ジープ・アベンジャー 電動化の嚆矢、日本を掠めた日 実車を見た印象は?

2023.03.01 00:00
公開 : 2023.2.19 更新 : 2023.02.21
ジープ・アベンジャーが日本に初上陸! AUTOCAR JAPANは宮崎県まで飛び、実車と今後の展望を取材しました。
実物で知るアベンジャーのサイズ感
宮崎県の会場に少数のプレスが招かれ、注目の1台がお披露目された。

ジープ電動化のコンパクトな狼煙、昨年のパリモーターショーでワールドプレミアされたジープ史上初のBEV、ジープ・アベンジャーである。
フルモデルチェンジを果たした5代目「ジープ・グランドチェロキー」。先に導入されたロングホイールベース版グランドチェロキーLに加え、昨年10月末にスタンダードホイールベース版も追加されたことで、ジープファミリーの注目の1台となっている。
ジープの末っ子であるレネゲードよりもさらにコンパクトなボディを与えられたBセグメントSUVは、2030年までに100%EVメーカーになることを宣言しているジープ・ブランドにとっての急先鋒となる。

アベンジャーの全長は4084mmで、これはレネゲードより171mmほど短い。つまり日本やヨーロッパ市場における普段使いにちょうどいいサイズ感なのだが、このためアメリカ本国での販売は予定されていない。

115Kw(156ps)を発生するモーターはフロントに置かれ前輪を駆動する。床下のバッテリー容量は54kWhで、一充電あたりの走行距離はWLTPサイクルで400kmとなる。

アベンジャーの最新の話題は、デビュー間もない今年の1月、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞していること。とはいえ、このクルマの日本導入は今から1年以上も先の来年の春くらいと発表されている。

今回披露されたアベンジャーは世界中を旅する売れっ子らしく、なんと翌日には日本を発つ。

このタイミングで虎の子をわれわれにチラ見せしてくれたあたりに、これから電動化をより本格化させていくステランティス・ジャパンの強い決意が感じられた。
試乗は×、でも動かしてみた印象は!?
ウェブ等で公開されてきたアベンジャーはゴールドと黒い樹脂の2トーンだったのだが、われわれの目の前に現れた個体は意外なことに黒一色。

このため「同じクルマだろうか?」というくらい雰囲気が違って感じられた。
写真のアベンジャーはレネゲード風で若干ノッポに見えていた。ところが実物はワイド&ロー気味。
写真のアベンジャーはレネゲード風で若干ノッポに見えていた。ところが実物はワイド&ロー気味。末端が少しだけ面取りされた都会的なボディからは、ラングラーやレネゲードよりもコンパスやグランドチェロキーの影響が強く感じられる。

7スロットのグリル内とリアにブルーのeエンブレムが掲げられているが、BEVであるより先に“最新のジープ”という主張が強く感じられる。

いかにもジープらしい特徴を踏まえた外観に対し室内はすっきりと洗練された雰囲気が漂う。スイッチ類も小さく平面的で、色使いも横一線のゴールドが鮮烈なダッシュパネルやアイポイントの高さを除けばヨーロッパの小型車と言った風情だ。

今回は「試乗はできないが、好きなだけ触って、見てください」とのことだった。さっそくメーターパネルを見ると、バッテリー残量は61%で走行可能な距離は216kmと出ていた。つまりバッテリーが100%なら単純計算で354kmくらい走ることができる計算になる。恐らく移動や撮影のストップ&ゴーによって「電費」が悪くなっているのだろう。

一方センターコンソールのドライブモードスイッチを操作してみると、スポーツ、ノーマル、エコ、サンド、マッド、スノーというモードが表示された。BEVとはいえジープとして欠かせない要素はしっかりと詰まっている印象だ。
画像 もっと見たい! 本邦初公開のジープ・アベンジャー【走行シーン/内外装詳細】全49枚
ジープの電動化攻勢、ココにはじまる
室内の広さはBセグメントのボディらしく必要最低限といった感じだが、スクエアなキャビンのおかげで窮屈な感じはしない。

リアシートは足元スペースはミニマムだが、バッテリーが敷かれているはずのフロアは深くえぐられており、自然な着座姿勢がとれる。フロアのえぐれはトランクも同様で、底板を上げるとその下に充電ケーブル等を入れてもまだ余裕のある収納スペースが現れる。開口部の高さも最適だと感じられた。
ステランティス・ジャパンの打越晋(うちこしすすむ)社長。「今後導入していくモデルは日本市場に合ったものを見極め、日本側からの要望によって取り入れていく」
ちなみにポーランドのティヒ工場で生産されるアベンジャーのプラットフォームは、ジープとしては初めてFCA系ではなくPSA(プジョー・シトロエン)系のCMPが用いられている。つまりBEVとICE車が用意されているプジョー208やDS3クロスバックあたりと共通する部分も多いのだ。このためアベンジャーにも1.2Lのガソリンエンジンを搭載したMHEVモデル(4xe)があるのだが、こちらの日本導入に関しては未定だという。

今回われわれの質問に答えてくれたステランティス・ジャパンの打越晋社長によれば「今後導入していくモデルは日本市場に合ったものを見極め、日本側からの要望によって取り入れていく」とのこと。

また2025年にはリーコン、2026年にはワゴニアモデル(社内の呼称はワゴニアS)という2台のミッドサイズBEVの日本導入も決定しているという。

ジープ最小にして日本におけるジャストサイズのアベンジャーは、これまでのジープ人気をそのままBEVへとスムーズに移行させることが期待できそうだ。
記事に関わった人々
執筆:吉田拓生
1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

撮影:神村聖
1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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