笑っちゃうほど使えない……けどそれがいい! クルマの概念をぶち破る「実用性」度外視のモデル3台

2023.01.02 10:00
この記事をまとめると
■クルマは移動手段のひとつ
■しかし楽しさなどを重視するが故、驚くほど実用性のないクルマも存在
■今回は3台のモデルを紹介する
四輪がほぼむき出しになったクルマとは?
「人や荷物の運搬」というクルマの基本的な機能の欠如!?
「送迎」や「引っ越し」のように、人や荷物を載せてA地点からB地点へ移動するというのはクルマの立派な機能です。ところが、一部のクルマにはそういった機能が欠如しているモノもあります。また、ボディも大きくて荷台も備えているというのに、じつは実用性が劣っているクルマもあります。そんな「使えねぇ」クルマを紹介しましょう。
実用性が無くたって楽しければいい!?
  “ファン・トゥ・ドライブ”を追求したスポーツカーは、とかく実用性が犠牲になるもの。なにしろコーナリング性能を上げるためにエンジンをキャビン背後に搭載していますから、たいていのミッドシップスポーツカーはふたりしか乗れません。また、少しでも運動性能を高めたいスポーツカーは、余計な荷室を設けていませんから。
  とはいえ、スポーツカーの代名詞ともいえるポルシェ911は、狭い後席に大人ひとりくらいならなんとか乗ることはできますし(フロントにそこそこのトランクも有り)、イタリアンラグジュアリースポーツカーのフェラーリでさえも、昨今はゴルフバッグ2個のキャパは必須にしています。
  ところが、「あくまでも大人ふたりだけ乗れればいいじゃん」と割り切ったクルマが、この多様性が騒がれるご時世に存在するのです。それが「スーパーセブン」というクルマ。
  もともと英国のロータス・カーズが1957年に発表し、`70年代中頃まで作っていたロータス・セブンの生産を、ケータハムという会社がロータス社の生産中止後から継承。近年は日本の軽自動車の企画に準拠したモデルも追加されたりしていますが、要は四輪がほぼむき出しになった“まるでゴーカートのような”格好をしたスポーツカーといえば、クルマに疎い人でも「あぁ、アレね」とわかるんじゃないでしょうか。
  そのケータハム・セブンですが、ボディサイズは3100×1470×1090mmと超コンパクト(※注:モデルによってサイズは異なります)、車両重量は440kgとこれまた超軽量(※注:モデルによって車両重量は異なります)というのがこのクルマのレゾンデートル=存在理由です。スポーツカーにおいて“軽さは正義”ですから、搭載されるエンジンが85馬力の軽自動車用であろうとも、その走りは快感を通り越して官能的ですらあります。
  が、その代わり、コクピットは窮屈で乗員は外気にむき出し、荷室はボディ最後部にかろうじて小さめのデイパックが入るくらい……という実用性のなさ! そうそう、座った状態で地面に触れられるという地上高のせいで、駐車場の料金を支払う際に機械まで手が届かないという不便さもあります。おっと……運転手は小さめのスニーカーでないとペダルワークが難しいという点も付け加えておきましょう。スペースを犠牲にしていますから! ケータハム・セブンに乗る際は、間違ってもワークブーツやトレッキングシューズを履かないでくださいね(笑)。
国産車にも割り切ったモデルがあった!
