【試乗】電動化時代の「リヤ駆動」のアウディ! Q4 e-tronに「らしさ」はないけど「いいクルマ」であることは間違いなし

2023.03.13 17:00
この記事をまとめると
■アウディからEVのミドルサイズSUV「Q4 e-tron」が上陸した
■4WDシステムの「クワトロ」が自慢のアウディだが同車は後輪駆動を採用している
■同クラスの日本製BEVと戦えるほどの低価格を実現している
海外製プレミアムEVながら低価格を実現
  2050年までに、生産から廃棄に至るまでのライフサイクルアセスメントでのカーボンニュートラルを目指し、2026年以降の新型車はすべて電気自動車にするとアナウンスしているアウディ。
  でも1000万円以上するe-tronやe-tron GTだけでは目標達成は難しいだろう。それはアウディ自身もわかっているはず。ということで、本丸と言えるモデルを出してきた。それがQ4 e-tronだ。
  プラットフォームはフォルクスワーゲン(VW)ID.3/ID.4と共通。つまり、フロアに薄くバッテリーを敷き詰め、リヤにモーターを置く、テスラが確立したレイアウトだ。ミッドシップスポーツのR8やe-tron/e-tron GTは4WDのクワトロなので、アウディブランド初の後輪駆動ではないかと思われる。
  4590×1865×1630mmのボディサイズ、2765mmのホイールベースはID.4とほぼ同じ。このクラスの日本代表、日産アリアにも近い。リヤに積まれるモーターの最高出力は、ID.4では2種類あるが、Q4 e-tronは高出力版の150kWのみ。310Nmの最大トルク、576kmという満充電での航続距離を含めて、アリアB6と同等だ。
  ボディはハッチバックとスポーツバックの2タイプで、後者は外寸では全高が15mm低くなるだけ。デザインもグラスエリアから下は共通だ。顔つきは典型的なアウディであるものの、グリルはエンジンがないのでパネルになっており、横から見るとノーズが短くキャビンが長いことがエンジン車と異なる。
  キャビンはまず、フロアがあまり高くないことが好印象。スムースに乗り降りできる。インパネも操作系をVWほどタッチ化してないのはいい。メーターは最近のアウディに共通する仕立て。レバーを前後にスライドさせるドライブセレクターはシトロエン風だ。
  後席も床は低くフラット。身長170cmの僕なら足は楽に組めるし、ルーフがスロープしたスポーツバックでも頭上に余裕はある。535リットルの容量を持つラゲッジスペースを含めて、パッケージ効率はかなり高い。
あえてFRとなっているところに新しいアウディらしさを感じる
  車重が2100kgあることもあり、加速はテスラのように強烈というわけではない。むしろ自然なフィーリング。ダイナミックモードを選べば俊敏なダッシュも得られる。回生ブレーキの程度はBレンジのほか、パドルでも調節できて便利だが、こちらも唐突な効きではなかった。ジャーマンプレミアムブランドとしての完成度の高さを意識したのだろう。
  低速ではウォーンという電動車独特の警告音がキャビンに届くものの、スピードを出してそれが消えれば、ロードノイズを含めて静か。それだけに、最近まろやか方向にシフトしつつあるアウディとしては、ゴツゴツ感の残る乗り心地は気になった。Q4 e-tronは高速道路や峠道を疾走するようなキャラクターではないわけだし、重心は低いはずなので、もう少し乗り心地に振ってもそんなにデメリットは出ないはずだ。
  ハンドリングはやはり、低速ではリヤ駆動ならではの旋回感が印象的。同様のドライブトレインを持つHonda eに似ている。前輪駆動とクワトロが主力だったこれまでのアウディでは体験できなかった感触だ。ただ速度を上げるとその性格は控えめになり、低重心で前後の重量バランスに優れるという、多くの電気自動車に共通する利点が味わえる。硬めの足のおかげか、背の高さからくる不安感もなかった。
  つまり、走りの面でのアウディらしさというのはあまり強くは感じられない。でも機械としての洗練性の高さやバランスの良さは感じられるし、ジャーマンプレミアムブランドということを考えれば、同クラスの日本勢に匹敵する620万円からという価格は魅力的だ。
  それに、そもそもアウディはエンジンの個性は控えめで、クワトロによる安定性をアピールしてきたブランド。それを考えると、「静かで低重心という電気自動車との相性はいいのでは?」と思ったりもした。

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