大雪による立ち往生! エンジン車とEVではどちらが安心かは複雑な問題だった

2023.01.18 17:20
この記事をまとめると
■大雪によりクルマが立ち往生するといったニュースを目にすることが増えている
■このような状況でエンジン車とEVではどちらが長時間耐えられるのだろうか?
■それぞれにメリット・デメリットがある
寒さよりも排ガスを恐れるべき状況も
  気候変動の影響なのか、突然の大雪によって大量のクルマが立ち往生するといったニュースを見かけることが増えている。こうしたシチュエーションは、EVユーザーの生存にネガティブな影響があるのではないか、という指摘も少なくない。
  簡単にいえば、EVは暖房に多量の電力を使ってしまうために、一晩中ヒーターを使っていると電欠になってしまうのではないか、という指摘だ。仮に救助が来る前に電欠してしまうと急激に車内の温度が下がるために凍死も心配されるし、また道が通れるようになっても電欠していては動けないため、全体としての立ち往生状態が回復できないことも考えられる。
  もちろん、エンジン車であっても燃料残量が少なければ立ち往生中にガス欠してしまうことはあるが、化石燃料であれば携行缶などを利用して比較的容易に補充できるが、電気はそうはいかないという指摘もあったりする。
  はたして、大雪による立ち往生時のリスクがEVは大きいのだろうか。
  なにをリスクとして捉えるかによるが、生命の危機という点ではエンジン車のほうが不安を覚える。たしかに、ただ寒い場所で満タンのエンジン車と満充電のEVを並べて一晩中、暖房を使ってどうなるかという実験をすれば、エンジン車は余裕で過ごせるだろう。反面、バッテリー総電力量が小さめのEVは一晩中暖房を使うことは難しいこともある。
  しかし、リアルに雪に埋もれるような状況を考えると、本当に怖いのは寒さではなく排ガスだ。具体的には、マフラー出口を雪が覆ってしまうことで排ガスが車内に侵入することで起きる一酸化炭素中毒こそ、もっとも気を付けるべきだ。
  仮に一酸化炭素中毒を防ぐことを優先するとエンジンを切るしかなく、そうなるとエンジンをかけておけば一晩中暖房を使い続けられるというエンジン車のメリットは消えてしまう。
EVはシートヒーターのみを使うことで消費電力を抑えられる
  気温などの条件にもよるので一概には言えないが、凍死のリスクと一酸化炭素中毒のリスク、どちらを重視するかでEVとエンジン車のメリットとデメリットは真逆になる。
  なおEVの場合、暖房によって消費電力が増えるのは事実だが、いつ助けが来るかがわからず、命をつなぐことを優先すべき状況であればシートヒーターだけを使うほうが消費電力を抑えることができるので、おすすめだ。
  運転時に厚着をするのはおすすめできないが、冬場のドライブでは万が一に備えてコートなどはトランクにしまわずに後席などに置いておくといいだろう。シートヒーターをオンにして、厚着になっておけば体温を維持しやすいからだ。
  窓ガラスが大きいこともあって、一般にクルマのキャビンは断熱性に優れているとはいえないが、雪や風がしのげるぶんだけ最低限の暖をとることができれば生存確率を上げることが期待できる。
  エンジン車においては、前述したように一酸化炭素中毒のリスクを抑えるためにはエンジンを切るべきだが、もし一晩中エンジンをかけて暖房を使うためには、どの程度の燃料が入っていればいいのだろうか。
  アイドリングで消費する燃料については、排気量によって異なるので一概にはいえないが、一般論として2000cc級のガソリンエンジン車であれば、1時間のアイドリングでおおよそ800ccのガソリンを消費するといわれている。
  ここから計算すると一晩を8時間として6~7リットル程度のガソリンがあればエンジンをアイドリングし続けることは可能だ。寒さによるアイドルアップや、ヒーター使用による電力消費(オルタネーターの負担)を考慮しても、タンクに8リットル程度残っていれば、エンジンをかけ続けることができるというわけだ。
  EVであればバッテリー残量がかなり残っていないと不安だが、エンジン車であれば残量が心もとない状況であってもなんとか一晩は過ごせそうだ。この点はエンジン車の安心感が圧倒的といえる。
  なお、オルタネーターやバッテリーが弱っていると、極寒の中ではアイドリングを維持できない可能性もある。とくに古いクルマでは、日ごろのメンテナンスが重要なのは言うまでもない。

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