一般ユーザーにとってマイナスになることもあった! 新型車が「月販目標台数」を公表する意味とは

2022.12.30 06:20
この記事をまとめると
■以前は各メーカーが新車の「月販目標台数」を公表していた
■しかし今では言い方を変えたり、公表しないことを選択するメーカーも
■「月販目標台数」を公表する意味や効果について解説する
最近は表現が多様化している
  メーカーが新車を発表したとき、どの程度の台数を売る予定なのかを示すことが多い。以前は「月販目標台数」、つまり1カ月に販売する目標として、4000台とか8000台といった数字を公表していた。
  この表現が最近は多様化している。クラウンクロスオーバーは「月販基準台数:3200台」という表現だ。日産は以前は「目標販売台数」として1カ月当たりの台数を示したが、2022年に登場したエクストレイルやセレナは公表していない。ステップワゴンは「販売計画台数(月間):5000台」と表現した。CX-60は「月販計画台数:2000台」になる。
「月販目標台数」の公表は古くから行われてきた。たとえばカローラの場合、1966年に発売された初代モデルでは「生産台数は当面月産5000台、将来は月産2〜3万台までもっていく予定」とされている。1979年に登場した4代目では「当面月販/カローラ:2万5000台、スプリンター:1万2000台をそれぞれ見込んでいる」という具合だ。
  クルマは単価が高額な工業製品で、家庭電化製品などに比べると販売台数が少ない。そのために自動車メーカーは大企業なのに、新型車の売れ行きが5〜6年低迷すると、経営状態が悪化することもある。1台当たりの価格が高いために、1車種の売れ行きがメーカーや販売会社に大きな影響を与えるわけだ。
  そうなるとクルマを経済面から捉えた場合、「どの程度売るつもりなのか」が重要になる。報道関係者からも販売の見通しに対する質問が寄せられるため、古くから「月販目標台数」を公表していた。
  ただし近年では、報道発表の内容が、社内にも対外的にもコミットメント(公約)の意味を持つようになった。以前は月販目標を5000台と公表しながら、翌年の1カ月平均登録台数が2000台まで落ち込む車種もあったが、今はコミットメントを達成できなかったことになってしまう。
3代目プリウスは「目標販売台数」を宣伝に活用
  そこで「販売計画台数」といった表現が使われる。「計画」でも達成できないことに変わりはないが、「計画変更」で台数が下がったという見方も成り立つ。
  また「目標販売台数」を公表しない日産では、以下の話が聞かれた。「最近は納期が遅れて、登録できないことも多い。これでは目標販売台数を設定する意味も薄れる。そこで社内的には台数の設定はあるが、外部には公表していない」。
「目標販売台数」の使い方として、受注台数を誇る目安にすることもある。これを大々的な宣伝に活用した最初の車種は、2009年発売された3代目トヨタ・プリウスだった。
  2009年2月にホンダからインサイトが低価格で発売され、プリウスは急遽、価格を割安に抑えた。また2代目の販売店はトヨタ店とトヨペット店だったが、3代目ではカローラ店とネッツ店を加えて全店扱いとした。そして発売日は2009年5月18日だったが、販売店では4月1日から予約受注を積極的に行った。
  その結果、3代目プリウスは「月販目標台数:1万台」としていたが、6月に入ると「受注台数が18万台/月販目標の18か月分」と公表された。この影響で納期は最長10か月まで延びて、ユーザーは迷惑したが、「プリウスの人気は凄い」と評判になった。
  問題はこの後で、予約受注を行うのが当たり前になった。発売の数カ月前から予約受注を行って注文を溜めておき、発売されたら「発売後1カ月の受注台数が10万台」という具合に宣伝する。予約受注の期間も含めると、本当は1カ月ではないが、そこは黙って人気車であることを誇示する。
  そして予約受注を早期に開始すると、その車種の売れ行きや人気のグレードも早い段階で分かる。生産計画を立てやすく、生産開始と同時に納車できてメーカーには都合が良い。
  その代わり販売店では、実車のない状態で商談するから、ユーザーと販売スタッフを困惑させる。納得して安全な買い方をするために、予約受注に応じないで試乗してから契約すると、納期が遅れてしまう。「月販目標台数」に罪はないが、その利用の仕方により、クルマの販売現場を混乱させる結果を招いた。

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