同源異流の2台 ジープ・コマンダーとコンパス 比較試乗してみた

2023.01.10 16:00
公開 : 2022.11.30
ジープ・コマンダーとコンパスは、ジープのモデル群の中でも互いに近い存在です。比較試乗してそれぞれの良さを探ります。
コンパスとコマンダー何がどう違う?
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ジープ待望のニューモデル、コマンダーがデビューした。

なぜコマンダーが待望の1台なのかといえば、日本の交通事情に最適なミドルクラスのボディ、そして3列シート7人乗りというこのクラスのジープにはなかった独特のポジショニングが挙げられる。

コマンダーに興味がある人にとって気になるのは、共通点の多いプラットフォームを採用しているコンパスとの違いではないだろうか。
ジープ・コマンダー(右)とコンパス(左)
写真で見ているうちはコンパスに似ていると感じたコマンダーだったが、実車を並べてみると両者の印象ははっきりと異なる。

コンパスは角が取れ、愛嬌すら感じさせるクロスオーバーSUVスタイルを特徴としている。対するコマンダーはグランドチェロキー譲りの「顔」や、延長されたリアオーバーハングのボリューム感により、ニューモデルらしいみずみずしさと伝統的なジープのワゴンらしさが同居している。
運転席に乗り込んでみると、サイズ感による雰囲気の違いが感じられた。ダッシュパネル周りの造形は非常に似ているのだが、コマンダーはゆったりとした印象。

コンパスに比べ車幅も全高もひと回り大きいため、室内空間にも余裕が感じられるのだ。ではコマンダーの3列目シートをチェックしてみよう。
画像 ジープ・コマンダーとコンパス 細かく見比べる【ディテール】全51枚
コマンダーの3列目、使える?
コマンダーの3列目シートは2列目シートの端を前方に折りたたんで乗り込む、5ドアSUVではおなじみの乗車方式。

レバーを引くだけで背面と座面がテンポよく倒れ込む2列目シートの動きもスムーズだし、3列目に乗り込む際のスペースにも余裕が感じられる。

3列目シートに座ってみる。足元空間はミニマムだが、横方向には余裕があるので175cm以下くらいの人であれば問題はなく使えるはずだ。
ジープ・コマンダーの3列目(最後列)シート。
3列目を格納すると広大な荷室が現れるのもコマンダーの美点といえる。5人乗車+キャンプ道具満載といったシチュエーションもコマンダーの得意とするところだ。

一方コンパスの2列シート5人乗りの室内は、無駄のない使い勝手のいいスペースといえる。パートナーと2人、もしくは中学生以下の子どもが2人いる4人家族あたりにちょうどいい感じなのである。
ジープ・コンパスの2列目(最後列)シート。
コマンダーとコンパスはボディサイズやシート配列以外に、パワートレインにも違いがある。

コンパスは前輪駆動のロンジチュードと4WDのリミテッドの双方で2.4Lのガソリンエンジンを搭載しているのに対し、コマンダーのパワートレインは2Lのディーゼル+4WDのみ。

そこにはどんな意図があるのだろう?
車格に見合ったパワーユニット
ディーゼルと聞いて思い浮かぶのは、燃料高騰の今にあって「省燃費性能に優れる!」という事実だろう。燃費もいいし燃料代も安いのだから、ディーゼル特有の排気音など大した問題ではないという人も多いはず。

だが実際にコマンダーで走り出してみると、燃料代だけでないディーゼルのメリットが感じられた。
コンパスに比べ270kg重いコマンダーを、ディーゼル+9速ATはしっとりと力強く走らせる。今回の試乗は2名乗車だったが、これがもし7人乗りだったとしたら? と考えるとコマンダーの心臓はディーゼル以外にはありえなかったはずだ。

一方のコマンダーからコンパスに乗り換えるといつも以上に軽快さが際立つ。2.4Lのガソリン・マルチエアーユニットは自然吸気なのでこちらもしっとりトルクフルな性格なのだが、取り回しやすいボディサイズを含めてコマンダーとは完全に別物といえる。
また今回のコンパスとコマンダーはどちらもグレードがリミテッドなので、オンデマンドの4WDシステムを採用している。

ところが絶えず4WDゆえの接地感が強いコマンダーに対し、コンパスは軽やかで都会的な乗り味。この2台には5人乗りか7人乗りかという以上の差異があるのだ。
本格4駆+フル装備=リーズナブル!
軽やかで都会的なコンパスと、オフローダーの素質を感じさせるコマンダー。コクピットの操作系はほぼ一緒といえる設えで、シフトレバーの脇にはセレクテインシステムのスイッチが備わっている。SAND/MUD、SNOW、AUTOという切り替えになっているのだが、シフトレバー後方には4WD LOCKと4WD LOWのスイッチが備わっている点もジープらしい特徴といえる。
また現代車の装備として欠かせないACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)もSTOP&GO機能も付いており、信用に足る性能であるということは強調しておきたい。
シティオフローダー的なコンパスと、グランドチェロキーの弟分といったタフな風情のコマンダー。

キャラクターこそはっきりと異なる2台だが、どちらもADASをはじめとする基本的な装備は「フル装備」と言っていい充実ぶりなのである。

どちらもスペック的にはフル装備で、オプションとして選べるのはパノラミックサンルーフくらい。

そう考えると469万円~というコンパス(試乗車は524万円のリミテッド)と、597万円のコマンダーは価格も魅力的だ。
もしこの2台の選択で迷ってしまったら、試乗してみることをお薦めする。見た目と同じくらいキャラクターも違うので、すぐに「わたしの場合はこっちだ!」と閃くことができるに違いない。
記事に関わった人々
執筆:吉田拓生
1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

撮影:神村聖
1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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