見た目はバカッ速なのに踏んだらアレ……遅くない? 見た目「狼」中身は「羊」なクルマ4選

2023.03.14 11:40
この記事をまとめると
■クルマはよく「羊の皮をかぶった狼」と評価されることがある
■「羊の皮をかぶった狼」の逆バージョン「狼の皮をかぶった羊」的なモデルを紹介する
■外観は上級モデルと同じなのが「狼の皮をかぶった羊」の特徴だ
どこか憎めない「狼の皮をかぶった羊」たち
  クルマのキャラクターを表現する常套句として「羊の皮をかぶった狼」というものがある。
  プリンス・スカイライン2000GTの誕生時に、故・三本和彦氏が東京新聞の記事タイトルにつかったのが最初で、当時はプリンス自動車(のちに日産に吸収合併される)の広報部から「わが社の労作を狼よばわりするのは許せない」と抗議を受けたという。
  スカイライン2000GTは、4気筒エンジンを積む標準ボディのフロントを伸ばして直列6気筒エンジンを積んだエボリューションモデルというべきものであり、けっして平凡なカタチだったわけではない。スカイラインという4ドアセダンで、ポルシェに匹敵するパフォーマンスを目指したという開発者の意気を、三本氏は「羊の皮をかぶった狼」と表現したのだろう。
  そして、いまでは外観に反してハイパフォーマンスであったり、走りが楽しめたりするクルマをほめる表現として定着している。
  最近では、どのクルマでも公道を前提とすれば十分なパフォーマンスを有しており、ハンドリングがダルでつまらないということも少なくなっている。そのためか、「羊の皮をかぶった狼」という表現を見かけることも少なくなっているようだ。
  それはさておき、ここで紹介したいのは「逆・羊の皮をかぶった狼」とでも呼びたくなるクルマたち。いかにも速そうなスポーティな外観なのに、いざ走らせると期待値よりおとなしいといったモデルをピックアップしてみた。
  この手の切り口ではレギュラーメンバーといえるのが光岡オロチ。光岡のオリジナルシャシーはミッドシップで、なまめかしいボディは他に類を見ないもの。
  さぞやエキサイティングな走りを披露するのだろう、と期待したくなるが、エンジンはトヨタの3.3リッターV6で、トランスミッションは5速ATだけの設定となっている。
  このパワートレインはトヨタの上級FF系モデルの定番で、233馬力という最高出力はSUVやセダンであれば十分にパワフルといえたが、オロチの外観からすると拍子抜けするほど平凡なスペックといえた。
  もっとも、オロチについては光岡自身が「ファッション・スーパーカー」をコンセプトにかかげていたモデルであり、そもそも「狼の皮をかぶった羊」を目指していたともいえる。
  同様に、ミッドシップのスポーツカーであっても、絶対的な速さではない世界を求めていたのがホンダ・ビートだ。メーターデザインからもわかるようにビートが目指したのはクルマとバイクの世界観を融合させた乗りものだったといえる。
  ご存じのようにビートは軽自動車で、エンジン排気量は660㏄に制限される。当時もいまも軽自動車でパフォーマンスを求めるとターボによる過給は必須といえるが、ビートはあえてNA(自然吸気)を貫いた。そのかわり「MTREC」と呼ばれる3連スロットルを採用することで高回転まで軽やかにまわるエンジンに仕上げたのだ。
  結果として軽自動車の自主規制である64馬力は実現したが、ターボエンジンと比べるとトルクで劣るのは致し方なく、また他社のターボ車は実測ではカタログ値を超えることが珍しくなかった時代には、明らかに最高速&加速性能では見劣りした。
  しかしながら、ビートを速さだけを求めたスポーツカーとして捉えていたオーナーは少数派だったのも事実。ターボエンジンのような爆発的なパワー感ではない世界を楽しむのがビートの流儀であり、後年になって「逆・羊の皮をかぶった狼」と呼ばれるのは、ビートの開発者も、当時購入したユーザーも、そしていまも大事にしているオーナーにとっても不本意であろう。
見た目だけは一丁前!
  そういう意味では、マンガ「頭文字D」に登場したことによって狼の皮をかぶった羊的な扱いをされている「AE85」も不憫なモデルといえる。
  いうまでもなく「AE85」というのはAE86型カローラレビン/スプリンタートレノに設定されていた廉価グレードの車両型式のことだ。AE86が1.6リッターDOHCエンジンを積んでいたのに対して、AE85のエンジンは1.5リッターSOHCだった。排気量的にはわずかな違いに感じるが、当時のカタログスペックではAE86が130馬力だったのに対して、AE85は85馬力と大きく異なっていた。
  AE86が神格化されていくなかで、なんちゃってハチロクといった風情のAE85はバカにされる存在となったわけだが、ハチゴーがあったからハチロクが存在できたともいえる。
  4ドアボディのカローラがFF化する中で、スポーティなクーペモデルだけはFRを残すという英断があったから”ハチロク”は伝説となったが、廉価版の”ハチゴー”を用意することで専用ボディの生産量を確保するといったことをしなければ、商品企画として通ることは難しかったであろう。ある意味では、ハチゴーがあったからハチロクは存在できたのだ。
  冒頭、「羊の皮をかぶった狼」というフレーズはスカイラインによって生まれたというエピソードを紹介した。スカイラインに敬意を表して(?)、後年に生まれたスカイラインのなかから、もっとも「逆・羊の皮をかぶった狼」といえるモデルを考えてみたい。
  さまざまな意見はあろうが、筆者が考えるのは8代目スカイラインのエントリーグレード「GXi」である。8代目スカイラインといえばR32という型式でおなじみ。コンパクトなボディは走りを重視したもので、第二世代GT-Rが誕生したモデルとしても知られている。
※画像はGTS25 Type X G
  基本的にR32スカイラインは6気筒エンジンを積んでいた。GT-Rには2.6リッターツインターボエンジン、標準ボディの最上級グレードといえるGTS-tには2リッターターボエンジンとなっていたのはご存じの通りだ。
  しかし、GXiだけは1.8リッターの4気筒エンジンだった。エントリーグレードに1.8リッターエンジンを積むというのはスカイラインの伝統ともいえるもので、それ自体は珍しくないのだが、外観で差別化しなかったのがGXiを「逆・羊の皮をかぶった狼」たらしめている。
  ポイントはテールレンズのデザインにある。スカイラインといえば丸4灯テールがアイデンティティだったが、7代目までは4気筒エンジン車だけは角テールとしてひと目で違いがわかるようデザインされていた。
  そうした識別点がなくなってしまったことで、8代目スカイラインのGXiは一見すると2リッターターボ車のように感じられることもあった。もちろん、ちゃんと見ていくとタイヤサイズやブレーキの仕様、ホイールの穴数など外観でわかる違いは多かったのだが、識別ポイントを知らない世代にとっては「こんなグレードがあったのか」と驚いてしまうかもしれない。
※画像はGTE Type X

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