衝撃の47万円で登場した初代の志が今も息づく! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【渡辺陽一郎編】

2023.01.02 17:20
この記事をまとめると
■日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023の最終選考が終了
■選考委員を務めた方々に10点を入れたクルマとその理由を聞いた
■今回はスズキ・アルトを選んだ渡辺陽一郎さん
まさに「顧客目線」なアルトに10点!
  私は第43回2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで、スズキ・アルトに10点を入れた。その理由は軽自動車の本質を突いた買い得な商品であるからだ。
  今は新車として売られるクルマの40%近くが軽自動車だが、価格も上昇した。軽乗用車の販売総数の内、約半数を占めるのは、全高が1700mm以上のスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンだ。この売れ筋価格帯は155〜180万円に達する。
  過去を振り返ると、2003年に発売された初代タントXは、標準ボディのXが113万円、ターボを搭載するRSでも135万円だった。従って今のタントの価格は、約20年前の1.3〜1.4倍に達する。この価格上昇率は、軽自動車に限らず、ミニバンやコンパクトカーなどほかのカテゴリーにも当てはまる。
  今のクルマは軽自動車を含めて安全装備が大幅に充実したから、機能と価格のバランスでは割高になっていない。しかし価格の額面だけを見れば確実に上昇した。それなのに所得は増えていないのだ。
  その点で現行アルトの価格は、ベーシックなAが94万3800円、売れ筋のLは99万8800円(いずれもCVT)だ。両グレードとも100万円を下まわる。2004年に発売された6代目アルトの価格は、Gが84万円(3速AT)、Xは94万5000円(4速AT)だったから、現行型の価格は20年近く前の1.1倍だ。ほかの車種よりも値上げ率が小さい。
  ちなみに初代アルトは、1979年に47万円の低価格で発売されてヒットした。この価格を大卒初任給をベースにして現在の価値に置き換えると約90万円になる。つまりアルトは、初代モデルを投入して以来、いつの時代にもベーシックなグレードを「1979年の47万円」に相当する金額で設定してきた。価格の水準がブレないのだ。
  その一方で、初代と現行型では、装備内容が大幅に異なる。初代アルトは、コスト低減のために左側の鍵穴まで省いた。それがフルモデルチェンジを重ねるたびに、エアコン、AT、パワーステアリング、4輪ABS、横滑り防止装置などを標準装着していった。今のアルトには、衝突被害軽減ブレーキに加えて、小型車でもオプション設定にすることの多いサイド&カーテンエアバッグまで標準装着されている。
  またアルトは装備を充実させながら、車両重量が700kg前後と軽い。WLTCモード燃費は、マイルドハイブリッドを搭載しない100万円以下のAやLでも25.2km/Lに達する。この数値はノートXの28.4km/L、フィットe:HEVホームの29km/Lなど、コンパクトカーのフルハイブリッド車に近い。
  実用性も良好だ。天井が低く見えるアルトは、後席が狭く思えるが、実際には4名乗車を可能とする。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半だ。スイフトの1つ半を上まわり、ミドルサイズSUVに近い。
  その一方で外観が水平基調だから、視界も優れ、ボンネットも見えるからボディの先端や車幅がわかりやすい。最小回転半径は4.4mで、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。全高は1500mm以下だから、立体駐車場の利用性も良好だ。
  所得が増えないのにクルマが値上げされる今の時代に、アルトは安全装備と実用性を充実させながら、低価格を貫いている。このクルマ作りは、まさに顧客目線で、多くのユーザーにメリットをもたらす。
  とくに公共の交通機関が未発達な地域では、年金で生活する高齢者が、古い軽自動車を使って毎日の買い物や通院をしている。新型アルトは、今後数年を経て中古車になった時、公共の交通機関が未発達な地域の安全性を高め、環境性能も向上させる役割を担う。
  アルトに限らず軽自動車にとって、新型車として販売される段階は仮の姿だ。価格の求めやすい中古車になって流通する時、本当の価値を発揮する。アルトはそこまで見据えて開発され、コロナ禍で困窮する人達の強い見方にもなり得る。13年を超えた車両の増税という、悪法と真っ向から対峙するクルマともいえるだろう。

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