この記事をまとめると
■スバル・レガシィアウトバックの魅力を紹介
■現行モデルは2021年に国内販売を開始した
■歴代モデルについても振り返る
レガシィの名前を受け継ぐクロスオーバーSUV
ステーションワゴンブームを国内に巻き起こしたスバル・レガシィ。ただセダンやステーションワゴン離れが進んだいま、国内で販売されるのはワゴンをベースにSUV化されたレガシィアウトバック(以下、アウトバック)です。
今回はレガシィシリーズで唯一、国内販売されているアウトバックについて紹介しましょう。
レガシィアウトバックとは
ステーションワゴンをベースに最低地上高を高めフェンダーなどでワイルドに仕立てるクロスオーバーSUVが人気を集めていますが、そのパイオニアとなるのが2代目レガシィにラインアップされた「レガシィ・グランドワゴン」。このモデルは海外市場でレガシィアウトバックと名付けられ、とくに北米市場で大きな人気を得ることになります。
レガシィのモデルチェンジに合わせ新型が登場してきた同車は、3代目から国内でもアウトバックと呼ばれるようになりました。
現行モデルは2021年に国内販売を開始。先代モデル末期にセダンのB4がラインアップ落ちしたまま、現在もレガシィと名が付くモデルはアウトバックのみが国内で販売されています。
シャシー、プラットフォーム
アウトバックのボディサイズは全長4870mm、全幅1875mm、全高1670〜1675mm。ゆとりあるボディサイズを採用した現行モデルのプラットフォームは5代目となる現行インプレッサからスバルが展開するSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を使用しています。ただし、骨格を組み上げた後、外板を溶接するフルインナーフレーム構造骨格などを新たに採用しました。
またインプレッサと比べてボディが大きく、しかも重いアウトバックに合わせサスペンションを構成する多くのパーツが新設計されていることも特徴です。
そのサスペンションはフロントがストラット式、リヤがダブルウイッシュボーン式を採用。フロントのサスペンションクロスメンバーは溶接長を増やして車重の増加に対応しました。
パワーユニット
アウトバックに用意されるパワーユニットはCB18型1.8リッターターボ付き水平対向4気筒。最高出力177馬力を発揮するこのエンジンは初代レヴォーグなどに搭載されていましたが、アウトバック用にエアインテークシステムを専用設計としています。
エンジン回転数が2400rpm以下かつ、低負荷領域ではリーンバーンとなることで低燃費性能も向上。1690kgの車重ながら13.0km/L(WLTCモード)の燃費性能を誇ります。
トランスミッションはチェーン式CVT「リニアトロニック」を先代同様に採用。ただマニュアルモードの段数が7段から8段へ細分化されました。
4WDシステム
アウトバックにはスバル自慢の湿式多板クラッチを電子制御する4WDシステム「アクティブトルクスプリット方式」が搭載されています。
また悪路専用に駆動力を切り替える「X-MODE」を装備。“リミテッド EX”は1モード、“Xブレイク EX”には圧雪路や砂利道向け「SNOW・DIRT」と、雪深い道やぬかるみ道向け「DEEP SNOW・MUD」の2モードを備えました。
室内、装備など
運転席に乗り込むと目を引くのは11.6インチの縦長センターディスプレイ。タブレット端末同様にナビやオーディオなどの操作ができる統合型インターフェイスです。
ただしすべての情報をディスプレイでタッチ操作するのではなく、操作性を考慮し空調などはスイッチ操作を基本としました。
運転席前のメーターも12.3インチの全面液晶画面を採用。液晶画面にはナビのマップやアイサイトの作動状況、平均燃費などを表示することが可能です。
全長4870mmと大きなボディを採用したアウトバックの居住性は上々。とくにリヤシートのゆとりや足元スペースは大きな利点といえるでしょう。
561Lの容量を誇るラゲッジルームも広大。広さだけでなくホイールハウスにソフトパットを配していることなど積載物への配慮も施されています。
安全装備
運転支援システムは最新型となる「アイサイトX」を標準装備。2つのカメラで測距するステレオカメラ方式は先代と同じですが、カメラの水平画角を2倍に拡大したことや、イメージセンサーを改良したことで物体の認識性能が大きく向上しています。
またGPS情報に加え、準天頂衛生システム「みちびき」による測位サービスを利用できることで高度な運転支援機能を備えたことも「アイサイトX」の大きなメリット。自動車専用道で渋滞中、ハンズオフ走行が可能となったのはこれらの恩恵を受けているからです。
グレード
現在、アウトバックには2つのグレードが用意されています。
ひとつは429万円のフラッグシップモデル「リミテッド EX」。そしてもうひとつのグレードは多彩な悪路走破性モードを備えた414万7000円の「Xブレイク EX」。
