昔に比べて基準は下がった! クルマは何台売れたら「成功」と言えるのか?

2023.02.26 13:00
この記事をまとめると
■クルマは何台売れたら成功と言えるのだろうか?
■答えはボディタイプや車種によって異なる
■その理由を具体的な車種を挙げて解説する
あらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる
  クルマは高額商品で、開発や生産にも多額のコストを要する。売れ行きが想定された台数よりも少ないと、経営にも悪影響を与えるから、達成せねばならない。
  時々、設計が古くなって売れ行きも下がったのに、長期間にわたり細々と生産や販売を続けている車種がある。この場合、収支を合わせるために、一定の台数に達するまで生産を続けることもある。
  つまりメーカーや販売会社にとって「何台販売できたら成功か」は、その車種があらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる。
  たとえば軽自動車は、もともと薄利多売の商品だ。1カ月に想定される平均生産/販売台数が7000台、1年間なら8万4000台、6年間にわたって生産すれば約50万台という具合に想定して、開発や生産コストを決める。
  ミニバンは、軽自動車と同じく国内販売が中心だが、価格が高く1台当たりの粗利も多い。そうなると軽自動車に比べて、生産/販売台数が少なくても採算は取れる。
  さらに海外を中心に売られる車種は、日本国内で大量に販売する必要はない。そのためにレガシィアウトバックなどは、フルモデルチェンジ直後の2022年でも、1カ月の平均登録台数が約800台だった。それでも国内販売が成り立つわけだ。
  レクサスLSの1カ月平均約140台のように、売れ行きがさらに少ない車種もある。
  その一方で、アコードは、2022年の1カ月平均登録台数が約170台で、レクサスLSを上まわったが、2023年には国内販売を終了した。販売の低調な車種は、メーカーや販売会社に対する貢献度も低いため、アコードのように不意に終了することもある。売れ行きが低調だと、つねに危うい状態に置かれるわけだ。
  以上のように販売の成功と失敗には、車両価格や1台当たりの粗利、日本と海外の販売比率、メーカーの戦略など、さまざまな事柄が影響を与える。
売れてないからってダメなわけじゃない!
  従って一概に登録(軽自動車は届け出)台数で販売面の成功と失敗は決められないが、コロナ禍によって納期が遅れている今では、小型/普通車なら1カ月に6000台/1年間に7万2000台以上が登録されると大成功だ。ヤリスシリーズ、ルーミー、ライズ、フリードなどがそこに該当する。
  そして1カ月に1500台/1年間に1万8000台に達していれば、販売の堅調な車種と考えて良い。マツダ2、フォレスター、スイフトなどが含まれる。
  逆に1カ月の登録台数が800台/1年間に9600台を下まわると、不人気車の部類に入ってくる。2000年頃までは「1カ月の販売台数が1000台以下に下がると、いつ廃止されても不思議はない」といわれたが、今は不人気車の基準が下がった。
  最近の国内販売を見ると、好調、あるいは堅調な車種は減り、1カ月に800台/1年間に9600台以下が増えた。セダンのカムリやスカイライン、スポーツカーのロードスターやBRZなどは、すべてこの中に含まれる。
  そして1カ月に800台/1年間に9600台以下だから、魅力のない商品とはいえない。販売の好調な車種は、多くのユーザーが購入して使っているから優れた商品と判断できるが、売れていないからダメとは決められない。登録/届け出台数が少なくても優れた商品も存在する。そこが販売データを見る時の注意点だ。

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