香辛料として調理に使えるだけでなく、虫除けにも使える便利なとうがらし。初心者でも育てやすく、プランターで手軽に栽培・収穫ができます。生育適温は28~30℃。5月頃を目安に苗を植えましょう。
準備するもの
苗
野菜用培養土
プランター(深さ30cm以上の大型のもの)
鉢底石
移植ごて(小型の園芸用シャベル)
園芸用の支柱(仮支柱、本支柱)
誘引用の麻ひも
化成肥料(固形)
園芸用ハサミ
じょうろ
初心者に育てやすい、とうがらしの品種
タカノツメ(鷹の爪)、ヤツブサ(八房)、日光トウガラシ(日光唐辛子)
苗植えと仮支柱立て
とうがらしは種から育てることもできますが、苗からの方が短期間で収穫でき、失敗も少ないのでおすすめです。
きれいに洗ったプランターに、鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
野菜用培養土を入れる。
30cm間隔で2カ所、苗の入った簡易のプラステック容器と同サイズの植え穴を掘り、じょうろで水を注ぎ入れる。
苗の入った容器から、苗を土ごと取り出す。このとき、苗が傷つかないように、根元を片手で押さえながら、逆さにしてそっと抜き出す。
水が土にしみ込んだのを確認したら、苗を取り出した状態のまま穴に入れ、株元に土をかぶせて、軽く押さえる。
苗のわきに仮支柱を立てる。下の写真のように、根元から10cm程度の位置にひもをゆるめにかける(誘引といいます)。
苗のわきに仮支柱を立て、根元から10cm程度のところでひもで誘引
プランターの底から水が流れ出るまで、たっぷりと水をやる。
その後は、土の表面が乾いてきたら水をたっぷりと与えましょう。
水や肥料が少ないとストレスで辛くなる
とうがらしに含まれる辛み成分はカプサイシンが主体です。カプサイシンは、栄養不足、乾燥などで生育環境が悪くなるとストレスがかかって増える傾向があります。
病害虫について
病害虫が少ない野菜のひとつですが、アブラムシが気になる場合は、適した農薬(お店で確認しましょう)を散布して対処します。
整枝と本支柱立て
一番果(最初にできた小さい実)がつく頃に、根元から10cmまでのわき芽と枯れ枝を切り取ります。また、2本立ち苗(1つの株から2本の茎が伸びている苗)は、一番果の収穫時期の頃に1本立ちにしてもよいし、そのまま育ててもかまいません。これらの工程を整枝といいます。
整枝後に1mほどの支柱を垂直に立てて20cmくらいの位置にひもをかけて、誘引します。わき芽かき(茎と葉の付け根から出てきた新しい芽を取り除くこと)と誘引は、以降も生長に合わせて2週間に1回程度を目安に行います。
追肥
実がつき始めたら、肥切れを起こさないように2週間に1回、化成肥料10gを追肥します。
収穫
開花から20日程度で、青とうがらしの収穫ができます。
開花から20日程度で青とうがらしが、さらに40日ほどで赤とうがらしが収穫できる
さらに40日ほど経つと真っ赤に熟してくるので、へたの部分からハサミで切り取ります。
とうがらしは調理以外でも虫除けとして使うことができ、乾燥させたものをお米の保存容器に入れれば、虫が侵入するのを防ぐことができます(効果の目安は1カ月ほどです)。丸ごとよりも、輪切りにしたもののほうが効果的ですが、その場合はティーバッグなどに入れて、使用するようにしましょう。藤田 智さんプロフィール
藤田 智
恵泉女学園大学教授・副学長
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は140冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
ホームページ/藤田 智さんプロフィール
とうがらしはナス科の野菜で、熱帯アメリカが原産地。青いものと赤いものが出回っていますが、辛みが強いのは青とうがらしです。また、「とうがらし=辛い」というイメージがありますが、ししとうや京野菜の万願寺とうがらしなど、辛みが少ないタイプもあります。
最終更新:2023.03.28
文:アーク・コミュニケーションズ
写真:谷山真一郎
監修:藤田智、カゴメ
参考文献:
『ベランダですぐ始められる コンテナで野菜づくり』藤田智著(日本文芸社)
『新・野菜の便利帳』板木利隆監修(高橋書店)
出典:
農研機構(唐辛子の防虫効果)