  さて、そんなケータハム・セブン同様、スペースと実用性を犠牲にしたクルマが、じつは日本車にもあるのです。それが、ダイハツ・コペンです。ダイハツ工業が製造・販売する軽自動車規格の2シーター・オープンカーですが、2002年のデビューから2014年のフルモデルチェンジを経て、現在でも地道に発売されている人気モデルでもあります。
  ボディサイズは3395×1475×1280mm、車両重量は870kg、最高出力は64馬力なので、先述のスーパーセブンやほかのライトウェイトスポーツカー(例えばマツダ・ロードスター)ほどのスポーティな走りはできません。が、電動フルオープンがもたらす爽快感と、等身大のファン・トゥ・ドライブが味わえる気軽さは、唯一無二の存在といえるでしょう。
  しかし、このコペンもまたコクピットは非常に窮屈なのです。バケットタイプのシートを奢っていることもあって、ちょっと体格が良い人は身動きするのも大変かもしれません。荷室に至ってはスーパーセブンよりも点数が低いかもしれません。屋根をクローズにした時はそこそこ積めますが、オープンにすると電動ルーフがトランクスペースに収納されるため、女性のハンドバッグ程度しか入らなくなってしまうからです。そんな実用性皆無のコペンですが、なにやら仕事をリタイヤした夫婦に大人気だとか。コペンにお乗りの熟年夫婦は、どのようにカーライフを楽しんでいるのか知りたいものです。
充実のキャビン&格好いい荷台があっても利便性悪し!?
「小さい箱に物は入らない」という物理の法則(?)を証明したのが、先述のスーパーセブンとコペンです。では、大きなボディのクルマなら人も荷物もたくさん積めて実用性は高い! と言えるのでしょうか。そこで、トヨタ ハイラックスを例に取って、この説を検証してみましょう。
  もともとトヨタ・ハイラックスは1968年に初代モデルが発売されましたが、売れゆきがあまり芳しくなかったために製造・販売を中止。その後、アウトドアブームの煽りを受けて、2017年に再デビューを果たしたのでした。現行ハイラックスは150馬力の2.4リッター直列4気筒ディーゼルターボと、質実剛健なラダーフレーム&リーフリジッドサスペンション(リヤ)が相まって、悪路をものともしない走破性を発揮。アウトドアアクティビティを愛するコアなファンからは、高い評価を得ています。
  で、ここで「んじゃあ、アウトドアに最適のクルマじゃないか!」と判断するのは、先走りし過ぎ。というのも、ハイラックスのボディサイズ5340×1855×1800mmと、ホイールベース3085mmが日本のフィールドで持て余してしまうからです。ほとんどUターンを強いられるタイトなカーブが連続する林道では、何度も切り返しをしなければいけないのです。いや、それどころかキャンプ場や海岸などへのアプローチでさえも、脱輪に注意しなければいけないとか!? そんな大きなボディに反して、荷台は1520×1535×480mmと意外に狭くて、モトクロスバイク&水上バイクを積むのに難儀するそうです。そもそもハイラックスの荷台はトラックと同じですから、キャンプ道具などの小物が散乱しないように収納ボックスが必要ですし、雨や雪で濡らさないためにはオプションのカバーなども必須……といった具合に、慣れない人には使い勝手がしごく悪いのです。
  ラグジュアリーな佇まいのハイラックスは、アーバンな風景にも似合うのですが……。街乗りSUVとして乗ろうと思っても、最小回転半径6.4mが災いして、住宅街の狭い路地やショッピングモールの駐車場に入るにはかなりの勇気が必要です。苦労して駐車しても、全長5m超えのせいで駐車スペースからボディ前後が少し飛び出てしまいます。
  さらに追い討ちをかけるのが、キャビンの実用性の低さ! グローブボックスやドアポケットといった収納スペースは乗用車並みなのですが、後席は少しだけシートバックを倒せるとはいえほぼ直角と、乗用車の快適さとはほど遠いのです。そのうえディーゼルターボのパワフルなエンジン音が遠慮なくキャビンに入ってくるので、ロングドライブはキツいかもしれません。
  トヨタ・ハイラックスの実用性の低さをたくさん並べてしまいましたが、決して悪いクルマと断言しているのではありません。4ドアのキャビンと荷台から成るピックアップトラックとしては日本で唯一、新車で正規販売されているのはこのハイラックスだけ! そのハイラックスの性能や機能を使いこなすことができる人にとっては、かなり魅力的なSUVであることは間違いありません。

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