ともにパワーユニット、4WDシステム、アイサイトが備わっており装備的にどちらも充実していますが「リミテッド EX」にはハンズフリーオープンパワーリヤゲートや本革シートが標準装備となっています。
またアルミパッド付きスポーツペダルは「リミテッド EX」のみ装着可能、一方2モードの「X-MODE」は「Xブレイク EX」のみに装備されます。
歴代レガシィアウトバックの歩み
厳密的にいうと、レガシィアウトバックと名付けられたモデルが登場したのは4代目レガシィが登場した2003年から。ただし、それ以前にも海外ではレガシィアウトバックとして販売されていたため、歴代モデルとして紹介します。
初代(1995〜1998年)
レガシィアウトバックのルーツは2代目レガシィ発売後に追加された「グランドワゴン」(北米などではレガシィアウトバックとして販売)。ツーリングワゴンをベースに最低地上高を200mm高めるなど走破性を高めたことが特徴です。
グランドワゴンはフォグランプを備えた専用のフロントバンパーやフロントグリル、ツートーンカラーを装備。機能だけでなく外観でもツーリングワゴンとの差別化を図りました。
※写真はMC後のレガシィランカスター(1997年)
パワーユニットは2.5リッター水平対向エンジンを搭載。ゆとりあるトルクでオンオフどちらも軽快に走行することができました。
2代目(1998〜2003年)
レガシィのフルモデルチェンジに合わせグランドワゴンも2世代目へと移行されました。
ただ、車名はアウトバックでもグランドワゴンでもなく国内仕様は「ランカスター」と名付けられました。グランドワゴンと比べてワイルドなイメージが薄く、垢抜けたフォルムを採用した都市型SUVへと進化しています。
グランドワゴン同様、専用バンパーなどで外観をツーリングワゴンと差別化するとともに、内装もインパネなどに木目調パネルを配するなど独自色を強めたことが特徴。
他のグレードには搭載されない3リッター水平対向6気筒エンジンがモデル途中で追加されたところも大きなトピックスとなりました。
3代目(2003〜2009年)
4代目レガシィのフルモデルチェンジとともに3代目となるレガシィアウトバックが登場しています。そう、このモデルから国内でもアウトバックと名乗るようになりました。
最低地上高が上げられたことや専用フロントバンパー&外装パーツを装備されたこと以外、ツーリングワゴンとの違いはなさそうですが、3代目はエンジンフードも専用になるなどより差別化が図られているのも特徴です。
パワーユニットは先代から引き続き3リッター水平対向6気筒エンジンが用意され、その他、2.5リッター水平対向4気筒エンジンをラインアップ。2.5リッターエンジン車にはトルクスプリット式4WDが組み合わされました。
4代目(2009〜2014年)
2代目、3代目同様、レガシィのフルモデルチェンジに合わせて登場した4代目レガシィアウトバック。ワゴンやセダンにはない3.6リッター水平対向6気筒エンジンが備わるなど、レガシィファミリーにおいて特別なモデルと位置づけられるようになりました。
4代目にはリニアトロニックCVTを採用するなど、先代と比べて大きな進化が図られています。
6気筒エンジンとともにデビュー時はEJ25型2.5リッター水平対向4気筒エンジンがラインアップされましたが、マイナーチェンジでとくにトルクが向上したFB25型2.5リッター水平対向4気筒エンジンへと変更され、リニアトロニックCVTも新世代型に積み替えられました。
5代目(2014年〜2020年)
5代目が登場したのは6代目レガシィがフルモデルチェンジされた2014年。ただし、レガシィは歴代モデルにラインアップされてきたツーリングワゴンが国内で販売されず、セダンのB4とアウトバックのみとなりました。
ご存知のように、この時代はすでにセダンの人気も国内では落ち込んでいたために、アウトバックはレガシィファミリーを引っ張る大黒柱となります。
先代と5代目が大きく違うのが6気筒やターボエンジンが廃止されたこと。エンジンはFB25型2.5リッター水平対向4気筒のみが搭載されました。
アウトバックにはスバル自慢のシンメトリカルAWD(4WD)が装備されていますが、加えて悪路走破性に貢献する電子制御「X-MODE」を始めて搭載。歴代モデルよりさらに走破性が高まっています。
まとめ
多くの人がレガシィと聞いてイメージする「ツーリングワゴン」や「B4」はすでになく、SUVシリーズを牽引するアウトバック。世界的なSUVブームのなか、好調な販売を続けています。
ただ人気の理由はSUVだということだけでなく、同車が備える高い実用性や悪路走破性などアウトドアなどのレジャーを楽しむユーザーにとって多くの魅力を備えていることが大きな要因なのでしょう。
国内で使用するにはやや大きいサイズではありますが、とくにアウトドアを楽しむ方にとって最適なモデルのひとつです。