたが、ファンにとってそれは別物。中古価格がとんでもない価格で取引されるほど、5代目はいまだにファンから愛されています。
現行型GT-R(2007年〜)
  GT-Rとの名が付くもののスカイラインシリーズとまったく別物となった現行モデル。スカイラインGT-R同様、4WDシステムのアテーサ・E-TSが装備されましたが、パワーユニットは3.8リッターV6ツインターボ、シャシーは独立型トランスアクスルを採用するなど大きく変更されています。
  現行型とはいえデビューからすでに16年以上経っていることで、外観やメカニズムなどかなり変更されています。
  最高出力は480馬力から570馬力(NISMOは600馬力)へ向上。合わせて価格もデビュー時の標準仕様は777万円だったのが、現在は1000万円以下で購入できるモデルはなく1082万8400円からと大幅にアップしました。
  2024年モデルが発表されるなど、まだまだ進化し続ける現行型ですが、今後、どのように発展していくのか楽しみです。
まとめ
  スカイラインに思い入れがない方には信じられないかもしれませんが、コアなファンにとってスカイラインは「直6エンジン+丸目テールランプ」あってこそのクルマ。当然、V6エンジンを搭載するR35型GT-Rは「スカイラインGT-R」とは別物です。
  ただ、そこまでファンがこだわりを見せるのはレースシーンなどで実績をあげGT-Rというブランドを築き上げてきたからこそ。
  今回、歴代モデルを振り返ったことで、いまだにスカイラインGT-Rが信仰されている理由がわかったのではないでしょうか。

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