クルマのマフラーってそもそも何? 本数や太さによって何が変わるのか

2023.01.12 17:20
この記事をまとめると
■マフラーは排気音を低減する装置
■本数や太さがによって何が変わるのかを解説
■マフラー交換の際には注意点も
2本出し、4本出しにすると何が変わる?
  クルマには走りを彷彿とさせるパーツがいくつかある。なかでもマフラー(正確にはテールパイプも含む)は、聴覚と視覚のふたつを刺激するアイテムとして、歴史的にクルマ好きの関心を引いてきた。
  マフラーは、日本語訳にすると分かりやすいが、消音器すなわち排気音を低減する装置である。シリンダー内で燃焼され排出されるガス(=排気ガス)は、高温、高圧の状態となっている。この排気ガスを、そのまま大気中に放出すると、急激に膨張して大きな音(破裂音)を発生する。これでは具合が悪いので、排気ガスを段階的に膨張させたり温度を下げたりすることで、大気中に放散する際の音、排気音を小さくする工夫が図られている。
  この排出ガスの圧力、温度を下げる部分がマフラーで、モデルによっては2段構成の消音システム、メインマフラー+サブマフラーを持つ方式もある。また、マフラーはその機能から、サイレンサーとも呼ばれている。
  さて、排気系は視覚的、聴覚的に「走り(=性能)」をイメージさせる部分だが、テールパイプの本数と太さが大きなカギを握っている。テールパイプは1本、それも径の細い仕様だと見た目に頼りないが、2本、4本と本数が増え、しかも径が太いとダイナミックな印象を与えることになる。
  テールパイプが2本あるいは4本となる理由だが、視覚的にスポーティな印象を与える効果と背圧(排圧)を下げる効果のふたつが挙げられる。市販車の場合、テールパイプの本数や太さは、マフラー(サイレンサー)から排出される排気ガスの排気効率を左右することになり、抵抗が小さいほど排気ガスはスムースに排出されることになる。
マフラーの交換によってクルマに不具合が出るケースも
  このため、テールパイプは1本より2本、4本のほうが抵抗が小さくなり、よりスムースに排気ガスを排出することができるようになる。テールパイプ径も同様で、太くなれば抵抗が小さくなり、やはりスムースな排出効果が得られることになる。また、テールパイプ径が太くなることは、パイプ断面が大きくなることで周波数が下がり、低い排気音を響かせる効果もある。
  では、テールパイプの本数は多く、パイプ径は太いほど排気効率に優れるかといえば、一概にそうとも言えない。排気ガスには脈動効果があり、燃焼ガスをリズムよく排出する働きのほかに、吸入気をシリンダー内に吸い入れる効果も持っている。そして、この排気の流れは、排気マニホールドの形状(結合方式なども含む)、長さ(排気ポートから第1フランジまで)によって特性が大きく左右される傾向がある。
  市販車の排気系は、触媒、マフラー(サイレンサー)と排気の流れを妨げるデバイスが装着されているが、もっとも効率に優れた排気系は、これらを持たないストレートな排気システムである。かつてのレーシングカーを見ればよく分かるが、4気筒なら4-2-1、あるいは4-1結合、6気筒なら6-2-1、あるいは6-1結合の排気マニホールドに直接パイプをつなぐ排気システムが一般的だった。ただ、いくらサーキットレースとはいえこれでは爆音だという問題意識から、80年代に消音器(マフラー)の装着が義務づけとなった。
  基本的には、排気系は抵抗を小さくすれば、その分だけ排気効率は向上すると考えてよいが、たとえばターボカーで過給圧をコンピューターで制御しているクルマの場合、マフラーを低背圧のものに換装するとコンピューターが正常に働かなくなるケースもある。
  これはマフラーの換装に限った話ではないが、コンピューターによってエンジンが制御されている現行の車両で、エンジンの運転に関わる「何か」を交換しようとした場合、そのパーツが自分の車両(車両型式、エンジン型式、生産年など)に合致しているか否かを確認することが、まず最初の作業となる。交換作業はくれぐれも慎重に。

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